デリーの水不足問題

デリーの水不足問題

デリーで仕事をしている、日本の方も多いと思います。そうした人は、家で使う水の心配をしたこともあるのではないでしょうか。

私は、デリーのミドルクラスが多い地域で暮らしていたので、乾季に水道の水が止まることもしばしば経験してきました。

今回は、デリーの都市問題の1つ、水不足にまつわる問題を取り上げます。

1.デリーの気候

デリーの気候、特に降水量は極端なもので、10~3月の間は乾季とされ、月当りの平均降水量は20mlにも満たず、1月などは8ml弱となっています。その間の気温や湿度は低くなり、比較的インドでは過ごしやすいシーズンとなっていますが、4~6月の酷暑期は、川の水が干上がり、干ばつなども起き、毎年問題となっています。

7~9月は雨期となっており、毎年、一部の地域では下水が氾濫し、数日、家の外に出られなくなるような、劣悪な衛生環境が強いられることがあります。

以下に取り上げるのは、酷暑期の水不足問題です。

2.水不足問題

酷暑期においては、しばしば給水が止まるため、給水車が出動するという光景はデリーで毎年みられます。こうしたインドの水不足問題は、約6億人にストレスを与えていると、インドの行政委員会で報告されています。

問題が生じる原因としては、以下のものが挙げられます。

  1. 降水量の低下
  2. 急激なや人口増加による、水使用量の増加
  3. 地下水脈からの、過剰な水のくみ上げによる水脈の枯渇
  4. 灌漑設備等のインフラの未整備

こうした問題は、インド各地の大都市においても同様の指摘がされ、改善が求められています。

こうした水不足問題で、最もダメージを受けているといわれるのが、農業です。

3.水不足問題と農業

デリーで使われる水の約80%が、農業用水だといわれています。

インドの農業の水問題で、しばしば指摘されている課題を紹介しましょう。

①灌漑設備の未整備

灌漑設備が整っておらず、乾季、酷暑期には川の水が干上がり、農作地に水が引けなくなる問題が毎年起きています

現在、指摘されている改善策としては、ダムや下流域から水を引き上げるなど、さまざまな案があがっています。

しかし、ダムが建設された地域においても、水資源の管理や、ダム建設による新たな環境被害が出るなど、さまざまな問題が指摘されています。

②水の非効率的利用

インドの農家は、農業知識を学術的に学んでいる人は、まだまだいないため、伝統的な農法で漫然と行われているケースが多くあります。

そのため、水を必要以上に使ってしまい、早期に水不足を起こしてしまう要因となっているといわれています。

この問題の解決には、農家への、現代の農法に沿った教育を進める必要が指摘されています。

③雨水貯水施設の充実

年間を通して、雨期の期間は短いため、その雨期の雨水をするための施設の建設が求められています。インドのそうした施設では、まだまだ汚水処理能力が十分とはいえず、供給可能な水を増やす方策が望まれています。

現在、ガンジス川下流域の、毎年、水が氾濫している地域に、広大な貯水池と同時に浄水施設を作り、その水を上流域に還流することができるか、という案などが話し合われています。

このような指摘はされているものの、現状の対処法としては、トレーラーに水を汲み、断水の地域まで運んでいくという、非効率的な対処法がメインとなっており、改善への道はまだ遠いと感じてしまいます。

また、水不足に困った農家たちによって、地下水のくみ上げがいたる所で行われ、地下水脈の枯渇から、土地の著しい劣化もみられています。※

その他にも、川の水の汚染が進んでおり、乾季には川の水が著しく減るため、汚染の希釈ができずに、健康被害が懸念されているという問題もあります。

現在のモディ政権は2024年までに、全農村に水道を繋ぎ、水不足問題の改善をすると公約しています。

4.ウォーターマフィア

近年の水不足問題でしばしば出てくる「ウォーターマフィア」という言葉があります。これは、政府や民間企業が土地を掘削して、水資源を確保(近隣住民にとっては水資源の強奪)していることを揶揄した言葉です。この「ウォーターマフィア」によって、従来は使えていた井戸水が枯渇するなどの問題が、発生しています。※

水を入手するためには、家に水道のパイプラインを通す必要があり、その費用も各家庭で持つ必要があるため、そうした被害に遭った住民の怒りの声は、たびたびニュースになっています。

こうしたエリアには貧困層も暮らしているため、水資源ビジネスの一方的な押し付けは、批判されています。

5.デリーの水不足問題のまとめ

インドのインフラ事情を経験すると、日本がいかに恵まれた国なのか、体感している方も多いと思います。日本並みのインフラ条件の部屋をインドで探すと、日本より家賃は高いんじゃないか?と思うこともあるほどです。

今回紹介した水不足は深刻で、酷暑の中、水を飲めずに死亡する人を、毎年多く出してしまっています。こうした問題が改善へと進んでいくことを願って、今回の記事を〆たいと思います。


※いたるところで、地下から水を引きまくって、結局どこからも水をくみ上げられなくなったということです。そうなることで、農作物も育ちにくいエリアができあがるようです。

※住民の地下水の掘削よりも、さらに深く掘って、根こそぎ水をくみ上げてしまうようです。そのため、従来、住民が使っていた井戸水の一切がなくなると非難されています。公共事業によるこうした掘削は、事前調査で、豊富な水量を確認したうえで行っており、土地の枯渇とはなっていないとされています。ただ、住民にとっては、水を奪われているという認識になってしまうようです。

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