インドの宗教:パールシー(ゾロアスター教徒)

インドの宗教:パールシー(ゾロアスター教徒)

パールシーという人々をご存じでしょうか。パールシーという名前は知らなくても、ゾロアスター教という宗教はご存じの人も多いと思います。インドのゾロアスター教徒をパールシーと呼びます。

ただ、インドで生活していても、パールシーと出会うことはあまりないはずです。インドの総人口の0.1%にも満たない宗教で、主な居住地域はボンベイであるためです。

マイナー宗教といってしまえばそれまでですが、なんとこの宗教は、インド最大の財閥TATAグループの創設一族の宗教なんです。そして、パールシーにはが多いのです。

今回は、ゾロアスター教のインド流入の流れと、宗教の性格について簡単に解説します。

1.パールシー(ゾロアスター教)の歴史

ゾロアスター教は、BC7世紀ころにゾロアスターが開いた宗教です。ペルシア人が建設したアケメネス朝やサーサーン朝のもと、ゾロアスター教は広まりました。その後、ペルシア地方のイスラム化とともに衰退します。8世紀ころにイスラム勢力に押され、ゾロアスター教徒はインドに移住することになります。

インドにおけるゾロアスター教は、ボンベイ北のサンシャー港に、イスラム勢力から避難した人々が到着したのをはじまりとしています。現在のパールシーという呼称は、インド在住のゾロアスター教徒の呼称で、ペルシアから来た人を意味します。

当時の王侯は、このパールシーたちの定住を、2つの条件をのませることで認めました。ペルシア語を捨て、女性のインド服着用という条件でした。

パールシーは他宗教との対立や虐殺などに遭うこともなく、インド人たちと平和共存できていたといわれています。かれらは圧倒的少数派であるために、自身の存続のために、時の支配者といかに友好な関係を築くかを常に考え、支配者へ忠誠を尽くすことで生き抜いてきたのです。

パールシーはインドが植民地化されると、いち早く西欧文化を取り入れ、実業界、官界、文化活動などに進出しています。パールシーの植民地行政への参入は、1857-1858年のインド大反乱以降増えることになりました。

イギリスのインド統治内部に入ることで、インド人の西欧化の旗手、いわゆるエリートとして、富を築いていくパールシーが出現することになります。かれらはいち早く「個人」という概念を学び、西洋型の産業の重要性に気付いていきます。

そうしたエリート層の中に、TATAグループの創業者ジェムストジー・ヌッセルヴァーンジー・タタ(Jemstji Nusserwansi Tata, 1839-1904)はいます。インド最大の財閥であるTATAグループは、創業者であるタタ一族がパールシーであることで有名です。

2.現在のパールシー

現在、パールシーはボンベイを中心に暮らしています。年々、信者数の減少がみられるパールシーは、2015年の調査では6.9万人と、わずか10年間で12%も減少しています。

この理由は2つ挙げられており、1つはパールシーの出生率の低さにあります。インド人全体の出生率は、女性1人あたり2.3人の出産をするのに対し、パールシーにかぎると0.8人になっているといいます。

もう1つはパールシーのヒンドゥー化です。古来の伝統を重視する人や、現代に合わせた宗教改革を訴える人もいますが、全体的にはヒンドゥー文化があふれる環境のため、ヒンドゥーとの同化を選ぶ傾向は強いです。ヨーガに惹かれる人や、輪廻を信じる人までさまざまです。

インドにおける鉄鉱、航空などの重工業は、パールシーが始祖であるといわれ、商人としても全インドで活動をしています。パールシーには乞食はいないといわれており、一般的に富裕層が多く、社会改革、福祉、教育など多方面での活躍がみられます。

かれらは現実的で、ヒンドゥー文化やカースト制度の枠外の存在であったため、近代思想・産業を実践しやすい環境にあったと考えられています。

3.パールシーの信仰

パールシーは、アフラ・マズダを唯一神・造物者としています。人間には可滅と不滅の部位があり、霊魂は不滅、身体は可滅と考えます。

生前の行いによって、いわゆる天国と地獄に選抜され、そこで暮らすとの信仰があります。天国はグラスマン・ビヒシュト、地獄はドザクで、悪鬼が住むといわれています。

ゾロアスター教の特色としてよくあげられるのは、善悪二元論や終末論です。

  • 善悪二言論は、世の中の事象を、善と悪の二つに分類する思想です。善神アフラ・マズダと、魔王アンラ・マンユの信仰に由来するものです。
  • 終末論は、世界の終わりに人間が生前の行いを審判され、天国か地獄行きかを決められるという信仰です。これはキリスト教にも伝わっており、広く知られた思想です。

宗教的慣習としては鳥葬が有名です。沈黙の塔(ダフマ)と呼ばれる円筒状の塔で、その上に死体を置き、鳥が遺体を食べるという葬儀です。

4.インドの宗教:パールシー(ゾロアスター教)のまとめ

パールシーは、インドではきわめてマイノリティになっていますが、インド人の友人などに聞くと、パールシー=富裕層というイメージがあるようです。TATAグループ一族の例は極端ですが、その他にも大勢の著名人、富豪がパールシーにはいるといいます。

超少数派ゆえの生存戦略なのか、時の支配者との良好な関係を維持し続け、滅ぶことなく今も残っていると考えると、そのユニークな宗教性に興味を抱いてしまいます。

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