ウッタル・プラデーシュ州:インド最大の人口を誇る州の諸問題

ウッタル・プラデーシュ州:インド最大の人口を誇る州の諸問題

デリー在住の方は多いので、ウッタル・プラデーシュ州に馴染みのある方も多いのではないでしょうか。私も、友人がウッタル・プラデーシュ州に家をもっていたので、よく遊びに行っていました。私のイメージは、デリーと違い、少々田舎っぽい雰囲気の強い州といった感じです。そして、インド人がよく言うのは「貧乏な州」ということです。

今回は、ウッタル・プラデーシュ州がどのような州なのか簡単に紹介し、州の抱える諸問題も見てみます。

1.ウッタル・プラデーシュ州ってどんなところ?

ウッタル・プラデーシュ州は、インド北部、ガンジス川中流域に位置し、州都はラクナウです。2019年、人口は2.28億人を超え、インド最大の人口規模となっています。州面積は約29万㎢で同国第4位、人口密度は470/㎢で第5位です。国語であるヒンディー語の中心州として、国内政治や文化に強い影響力をもっています。

気候は亜熱帯モンスーンにあり、極めて過酷な気象条件となっています。

  • 3~5月期には、「ルー」と呼ばれる南西からの熱風が吹き、5月上旬には45度を超える日も続き、毎年多くの死者を出しています。
  • 12~2月期は、西から寒気が襲来し、氷点下となることもあります。
  • 6~9月期は雨期で、年間降水量のほとんどは、この時期に降ることとなり、ヒマラヤ山脈沿いでは約1800mm、デカン高原の地域では700mm、それ以外の地域では約1000mmの降水量となっています。
  • 雨期の雨は、毎年ガンジス川、ヤムナー川を氾濫させており、社会問題となっています。

農作物は、米、小麦、豆類の耕作面積が、それぞれ20%前後となっており、州を代表する産物となっています。それに次ぐ農作物は、をはじめとしたキビ類です。

ガンジス川、ヤムナー川といった大河を持っているため、灌漑設備の整備が比較的進められているため、農業生産力は高く、パンジャーブ州と並ぶインドの穀倉地帯として、インド経済に貢献しています。

近代工業は、19世紀後半から発達がみられ、第一次世界大戦頃には、紡績、皮革、製糖、機械器具工業が、カーンプールを中心に集積しました。

ウッタル・プラデーシュ州は、工業都市のカーンプール、行政都市アラーハバード、ヒンドゥーの聖地ヴァラナシ、ムガル帝国の古都アグラ、そして州都ラクナウと、多彩な都市をもっています。州の歴史を作ってきた上記5都市は、それぞれの頭文字を取り、カーヴァル(KAVAL)タウンと呼ばれ、それぞれが基幹道路で結ばれています。

また、ウッタル・プラデーシュ州はアーリヤ人をはじめ、イスラム勢力などの侵入経路となっており、数多くの王朝が、ウッタル・プラデーシュ州を治めてきた歴史をもちます。

イギリス統治時代、インドの歴史上の大事件といえる、インド大反乱が勃発したメーラトは、ウッタル・プラデーシュ州西端にあり、反乱軍の降伏したラクナウは、同州中部にあります。

独立後に首相を務めたネルー、シャーストリー、インディラ・ガンディーも、ウッタル・プラデーシュ州出身であることは知られています。

2.ウッタル・プラデーシュ州の諸問題

ウッタル・プラデーシュ州は、その高い農業生産力から、インドの食糧庫として極めて重要な役割を果たしていますが、多くの問題を抱えている州でもあります。

この項では、5つの問題を簡単に紹介します。

1.貧困

ウッタル・プラデーシュ州は、29%を超える高い貧困率となっています(インド全体では約22%)。

貧困人口の多い要因は、都市部への労働者の過剰流入により、労働環境の需要と供給のバランスが崩れているため、非就労者人口が年々増加していることが挙げられます。

農村部における生活や仕事は、固定化されたもので、そのままでは一生抜けることができないと考える人も多く、都市部での生活に希望を抱き、多くの人が流入してきます。が、その希望は潰え、貧困に苦しむ人が減ることはありません。

2.低い識字率

ウッタル・プラデーシュ州の識字率は、インドの中でも極めて低く、約67%(男性約77%、女性約53%)となっています(インド全体では74%)。この低い識字率の原因は、貧困です。

貧困のため、幼い子供が学校に行けないことが多く、識字能力のない子供が大人になっても、より良い仕事の機会を掴むことができずにいるため、結果、そうした負のループがまわってしまっている状況です。

政府は、学校給食の支給や教科書無料配布など、施策は行っていますが、そうした周知の不徹底や教育の大切さを理解していない人々により、問題改善の目途はたっていません。

3.ガンジス川、ヤムナー川の氾濫

ウッタル・プラデーシュ州を流れる2つの大河は、雨期になると必ず氾濫し、広範囲に大きな被害をもたらします。ウッタル・プラデーシュ州の下水等のインフラは整っているとはいえないため、こうした氾濫がおきると、衛生状態が極めて劣悪となり、感染症や伝染病が蔓延することが問題となっています。

こうした問題解決には、灌漑設備の設置が求められていますが、まだまだ不完全であり、そのインフラ設備の拡大が求められています。

また、2つの大河はともに、重度の汚染が問題となっており、氾濫による土地の汚染も指摘されています。

4.治安

ウッタル・プラデーシュ州は、インド人からも治安がよくない州と認識されており、実際に、人口当たりの犯罪摘発率は、インドで最も高くなっています(あくまで摘発されている数なので、犯罪の実数とは異なります)。

この犯罪件数の原因は、貧困に由来しているといわれています。

また、マフィアの活動も、多く報告があがっています。

5.古いヒンドゥー社会の影響の残存

ウッタル・プラデーシュ州は農村部が多く、固定化されたカースト制度、ヒンドゥー社会の影響力が強く残っていることはしばしば指摘されます。

デリーなど都市部では、ある程度の低位カーストでも、お金さえあれば尊敬されますが、農村部のような古い伝統が残るエリアでは、低位カーストへの偏見の眼は、依然として強いままです。

こうした古い伝統は、都市化とともに流動化していくことが期待されていますが、農村部が多く残ってしまっているため、ヒンドゥー社会特有の問題の解決への道は険しくなっています。

3.ウッタル・プラデーシュ州:インド最大の人口を抱える州の諸問題のまとめ

個人的に、ウッタル・プラデーシュ州の諸問題で興味があるのは、貧困問題です。ウッタル・プラデーシュ州は、デリーのインド人の友人などに聞くと、治安が悪いとよく話していましたが、どうやら本当のことのようでした。

ビハール州も同様のイメージですが、貧困層の多い州は治安も悪くなってしまうのは、仕方がないのでしょう。諸問題の解決に向けて、政府には頑張ってもらいたいと願い、今回の記事を〆たいと思います。

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