一妻多夫制の文化をもつ部族:トダ族

一妻多夫制の文化をもつ部族:トダ族

インドの少数部族のトダ族という人々をご存知でしょうか。トダ族は、世界的にも珍しい「一妻多夫制」を文化的に行ってきた部族民なんです。

今回は、一妻多夫制と、トダ族の文化的特徴を中心に見ていきます。

1.一妻多夫制とは

一妻多夫制とは、文字通り1人の妻に対し、複数の夫がいる制度です。

一妻多夫制の形態としては、「父性一妻多夫制」と「非父性一妻多夫制」にわけられます。「父性一妻多夫制」は、男性の兄弟が、1人の妻と結婚する形で、「非父性一妻多夫制」は、夫たちに親族関係のない形です。

「非不正一妻多夫制」に比べると、「父性一妻多夫制」が多数となっています。

こうした制度を取る社会的背景は、次のようなことが挙げられます。

  • 女子の嬰児の間引きによって、男性・女性のバランスが崩れ、男性の人口が過剰となる
  • 貧困のため、女性と子供の生活を、複数の男性で経済的に助け合う必要がある

インドでは、一妻多夫制は非合法とされ、現在は禁止されていますが、近年までトダ族は、一妻多夫制を採用してきたといいます。

2.トダ族ってどんな部族?

トダ(Toda)族は、タミル・ナードゥ州カルナータカ州のニルギリ丘陵に住む部族です。

同部族は、政府による保護対象となる指定部族(ST)、そして絶滅の危機にある部族と認定されています。

ただし現在、人口は増えつつあります。

  • ドラヴィダ語系の言語を話し、北インド系の風貌をしています。
  • 同部族の約87%が、ヒンドゥー教徒に分類されていますが、特徴的な宗教儀礼をおこなっています。
  • 経済活動は、水牛による酪農を中心に行っています。

以下、トダ族の伝統的慣習をみていきます。

2-1.一夫多妻制

この部族は、伝統的に女子の嬰児殺しの文化をもち、そのため、男女の人口比が歪(いびつ)な構成となっていたことでも、知られた部族です。そして、かれらの大きな特徴としては、「父性一妻多夫制」を採用し、幼児婚が行われていたことがあげられます。この結婚の形は、妻のもとに各夫が訪れるのではなく、妻が、別々の家に住む夫のもとへと、通うものとなっています。

兄弟が、1人の妻をシェアするという形です。

妻が妊娠すると、伝統儀礼として、夫の1人が、妻に弓矢を贈ります。この弓を贈る夫は、一般的には長男が担い、子供の正当な父親と認知されるといいます。

1819年に、イギリス植民地政府によって、嬰児殺しは法的に禁止され、時間をかけ、そうした慣習を矯正するための教化がなされています。

独立後も、政府による教化は行われ、近年では嬰児殺しは減り、兄弟で1人の女性を妻として共有する、一妻多夫制はみられなくなっています。

また、ヒンドゥー社会では珍しく、離婚再婚は認められています。

2-2.宗教

トダ族の多くは、ヒンドゥー教徒に分類されており、土着の女神であるテイキルシー(Teikirshy)を信仰しています。かれらの民間信仰によると、テイキルシーは世界の創造に際し、はじめに水牛を創り、次にトダ族の男性を、そしてトダ族の女性はトダ族の男性の右肋骨から作り出したといいます。

多くの宗教儀式は、水牛聖なる動物としてまつるなど、水牛に関連した儀式が行われる特徴があります。トダ族にとっても、水牛は聖なる存在であり、水牛の乳製品にかかわる仕事の従事者は、聖職者として尊敬される地位を与えられています。

また聖職者は、村と外部を繋ぐ川にかかる橋を渡ることを禁止されており、渡る際は、川を歩いて、または泳いで渡っていたといいます。

トダ族の寺院は、石が並べられた円形の穴の中に作られており、女性の出入りは禁止されています。

2-3.文化

伝統的なトダ族の家は、竹で作られ、藁(わら)ぶき屋根です。家の表と背面は、御影石で飾り付けられ、その入り口は、極めて小さいものです。この入り口が小さい理由は、野生動物から身を守るためです。

食事は、菜食主義です。肉や、受精した可能性のある卵、魚(一部トダ族は食べます)は食べません。そのため、水牛からの牛乳・乳製品は、貴重なたんぱく源として重宝されています。

主食はです。

2-4.独立後の変化

近年のトダ族は、近代テクノロジーにふれ、そのライフスタイルの多くが変化しています。従来は行われてきた一妻多夫制、女子の嬰児殺しをはじめ、様々な慣習は消えつつあります。

多くの伝統的家屋は、政府の行政指導によって、コンクリート製の家へと変わっています。伝統的に牧畜を営んできましたが、現在では農業や、他の職業へと挑戦する人々も増えつつあります。

以前は、厳格な菜食主義者でしたが、肉食を行う人々も現れています。

ただ、こうした伝統が失われていくことに危惧した行政支援などによって、伝統的な家屋が新たに40件ほど建てられるなど、伝統を守ろうとする動きも出ています。

2-5.人口

2011年の最新の国勢調査によると、トダ族の人口は、約3000人となっています。

1931年の国勢調査では、全体で597人しか確認されていなかったため、現在の増加傾向は、多くの人々を安心させています。

31年当時の男女比は、女子の嬰児殺しの伝統も行われていたため、男10:女7と歪なものでした。

しかし、現在ではそうした慣習は行われておらず、2001年の国勢調査を機に、女性人口の方が多くなったと記録されています。

3.一妻多夫制の文化をもつ部族:トダ族のまとめ

トダ族はマイナーな部族で、一妻多夫性という珍しい家族制度を採用していた民族だったので、紹介しました。

女児の嬰児殺しの文化などは、しばしばヒンドゥー教では行われてきた文化ですが、現在はその慣習が廃れてきたようで安心です。

ただ現在は、トダ族のその他の伝統的慣習の多くも行われなくなっており、一抹の寂しさはあります。トダ族の繁栄を願って、今回の記事を〆たいと思います。

BlogMuraFC2BlogRanking

VISITORS HERE:18,405, HOLI GREEN TOTAL VIEWS : 3,506,288

Previous(down)/ Next(up)
デリーですら、多くの健康被害が出ているというのに、それ以上の汚染指標を出しているということです。
インド国民軍の行った戦争行為は、イギリス支配への抵抗であり、正当性のあるものだと主張をしています。