ヒンドゥー教徒の3大目的:ダルマ、カーマ、アルタ

ヒンドゥー教徒の3大目的:ダルマ、カーマ、アルタ

「ヒンドゥー教徒の生きる目的」をご存知でしょうか。それは、ヒンドゥーの3大目的(トリヴァルガ:trivarga)といわれています。

今回は、日本人にあまりなじみのない、ヒンドゥー教徒の3大目的である、ダルマ()、カーマ()、アルタ(実利)について、順に紹介します。

1.ダルマ

ヒンドゥー教の宗教・思想の重要概念であるダルマは、を意味します。この法は、ヒンドゥー教の宗教的・道徳的規範であり、ヒンドゥー教徒はこのダルマに縛られた生活が求められ、ひいてはダルマに則った生活が目的となります。

ダルマは、インド全体で共通したものではなく、地域ごと、コミュニティごとに色合いが異なり、それぞれの「ダルマ」が影響力をもち、人々の目的・制約となっていました。

ダルマは、以下の承認を求めています。

  1. ヴェーダ聖典の権威
  2. バラモン・クシャトリア・ヴァイシャ・シュードラのヒエラルキー
  3. アーシュラマという、4つの生活段階(学生期・家住期・林棲期・遊行期)ごとに定められた、社会的義務の遂行

ダルマが正しく守られないと、人間社会は混乱し、虚偽不正義が横行するのだといいます。世界の秩序の根源には、このダルマが位置します。

また、ダルマを順守することは、死後の世界で良い果報(天界に生まれ変われる、良いカースト、良家に生まれるなど)を得られると、信仰されています。これは、輪廻信仰と結びついており、輪廻の苦しみを軽減するために、今生で、人々はダルマの順守を重要視するのです。

ダルマは、インド社会を縛る「法」であるのと同時に、ヒンドゥー社会で生きる人々が、宗教的目的をもって尊ぶものとして、古来から現在においても、厳然と影響力をもっています。

ダルマに対しアダルマという語があり、この言葉は「非法」を意味します。

2.カーマ

カーマは、「」を意味する、ヒンドゥー教の3大目的の1つで、その愛の中に、以下の意味をもちます。

  1. 意欲
  2. 愛情
  3. 性愛

ダルマやアルタとは異なり、カーマは、優しく美しい愛の世界を追求するための、価値基準です。

これはとりわけ、男女の間の性愛として強調されがちですが、この場合において、求められているのは愛欲というものではなく、文学芸術などに通じ、教養を前提とした愛の交歓と呼ぶものだといいます。

このように性欲のみでなく、教養をもとにした愛のやり取りが、ヒンドゥーの人生の大きな目的です。人間があるべき姿はどういったものなのか、そうした姿の追求が、カーマの考えのもとに学ばれます。

カーマについて書かれた書としては、5~6世紀頃に書かれたとされる、ヴァーツヤーヤナによる『カーマ・スートラ』が最も有名です。これは日本でも広く知られており、聖典ならぬ「性典」と呼ばれています。

ダルマが、地域やコミュニティを基盤としたものであるのに対し、カーマについての書は、都会に暮らす風流な教養人(ナーガラカ)とその妻、そして様々な文芸に通じる遊女(ガニカー)たちを対象にしています。

この書は、かれらの間の愛の生き方について、性愛を中心に描いたものです。

日本ではエロ本扱いの本ですが、れっきとしたヒンドゥー聖典の立ち位置を得た書であり、中世インドの風俗を現代に伝える、貴重な資料となっています。

3.アルタ

アルタは、ヒンドゥー3大目的の1つで「実利」を意味し、これは現実的・世俗的な「実利」の追求ということも、含意しています。

アルタが他の2つ、ダルマやカーマよりも優先されるという専門家もいますが、実際には、古代よりインド社会においては、ダルマ(法)の支配が圧倒的影響力をもっていました。ダルマは、世俗の欲求をいかに捨て、いかに宗教的功徳・浄性を積み重ねる生活を送るか、ということが第一です。

それに対してアルタは、実利(対価)は、生活を送るうえで絶対に必要なものであり、その追及こそにより法を維持し、愛を守ることができる、ということです。そのため、アルタを目的として生きることは、ヒンドゥー社会を守ることに繋がるのです。

アルタは主に一般大衆ではなく、支配階層、王の領域で政治論として求められたといいます。

インド政治論の原典といわれる『アルタシャーストラ』は、アルタに関する最重要な書とされています。マウリヤ朝の王として知られる、チャンドラグプタの時代に書かれたこの書は、君主に対し、君主の心得を説き、内政外交の細かな要諦を述べています。

4.ヒンドゥーの3大目的:ダルマ、カーマ、アルタのまとめ

私が、インド人のイメージに最も当てはまると思ったのは、「アルタ」です。世俗的「実利」追求というのは、極めてインド人らしいと思ってしまいます。ダルマなんて気にしないイメージです(偏見です)。

また機会があれば、ヒンドゥーの文化について紹介してみたいと思います。

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この答えにより、インド文化に面白さを覚えるかもしれません。
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