インドの社会問題:人身売買

インドの社会問題:人身売買

13億の人口を抱えるインドは、多くの社会問題を抱えています。宗教・カースト対立や、人権・・貧困・環境問題など、さまざまな分野で深刻な問題が指摘されています。

そして「人身売買」も深刻な社会問題の1つです。インドでは、たびたび人身売買がニュースになっているので、この問題の深刻さを知っている人も多いのではないでしょうか。

今回は、その背景を追っていきます。

1.インドの人身売買

インドの人身売買の買い手の目的は、女性と男性で、それぞれ次のことが挙げられています。

①女性は売春をはじめとした性的労働の強制

女性の人身売買は、主に売春宿での労働を強制させられます。また、女性の人身売買は、貧困家庭の娘が親によって売られる、または誘拐されて売られるということが多いようです。

彼女たちが働かされる売春宿はマフィアによって管理され、人権はなく、逃げることは許されません。もし、逃げた後に捕まると、殺されるケースや、手足を切り落とされるケースなど、悲惨な話は尽きることはありません。

こうして捕まり、手足を切られるなどの制裁を加えられた女性は、100~300Rsといった値段で、売春を続けさせられることもあるといいます。

殺されても、マフィアの管轄下にあるため、警察による摘発のケースは極めて少ないといいます。

②男性は奴隷的肉体労働の強制

男性の人身売買は、主に工場などでの、奴隷のような肉体労働を強制されます。また、男性の人身売買も、貧困家庭の親に売られるといったケースが多くなっていますが、誘拐されて売られるケースもあります。

奴隷のような生き方を強制されるため、劣悪な環境におかれ、逃げるという考えさえなくなるといいます。買い主の気分で虐待を受けることも多く、中には殺されてしまうケースもあるようです。

警察の摘発は、癒着も多いため、依然として少なくなっています。

2.ヒンドゥー社会と貧困

インド社会の貧困層は、2011年の最新の国勢調査によると2.7億人を超えているといいます。こうした貧困層が固定化される原因として挙げられるのが、カースト制度です。

都市部ではカーストの拘束力が弱くなったとはいえ、依然として残っており、農村部では厳然と影響力を残しています。

インド人のファミリーネームは、しばしばカースト名に由来することがあるため、名前を聞くだけで、相手の所属カーストがわかってしまうことがあるため、カースト意識はなくなりにくいということもあります。

法的に、カースト制度のヒエラルキーは否定されていますが、社会的慣習として差別意識は残っており、下層民の仕事は不浄とされ、低賃金での労働を余儀なくされています。

そうした家庭では、多くの子供を生む傾向にあります(若くして死ぬことも多いため、または働きぶちとして見ているため)。また、そうした家庭では、1日の食事もままならないことが多いため、人身売買を選ぶ家も出てくるということです。

稀にですが、人身売買の後に、売春宿で働かされていた女性が救出され、村に戻ることがあります。しかし、ヒンドゥー社会では、非処女の未婚女性は文化的に許容されないため、村の中で差別に遭うことも多々起きてしまいます。

ヒンドゥー文化は浄性を重要と考え、処女は浄性の象徴とみなすため、売春婦で働かされていた女性は不浄の象徴となってしまうためです。そのため、差別どころか親族に殺されてしまうケースすらあります。

3.ラージャスタン州の人身売買

人身売買の被害者が最も多いとされているのが、ラージャスタン州です。国家犯罪記録局によると、ラージャスタン州における人身売買の被害者救出の件数が、インドで最も多いため、そのようにいわれています。ただ、当然摘発された事件はほんの一握りであるため、必ずしも実数を伴っていませんし、他の州も同様です。

同州で救出されたのは9割が男性で、女性はたった1割であり、実際にはより多くの女性被害者がいるであろうことは、容易に想像できます。

救出された人々が強いられてきたのは、工場での強制労働や売春宿、奴隷、強制的な結婚などで、一部の人は犯罪集団の一員となり、犯罪行為に手を染めることを強制されていました。

同州で、人身売買による逮捕者は300人ほど出ているといいますが、すべて無罪となり、有罪となった人はいませんでした。

4.インドの社会問題:人身売買のまとめ

インドで長年暮らしていると、家の近所で誘拐された子供が出た、などの話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

私が東デリーで暮らしていた時も、家の近所の男の子が誘拐されてしまいました。その時に、家の近所のインド人と話していたのですが、身代金の要求などは一切なかったといいます。そのインド人は、インドでは子供が誘拐されて、売り飛ばされる事件が起きるんだよ、と哀しそうな顔をして話していたのを覚えています。

それ以来、記憶に残ってしまったので、新聞を読んでも子供の誘拐事件が目にとまるようになり、インドでは子供の誘拐事件が多いことを認識するようになりました。

こうした事件が減ることを祈って、今回の記事を〆たいと思います。

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シュッディ運動は、インド史の中でも知名度は低いので、知らない人がほとんどだったではないかと思います。