インドの大統領

インドの大統領

インドに大統領がいることはご存知でしょうか?普段の政治では、が前面に出てくる国なので、なかなか目にする機会も少ないと思います。

私も、いるのは知っていましたが、何者が就任しているのかなど、全然知る機会がありませんでした。

そこで今回は、インドの大統領制と、歴代の大統領についてみていきます。

1.インドの大統領制

インドの大統領は、インド憲法において国家元首と定められており、連邦議会の上下両院(ラージャ・サバーロク・サバー)と、各州議員(二院制を取っている州では下院議員)からなる選挙人による、間接選挙で選ばれます。

任期は5年です。

大統領は、首相の任命権や各州知事の任命権、そして州政府が憲法の規定に従っていないと判断した時には、大統領直轄統治を行うことができるなど、非常に強力な力をもっています。

インドでは歴代首相が、北インド出身のヒンドゥー教徒にほぼ独占されていたため、象徴的意味合いの強い大統領職は、ムスリム、シク教徒不可触民、ドラヴィダ系インド人などが選ばれる傾向にあります。

大統領の政治的発言は、首相の意向を汲んだものであることが多く、憲法上の大統領と首相の権限の関係は、必ずしも明確とはいえません。

例えば1977年、ジャナタ党をはじめとした非会議派連立政権が誕生すると、大統領が、独自の憲法上の権限を主張したことで、混乱が生じています。

他方、1960年代以降、中央政府と対立する政党が、州政府において政権を取り、中央政府に一切の妥協を示さない事態を想定し、大統領による直轄統治が導入されています。

これは大統領が、中央政府の要請のもとに、州政府の解散や州議会の停止・解散を命じるものです。これについては、大統領の権限が、州自治への介入の道具として、自由民主主義を抑圧する力として利用されたと、野党を中心に批判が起きています。

次の項では、歴代の大統領を簡単に紹介します。

2.インドの歴代大統領

第1代大統領ラジャンドラ・プラサード(Rajendra Prasad):1950-1962

R.プラサードは、初代インド大統領、2期以上を務めた唯一の大統領として、知られています。

プラサードは独立運動時に、自由を求める闘士として活躍し、高い求心力をもっていました。

第2代大統領サルヴェパッリー・ラーダクリシュナン(Sarvepalli Radhakrishnan):1962-1967

S.ラーダクリシュナンは、インド初代副大統領として、初代大統領プラサードのもとに就任していました。

哲学者・作家としても、大きな支持を集めた人物です。

西洋によるヒンドゥー批判を、無知によるものと逆に批判し、独立期のヒンドゥー・アイデンティティ形成に、大きな寄与をしたと評価されています。

第3代大統領ザキール・フセイン(Zakir Husain):1967-1969

Z.フセインは、ムスリム初の大統領として知られています。

第2代大統領ラーダクリシュナンのもと、副大統領を務めています。

任期中に死亡した、初の大統領となっています。

第4代大統領ヴァラーハーギリ・ヴェンカタ・ギリ(Varahagiri Venkata Giri):1969-1974

V.V.ギリは、第3代大統領フセインの死後、大統領代行を務めた後に、大統領に正式に選出されています。

ギリは1926年、労働組合を設立するなど、労働者の代表として、イギリス政府に権利を要求し、独立期には組合員に、インドの自由を求める運動に参加するように呼びかけ、会議派と緊密に連携をしました。

第5代大統領ファクルディン・アリ・アーメド(Fakhruddin Ali Ahmed):1974-1977

F.A.アーメドは、アッサムからの移民ムスリムの子として、オールドデリーで生まれました。

インディラ・ガンジーのもと、緊急事態(1975-77)を発布したことは、インディラの政敵を、次々と投獄することに繋がっています。

任期中の1977年に、事務所で倒れ、死亡しています。

第6代大統領ニーラム・サンジーヴァ・レッディ(Neelam Sanjiva Reddy):1977-1982

N.S.レッディは、史上最年少で、インド大統領に就任しています。

アーンドラ・プラデーシュ州で生まれ、インド独立期に、独立運動に参加したことにより逮捕されています。

第7代大統領ザイル・シン(Zail Singh):1982-1987

Z.シンは、シク教徒として、初の大統領に選出されています。

ザイル・シンの任期中は、世界を騒然とさせた「ブルースター作戦(シク教過激派が占拠した黄金寺院へ軍隊派遣)」やインディラ・ガンジー暗殺シク教徒の虐殺が起きています。

多くのシク教徒の反発を招いた「ブルースター作戦」について、インディラ・ガンディーに説明を求めましたが、返答はありませんでした。

第8代大統領ラマスワミー・ヴェンカタラマン(Ramaswamy Venkataraman):1987-1992

R.ヴェンカタラマンは、独立運動に積極的に参加し、拘留されています。

法の専門家であり、インド憲法起草委員会にも参加しています。

インドの防衛力向上のため、様々な動きをしています。

第9代大統領シャンカール・ダヤル・シャルマ(Shankar Dayar Sharma):1992-1997

S.D.シャルマは、インド独立運動の闘士として、会議派に参加します。

アーンドラ・プラデーシュ州知事を務めていた間、シク教徒の過激派による襲撃で、義理の息子が殺されています。

第10代大統領コチェリル・ラーマン・ナラヤン(Kocheril Raman Narayan):1997-2002

K.R.ナラヤンは、不可触民出身の初の大統領となっています。

ナラヤンは、初代首相ネルーの要請で外交官として働き、「インド最高の外交官」との評価をされています。

大統領令により、州議会の解散を課すなど、従来の大統領とは違った大統領の顔を見せています。

第11代大統領アブドゥル・カラーム(Abdul Karam):2002-2007

A.カラームは航空宇宙科学の専門家で、インドのミサイル防衛の向上に寄与したことで知られています。

カラームが国防研究開発機構のトップに就いているときに、核実験が行われています。

第12代大統領パラティバ・パティル(Pratibha Patil):2007-2012

P.パティルは、現状、インド唯一の女性大統領となっています。

法律の専門家として、社会問題の解決に取り組む姿勢が、高い評価を受けています。

第13代大統領パラナブ・ムカルジー(Pranab Mukherjee):2012-2017

P.ムカルジーは、50年にも及ぶ政治家としてのキャリアを築いている、インドを代表する政治家です。

インディラ・ガンディーの暗殺後、権力闘争に敗れていますが、その後、復権し、大統領になっています。

第14代大統領ラーム・ナト・コーヴィンド(Ram Nath Kovind):2017-

R.N.コーヴィンドは、不可触民出身の政治家です。貧しい家庭で育ち、5歳の時に母をなくしています。

特に農村部で、教育の普及に力を入れた政治活動を行っています。

3.インドの大統領のまとめ

以上みてきたように、インドの大統領職は、独自の動きを取りずらい「名誉職」的なポストとなってきました。

個人的に興味があるのは、シク教徒の大統領ザイル・シンです。シンの在任中に起きた、シク教とヒンドゥーの大きな問題における、立ち位置が気になりました。機会があれば、シンに焦点を当てた記事を書いてみたいと思います。

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毎年約5万人の死者を出しているといわれています。
インド社会では極めて重要な制度となっているので、知っておいて損はないものです。