2020年9月ショート・コメント

2020年9月ショート・コメント

インド経済再生。インド政府チーフ・エコノミストKrishnamurthy Venkata Subramanian氏は、基本的にインド経済の復活はV字型ではあるが、そうでない分野もある、との指摘。製造業においては、コロナ蔓延以前の水準に復しつつあり、鉄道、電力消費、セメント、及び、鉄鋼生産、鉱工業指数などの数値の戻りは順調。しかし、ソシアル・ディスタンスを守らなければならないサービス業の再生については、懸念がある、と述べている様に思われます。ロシア製とイギリス・オックスフォード製ワクチンの入手を期待しており、広く接種がなされた場合、人々の間に安心感が広まり、サービス産業の復活も望める、と言う見方の様です。GDPの85%-90%を占める投資、及び、消費を再活性化する為には、政府支出が必要とし、民間のリスク回避姿勢を、変えるべきとしている様です。シバ神の持つ第3の目は、創造的破壊に象徴的な意味を持つ、と言う喩えを述べました。

国家人工知能戦略。政府として、国家安全のため、人工知能に対する戦術を策定か。内閣検証後、新しい法律が制定されるのか、まだよくわかりません。専門家によれば、ダイナミックな動きが起きる、との事です。

ムディーズ系シンクタンクICRA報告によれば、8月度景気指標は疎(まばら)ら。8月度景気指標が7月度より好転したのは、調査をした16項目中11項目。二輪車と運送の回復が大きい模様です。二輪車の需要は、主に農村部によって支えられている、との事。一方、ディーゼル、地熱水力発電、非オイル製品輸出、銀行預金は、前月7月期より低下。政府発表によれば、今年度第一四半期のGDPは、前年同期比− 23.9%、前年同期は+5.9%でした。全ての産業分野が、一律に上方傾向に転じるのには、今少し、時間がかかりそうです。

中央銀行の預金金利保護方針。政府・中央銀行が借入に対する金利モラトリアムを一部実行している最中、中央銀行総裁は、預金者金利を保護したいと意向表明。経済の回復は緩やかであり、またウィルスの蔓延状況は予断を許さず、この様な状況下では、預金者の金利を保護すべき、と言う見解を、インド産業連盟で発表。経済の最悪期は過ぎ、今後は、回復が見込まれる、その後は、V字回復も期待出来るとの事。本年度第一四半期のGDPは、昨年同期比で23.9%縮まる、との事。市中金融機関に取っては、収益マージンが縮まる恐れがあり、預貸管理(Asset and liability management)が、難しくなると思われます。

ノンバンク・ファイナンス・セクターへの資金供給。前中央銀行副総裁Mundra氏は、インド経済連合会主催のセミナーで、中央銀行が、今迄以上に、零細中小企業の資金繰り問題を回避するため、資金を投入して良いのではないか、との懸念を表明。零細中小企業への資金の出し手は、市中の一般銀行では無く、寧ろノンバンク・ファイナンスであり、インドの金融機関が、国際基準であるバーゼル資本基準を満たしている限り、インド金融当局の国内的判断により、中央銀行は資金供与をしても良いのではないか、と発言した模様です。民間の生産力を高め、消費も高める事を期待したもの、と見られます。

野菜価格不安定に上がる兆し。モンスーン期間が延びた、と言う指摘があります。降雨季が伸びると、畑作又、流通にも影響が出ます。政府は玉ねぎの輸出を禁止。この事により、一時的に卸売り物価は下がった模様です。しかし、現在販売されている玉ねぎは、昨年の収穫物であり、備蓄玉ねぎは、雨のためダメージを受けている、と言われています。輸出量の調整をする事によって、国内価格を下げようとしていますが、9月・10月にかけて玉ねぎ、トマト、じゃがいもの消費は増えると見られますので、秋の収穫期迄、穀物価格は上下するものと見られます。野菜価格のインフレ率は、同年前月比で11.4%増であり、フルーツは0.1%増。野菜の小売価格が高いと言う体感は、食費を切り詰める庶民に取って、厳しい物があります。

遠隔地教育産業興隆。学校閉鎖と市中の塾の役割を持つコーチング産業が衰える中、遠隔地教育にノーハウを持つ企業が、雇用を拡大している模様です。13,000人が、今後1年間で雇用増との見方もあり。教育内容は、テクノロジー分野、コンテント産業、マーケティング分野が多いとの事です。この分野の、産業は、パンデミックの為、過去6ヶ月で急激に伸びた、と言う事です。ただ、遠隔地教育が充実したとしても、総合的な意味での、全人的教育問題が解決するのかは、疑問に思われます。

オンライン小売競争。秋の収穫・祝祭期(ディワリ)を控え、大手小売販売業者は、既にオンライン販売攻勢に転じています。外資系大手アマゾン、フリップカート、インド財閥系タタ・クリックなどは、既に、米や豆類など備蓄の出来る穀類の受注が増えている、と言う事で、今後、9月の最終週に向け販売イベントを増やす模様です。多くの業者は、10月に入れば、家電製品の売り上げも伸びる事を期待している模様。携帯大手Jio系のジオ・マートも新規参入、大手小売業界内の競争が激しくなる、と言う見込みが流れています。その一方、消費者の可処分所得は厳しくなっており、現金売買を中心に行なって小規模市中小売業者の中には、昨年のディワリ期の様に、在庫を積み増す事に、警戒的な姿勢も見られました。最近は、新聞紙にスーパーの販促折り込み広告が増えています。また、従来顧客との間で現金取引を行って来た市中小売業者、通信販売も行うかどうか、戸惑いが感じられます。

ロックダウン開始後の、移動性の高い労働者・就業者の故郷への退避は630万人。特に、ウッタラカンド州への帰省者は、320万人。殆どの人が、低所得の非正規雇用者と思われます。政府は、この人たちの、生活保護の為、どれだけの支出し、行き渡ったかが、正確に掴めてていない模様です。今後、貧困層への政府の施策が、開催されたばかりの、通称モンスーン国会で議論される物と思います。今後この人々への処遇が、政争の具にならず、真剣・誠実に討議・施工・細部に渡って実行される事を祈る物であります。

7月・8月と、消費者物価指数は高止まり。8月の消費者物価指数は6.7%。中央銀行は、6%以上の上昇を好みません。8月のインフレ項目の中では、飲食費が57.2%。8月の食品インフレ率は9.05%。7月の9.27%よりは、若干低くなっていますが、全般として低いレベルではありません。供給される食材の価格変動・輸送費の上げ下げ、今後の気候変動が気になるレベルです。輸送通信費は上昇、8月は11.05%。コンピューター、携帯等による、自宅からの仕事に必要な通信費、通信環境整備などに、お金が使われているものと思われます。

在印中国アプリケーション会社人材。コロナ蔓延と印中国境緊張高まりの中で、インドに既に進出している中国系アプリケーション会社人材の行方が問われています。働き盛りの管理職人材の一部は、既に再就職を決めていますが、社内には、まだ多くの従業者が残留。現在、社内では、研修や開発に関する学習を促進している、との事。国境問題が解決し、インド政府による強硬な取引禁止措置解除後の事業再開と、現況下、会社自体のM&Aに備え、人材の価値を高め、将来の企業価値を上げ様としている、と推察されます。インドとアメリカでは、国内企業・多国籍企業による自国内での、中国系企業の買収が、議論をされている模様です。

農業関連業種に携わる人々の数の減少ペースは、少し遅くなったか、と言う議論です。コロナ蔓延初期からのロックダウンのため、多くの地方からの出稼ぎ工場労働者が故郷の州に戻りました。しかし、ロックダウン終了後、故郷の農村部に戻った人々が、全面的に元働いていた都市部へ戻ったかと言うと、そうでもない様です。都市部での再就労により、以前と同じ給料が得られるかは、定かではありません。出身地域の農村部に残って、働く人が増えている様です。一方、求人の多い建設業界でも、労賃を上げないと採用した人々の定着が悪くなる、と言う一面もあり、賃上げは限界に達しつつあり、労賃の揚げ止まり傾向が見られます。職業経験のない人や訓練を受けた事の無い未熟練労働者に取っては、大変厳しい状況の様です。ポストコロナ、且つ、ニュー・スタートの状況は、雇用者に取っても、被雇用者に取っても、新しい事態です。

木曜日、上海にて印中外相会議がもたれ、いくつかの原則事項についての相互確認がなされた模様ですが、軍の配置撤退については、合意されず、現地両国将官レベルの話し合いに、場を移す模様。インド側も、無人航空機配備などを、国会で承認する動き。両国間の製品物流等サプライチェーン回復の見通し予測は、まだまだ時期尚早と思います。

7月の工場出荷が前年同期比マイナス10.4%、マイナスとは言え、マイナス幅は減少しており、決して悪いだけの数値ではない、と思われます。消費が高まるとされている秋の収穫期・祝祭期以前と以降に、どの様な変化が起きるか、重要と思われます。

20200910 Times of India 民間調査会社によれば、インドの62%の企業がインド経済は1年以内に軌道に復すると予想 

フィッチ (Fitch) の調査によれば、68%近くの企業が、ロックダウン終了後の最大の課題は、需要低迷状態に直面し続けている事であると、答えています。
約62%の企業は、1年後に景気が軌道に戻るとの予想を述べていますが、約41%の企業は、2020年8月度売上高が2019年8月度売上高の50%未満であった、としています。

また、21%の企業は、2020年8月度売上高は、2019年8月度に記録された売上高の50〜75%の範囲であると答えていると、フィッチ・アンド・コンサルティング会社Dhruva Advisors調査が示しました。
2020年8月度、44%の企業はロックダウン期間終了後の経済開放時から受注が改善したと報告、2020年6月には25%の企業が受注にプラスの影響が出たと報告しています。

ロックダウンの解除により、6月度のキャッシュ・フローにプラスの影響が出たと報告した企業は、僅か、21%でしたが、8月度には51%の企業がキャッシュ・フローが改善したと述べたとしています。

https://timesofindia.indiatimes.com/videos/business/62-companies-expect-indian-economy-to-be-back-on-track-within-a-year-survey/videoshow/78037125.cms

アフター・コロナ時代のニュー・ノーマルを含めた積極的な生産活動の再開、サプライチェーン再構築、消費者行動の回復、物価安定、金融・財政措置などにより、徐々に景気は回復すると思われますが、地政学的リスクは決して見落とせない状況か、と思われます。特定国への生産拠点集中が見直され、幾つかの分野によっては、インド生産拠点ハブ化も起こり得る、と思われます。

ロックダウン収束後、2輪・4輪とも販売が回復しているとは言え、前年同期比では、まだ数的成長は、厳しい状況と思われます。ただし、トラクター部門は例外、秋の収穫期に向け、適量な雨量が確保されれば豊作が見込まれ、販売台数は確実に伸びると思われます。9月前半は、地域によっては、慣習的に買い物を手控える風習があるとの事。秋の収穫期に集中する祭事連続期間中の消費活動活発化が期待されます。

尚、現在はメーカー出荷台数ではなく、地域毎の新車登録件数により、統計数値が出される仕組みになりました。

所得者層別の可処分手持ち現金と、金融機関による小口ローンが増えるか、金利とインフレ動向が注目点と思われます。

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