鳥葬:パールシー(ゾロアスター教徒)の慣習

鳥葬:パールシー(ゾロアスター教徒)の慣習

皆さんは鳥葬をご存じですか?遺体を鳥に食べさせる葬儀です。

私が最初に知ったのは、インドに初めて行った際に持って行った『地球の歩き方』でみたのがきっかけでした。当時はインド文化に興味があったので、ボンベイに行く機会があれば見てみたいなと思ったことがあります。でも、想像するとグロいです。

今回は、パールシー(ゾロアスター教徒)の慣習である鳥葬について紹介します。

1.鳥葬とは?

鳥葬は、パールシーやチベット仏教などでみられる葬儀で、遺体を鳥に食べさせます。今回紹介する鳥葬は、ゾロアスター教由来のもので、宗教的理由としては、遺体に宿った悪魔を浄化するための儀式です。

善神アフラ・マズダ()の象徴として火を崇拝するパールシーは、遺体が火を穢すと考えるため火葬は行いません。また、水や土も神聖視されているため、水葬や土葬も行われません。

ペルシア時代の鳥葬は、道端に遺体を置きハゲタカに食べさせ、のちに乾燥し骨だけになった遺体を磨崖窟と呼ばれる場所で曝葬(ばくそう)していました。

インドに移ったのちもこの慣習は引き続き行われています。湿度の高いインドでは、遺体が腐りやすいために、沈黙の塔と呼ばれる塔の上に遺体を置き、鳥に食べさせます。

骨だけとなり乾燥することは、悪魔から浄化したと考えられ、その後は神聖視される「土」にかえすということです。

  • 鳥の食べるスピードが早いほど、宗教的には浄化が早いと考えられます。
  • 葬儀は死んだ日のうちに行われることが望まれていますが、日が沈んだ後には行われません。
  • パールシーは、遺体が金属製の台に置かれ、葬儀が終わるのを見たあと、沐浴などで身を浄め、3日間死者を弔う儀式を行います。
  • この沈黙の塔はムンバイなど、パールシーのいる地域に設置されています。

2.鳥葬が行われる場所は?

ムンバイで鳥葬が行われているのは、ゾロアスター寺院のあるマラバル・ヒル(Malabar Hill)という場所が有名です。このマラバル・ヒルは南ムンバイにあり、ムンバイでも最高級の住宅地で、有名なゴドレージグループ創業者一家をはじめとしたパールシーの著名人が多く暮らしています。ムンバイに住むパールシーは、概して富裕層として認識されています。

沈黙の塔は、マラバル・ヒルにあるゾロアスター寺院近くにあります。石で作られた円筒状の高さ約18フィート(5.49メートル)、周囲は約300フィート(91.4メートル)の塔で、中心に大きな穴があって、その穴に向かって緩やかな斜面となっています。

その斜面にはくぼみがあり、そこに衣服を脱がした状態で遺体を置きます。その斜面の溝には、血や雨水を流す溝があり、中央の穴に繋がっています。遺体をハゲタカが食べ、乾燥したのちに穴の中に投げ込みます。これは聖なる大地にかえすという意味があります。

このエリアには鉄の扉があり、聖地であるために、パールシー以外の立ち入りは禁止されています。観光客は、外からハゲタカの動きを見ることしかできません。

3.現在の鳥葬

現在のマラバル・ヒルは、1平方フィートあたり10万ルピーと、インドでも屈指の高い地価となっています。年々人口が減っているパールシーですが、今も沈黙の塔では鳥葬が行われています。

現在、この鳥葬が抱えている問題点をみてみましょう。

①ハゲタカの個体数の減少:

都市開発によってハゲタカの生息区域が破壊され、個体数の減少が確認されています。

さらに1990年以降、牛に広く投与されていた薬がハゲタカにとって毒であり、その牛の遺体を食べていたため、個体数を減らしたもう1つの原因とされています。この薬は2006年禁止されましたが、ハゲタカの個体数は95%減少したといわれています。

②鳥葬の恐ろしいイメージが広まる:

沈黙の塔に積まれた鳥葬のドキュメンタリーの動画が広まり、ヒンドゥー社会に恐怖や偏見を広めることになりました。死を不浄と考え、火葬を重要視するヒンドゥー文化とは異なる文化のため、中止を求めるデモや嫌がらせがおこったといいます。

③伝染病の拡散:

鳥葬は伝染病対策のため、日本でも禁止されています。

現在、ハゲタカの個体数減少により、遺体を食べるスピードも従来に比べ遅くなっているため、沈黙の塔には時期にもよりますが、置かれたままの遺体が多数あるといわれています。その腐乱した遺体から、伝染病が広まるのではないかと危惧の声があります。

現在、市当局の検査、消毒は行われており、安全宣言を出していますが、不安視する人は依然としています。

4.パールシー(ゾロアスター教)の慣習:鳥葬のまとめ

ムンバイの沈黙の塔は、以前から興味がある場所でした。私はその独特な塔で行われる鳥葬に、神秘的なイメージをもっていたのです。

ただ、今回鳥葬の動画をみましたが、正直グロかったので、現在は遠巻きからハゲタカでも観れば満足だなと思います。遺体がたくさん積まれているときもあるということなので、近くにいくのもちょっと・・・って思ってしまいました。

ただそれでも、非常に興味深い文化です。ボンベイに行った際は、こうしたパールシーに関する展示物が多く展示されているドクターバウーラージ・ラッド博物館(Dr. Bhau Daji Lad Museum)に行って勉強してみたいと思います。

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インダス文字を刻んだ印章や、彩色された土器も出土しています。
TATAグループ一族の例は極端ですが、その他にも大勢の著名人、富豪がパールシーにはいるといいます。