インドのブランコとヒンドゥー文化

インドのブランコとヒンドゥー文化

インドの生活の中で、遊具のブランコを意識したことはあるでしょうか。実は、ブランコは、インドが発祥の国といわれており、『ヴェーダ聖典』の中で、ブランコの記述をみることができます。これが、世界最古のブランコの記述のため、インドがブランコ発祥の国といわれているんです。

今回は、ヒンドゥー文化の中のブランコと、「ブランコ祭り」との呼ばれ方をする、ヒンドゥーの祭りを紹介します。

1.インドのブランコ

インドは、ブランコの発祥の地といわれています。ブランコは、『ヴェーダ聖典』における記述から、ヴェーダ時代(BC1500-BC500年頃)後期の儀礼において、重要な位置を占めていたことがわかっています。

』におけるブランコは、太陽神スーリヤ(Surya)と大地の女神プリティヴィー(Prithivi)の、婚姻が成立する祭式のシーンに登場します。このブランコは、東西に揺れるように設置され、ホートリ(hotr)と呼ばれる祭官が、東向き、すなわち太陽の方角を向いて乗ります。そして、素早くブランコを漕いで、揺れている間に、座板と大地に右手で触れ、太陽神スーリヤと大地の女神プリティヴィーとの婚姻が成立したことを、宣言しています。

東西・上下への揺れを繰り返す動きは、男女、天地、朝夕、生死など、様々な二元的事象の結合と回帰を、象徴しているといいます。さらに、永遠に揺らし続けることが可能なこの動きは、人と自然の無限の豊穣を表します。そして、この独特の浮力を感じる動きに、神のダイナミズムと混沌を見出し、この揺れの中で祈ることで、神へ祈りを届けることができると考えたのです。

その他にも、神々の遊具として、ブランコは登場しています。

今日、ヒンドゥーにおけるブランコは、クリシュナ神とその妻ラーダー女神の乗り物として、よく登場し、春を祝う祭りであるホーリー(ヒンドゥー3大祭りの1つ)の際も、よく設置されます。ブランコは、クリシュナの愛を示すものだといい、そのため、最愛の女神ラーダーが隣に寄り添い、ブランコに乗る姿でまつられているということです。

ベンガル地方では、ホーリー自体をドルジャトラ(Doljatra:ブランコ祭りの意)とも呼ぶそうで、クリシュナ神とラーダー女神の一対の小さな神像を、ブランコに乗せたものを祭壇に飾り、揺らします。ホーリーの際には、クリシュナとラーダーとブランコのセットが、道端で売られているのを、見たことがある人も多いと思います。

また、木々などから吊るされたブランコに、若い女性が乗ることは、クリシュナ神のような男性に出会うことや、その上下に揺れる動き(性的な動きの暗喩)に、自らの豊穣を重ねることを意味するといいます。

ブランコに乗る女性をそういう見方をしているとは、インドの男性は・・・と思ってしまいます。もちろんブランコは、幼児の遊びとしても、昔から好まれた遊具です。

2.クリシュナ神とラーダー女神のブランコ祭:ジュラン・ヤトラ

2-1.ジュラン・ヤトラとは

ジュラン・ヤトラ(Jhulan Yatra)は、ホーリー同様に、クリシュナ神とラーダー女神を、ブランコに乗せて祈りを捧げる祭りで、7-8月に行われています。

ブランコ祭り」とも呼ばれるこの祭りは、ヴィシュヌ派のクリシュナ神を信仰する人々にとって、最も重要な祭りであり、クリシュナとラーダーの愛を祝う、陽気なものとなっています。

この2人の神が乗っているブランコを揺らすと、ご利益があるといわれています。

この際、装飾が施されたブランコに、クリシュナとラーダーが乗り、歌とダンスで、にこやかに祈りを捧げます。

2-2.ジュラン・ヤトラが盛んな地域

ジュラン・ヤトラを、特に盛大に祝う地域としては、ブリンダーバン、マトゥラー、マヤプールが知られています。

①ブリンダーバン

ブリンダーバン(Vrindhavan)は、ウッタル・プラデーシュ州西端に位置します。ヴィシュヌ派クリシュナ神信仰の、最大の聖地とされ、大小無数の寺院が建てられています。

クリシュナが信者たちの前に現れ、説諭を説いたとされる場所など、様々な巡礼の場所があります。

また、この地は「寡婦が捨てられる町」としての顔もあり、2万人ほどの、身寄りのない寡婦が暮らしています。

②マトゥラー

マトゥラー(Mathura)は、ブリンダーバンに隣接する、ウッタッル・プラデーシュ州の古都です。

クリシュナ神は、元来、この地域に由来する土着の神でしたが、それがヴィシュヌの化身として、ヒンドゥーに融合されたとの説が有力です。

15世紀以降、この地に、有力なクリシュナ信仰の諸派が集まったため、ブリンダーバンとともに、クリシュナ信仰最大の聖地としての地位を、確立しています。

③マヤプール

マヤプール(Mayapur)は、西ベンガル州コルカタの北約130㎞にある地域です。この地は、ゴウディヤ・ヴァイシュナヴァ派(Gaudiya Vaishnava)の本拠地で、多くの寺院があり、クリシュナ神の聖地となっています。

この宗派は、ヴィシュヌ派でありながら、化身であるクリシュナを、最高神として崇める宗派です。クリシュナとラーダーへ、献身的な愛(バクティ)を捧げます。

ゴウディヤは、ベンガル地方の地域の名称です。

3.インドのブランコとヒンドゥー文化のまとめ

ブランコが、インドの古代ヴェーダ聖典に登場しているとは驚きでした。しばしば、神々の遊具としてもブランコは描かれており、ヒンドゥー文化の幅の広さには驚かされます。

日本人には当たり前のものでも、ヒンドゥー文化の中では、重要な意味をもつものなど、まだまだあるのかもしれません。また、面白いヒンドゥー文化の話があれば、紹介したいと思います。

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