ボーパール化学工場事故:世界最悪?の産業災害

ボーパール化学工場事故:世界最悪?の産業災害

1984年に、マディヤプラデーシュ州ボーパールで起こった、化学工場の悲惨な事故をご存知でしょうか?年配のインド人に聞くと、結構知っている人が多いので、機会があれば聞いてみてください。悲惨な事故に、きっと驚くと思います。

今回は、そのボーパールで起こった事故を中心に、お伝えします。

1.ボーパール化学工場事故

1984年、マディヤプラデーシュ州ボーパールで起こった化学工場事故は、アメリカの化学産業大手のユニオンカーバイドによって引き起こされました。この事故は、世界最悪の産業災害と評されています。

1984年12月2日の深夜、イソシアン酸メチルを貯蔵するタンクへの、水の流入によって、発熱反応が起き、タンク内の温度は約200度となり、気圧も急上昇しました。それによって、タンクが爆発をし、貯蔵されていた約40tの猛毒イソシアン酸メチルが外部に流出し、北西の風に乗り、ボーパールの町へと流れていったのです。

工場の近隣は、貧困者が多数暮らす、人口密集地域のスラム街であったことに加え、事件のあった日の気象条件が重なり、毒ガスは拡散せずに、そのスラム街に滞留したといいます。そのため、事故があった深夜から翌朝までに、2000人以上が死亡し、約30万人の健康被害が報告されました。

その後も、健康被害は拡大し続けることになります。

2006年の政府の統計によると、この事故により558,125人が健康被害を受け、3900人に重い後遺症が残ったとされています。

また、事故後2週間以内に、8000人が死亡し、その後、事故の影響でさらに8000人が病気を発症し、死亡したとされます。

その後の調査では、工場周辺の地下水や、土壌の汚染レベルは依然として高くなっており、3万人以上がその後も、汚染地域で暮らしているといいます。

政府の発表によると、この地域で慢性疾患をもつ人は約10万人おり、多くの出生異常も報告されています。

2.事故原因

事故原因の解明には至っていませんが、2つの主張があります。

①インド政府の見解

パイプのメンテナンスの不備により、イソシアン酸メチルガスを貯蔵するタンクへ、水の逆流を引き起こし、事故へと繋がった

②ユニオンカーバイド社の見解

ユニオンカーバイド社の、アメリカ工場と同じ安全基準で運用されており、安全面での問題はなく、事故は反工場活動家による妨害行為によって、検査用の通気口から故意に、水をタンクに入れたことが原因で、事故を引き起こした

どちらも、決定的な証拠は出せていませんが、現在も様々な推測がされています。

ユニオンカーバイド社は、緊急事態の危機管理がずさんだったと、事故後に多くの指摘がされています。冷却水の不足や、ガス流出を防ぐ装置の不備をはじめ、様々な不備が指摘されており、こうした不備の要因となっているのが、同社の「コスト削減計画」であったと指摘されています。

また、地元への、毒ガスの性質や、万が一、流出した時の対処法などの説明等はされておらず、インド人従業員の多くも、認識していませんでした。

しかし、ユニオンカーバイド側は、こうした指摘を一切認めていません。安全管理は徹底されていたが、反工場活動家による「テロ」は想定しておらず、防ぐことはできなかったのだ、としています。

会社側の主張は、責任回避のためになされましたが、同社による記録改ざんが、多数見つかっています。こうした状況に、多くのインド人は、ユニオンカーバイド社が事故の原因解明への妨害をしていると、怒りました。

3.ユニオンカーバイドのボーパール工場

ユニオンカーバイドのボーパール工場は、自社ブランドの農薬「セヴィン(Sevin)」の殺虫成分である「カルバリル」の生産のために、1969年に建設されました。

その後1979年、「セヴィン」製造の際に用いられるイソシアン酸メチル(MIC)の生産プラントが、同地に建設されます。

同タイプの製造ラインは、アメリカのウェストバージニアの化学プラントでも使われていたといいます。

この1979年に建てられた工場が、事故を起こしました。

4.事故後の賠償

事件後の1989年、ユニオンカーバイド社は、インド政府との間で、約4.7億ドルの賠償金の支払いに合意しています。

その後、被害者たちと政府の折衝の末、2003年10月までに、約55.5万人の被害者には、健康被害に応じて賠償金が支払われ、約1.5万人の遺族に対しては、平均2200アメリカドルの賠償金が支払われました。

事件が起きた15年後、ユニオンカーバイド社は、アメリカの化学大手のダウ・ケミカルに買収されています。

5.ボーパール化学工場事故:世界最悪?の産業災害のまとめ

この工場事故の話を初めて聞いた時は、公害の話かな?と思ったのですが、毒ガス流出による大災害でした。1.5万人以上が、事故が原因で死に、今も多くの人々が、毒ガスの後遺症で苦しめられている、というのが恐ろしく感じます。

先日も、インドのLGの工場で、毒ガスの流出によって、死者13人が出る事故がありました。インドでこうした産業災害が減ることを願って、今回の記事を〆たいと思います。

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ラダックで暮らす(半)遊牧民のことを、チャンパ(Changpa)と呼びます。
デリーですら、多くの健康被害が出ているというのに、それ以上の汚染指標を出しているということです。