ヒンドゥー文化と植物崇拝

ヒンドゥー文化と植物崇拝

インド人の家に行くと、だいたい(礼拝)をする部屋があり、そこにはさまざまな宗教的なものが置かれています。信仰対象の主神の絵や像、そして植物が置かれている家もあります。その植物は丸太のような大きなものから、葉、花までさまざまです。

今回はこうした植物崇拝が、ヒンドゥー社会で行われる由来などを紹介します。

1.ヒンドゥー文化の中の植物

ヒンドゥー社会において植物は、衣食住を供給し、病を治療(生薬)するため、多くの人々の間で信仰の対象となってきました。木には神様が宿ると考える一方で、精霊悪霊死霊も木に宿ると考えられています。健康に害を与える毒をもつ植物は、悪霊などが宿ると考えるということなのでしょう。

ヒンドゥーの世界において、植物は人間や動物と同様の存在と考えられ、木に敬意を抱き接することは、徳の高い行いという考えが根付いています。

宇宙万物の創造神のプラジャーパティ(prajapati)の一人であるダクシャ(Daksa)は、木の娘であるマーリシャーから生まれたという神話のように、木を神聖視、象徴化する際には神話を伴います。神の身体の一部から生まれる、神の住む場所である、神の所有物に似ているなど、神話が生まれる際は多くの理由付けがされます。

このような文化の中で、植物などに神の象徴以上(神の力 + 植物の力)の役割を与えます。すべてのものに魂が宿っているとするアミニズム的考えは、現在のヒンドゥー社会にも色濃く残っています。

次の項では、広く知られている植物崇拝の対象となる「インド菩提樹」について紹介します。

2.インド菩提樹とアミニズム信仰

インドの植物崇拝の中で最も有名なものは「インド菩提樹」でしょうか。多くのインド人が、この菩提樹から作られた数珠やネックレスをもっているので、見たことがある人も多いと思います。身につける以外にも、車のバックミラーにぶら下げたり、家庭のプージャーをする部屋に置かれていたりします。

古代のインダス文明の遺跡からも、インド菩提樹が刻まれた土器などが発見されており、その絵柄から、いかに篤く信仰されてきたか窺えます。

インド菩提樹の根、幹、枝葉は、ヒンドゥーの3大神として知られる、ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァを象徴します。また、この菩提樹はヒンドゥー教の最高原理であるブラフマン(宇宙の原理、梵、アートマンと同一)を象徴するものと信仰され、毎朝礼拝を行う宗派もあります。

また、富の女神であるラクシュミーも、インド菩提樹に住んでいるとする信仰もあります。そのため、多くの女性が家内安全や富を願い、毎週日曜日に菩提樹を祭るといいます。ベンガル地方、特に農村部ではこうした信仰が広く行われており、幸福な結婚や息子を授かることを願い、インド菩提樹の成葉、若葉、新芽、枯葉、朽葉の5枚の葉を用いて儀式が行われています。

仏教ではブッダがこのインド菩提樹の下で瞑想をし、悟りを開いたことで知られています。ブッダのように、さまざまな聖人や賢者が、菩提樹の下で瞑想をしていたとする神話や逸話が数多くあります。

次の項では、インド菩提樹以外の植物崇拝の例をみてみたいと思います。

3.その他のアミニズム的植物信仰

3-1.カミメボウキ

シソ科の多年草であるカミメボウキは、ヴィシュヌ神の妃であるラクシュミー女神の化身と考えられています。この草を祭ることで、神の祝福を与えられ、富や子孫、健康を守ることができるとの信仰があります。そのため、多くのヒンドゥーの家に植えられており、花や米、シンドゥール(おでこなどに塗る赤い朱肉のようなもの)を捧げ、お祈りをします。

ケーララ州の特定の地域では、このカミメボウキがシヴァ神の代理として、信仰の対象になっています。

3-2.ベンガル菩提樹

ベンガル菩提樹も、シヴァ神などの象徴として信仰されています。よくみる構図としては、ベンガル菩提樹の下に、シヴァ神を象徴するリンガと三又の刃先の槍を立てかけたものがあります。またベンガル菩提樹は、ブラフマー神の象徴としても考えられています。

ベンガル地方では、歴史的に子供の守護神と考えられているショスティ女神を祝う祭りで、象徴としてこの菩提樹が使われています。

ヒンドゥー教や仏教において、ベンガル菩提樹は望みを叶える木として広く慕われています。

3-3.ベルノキ

ベルノキは、三又のようになっている葉の形から、シヴァの槍を投影され、シヴァの象徴とされました。有名なシヴァラートリー祭でも、このベルノキは儀式に用いられています。

4.高い薬効から信仰の対象となった植物

高い薬効としての効果から、信仰の対象となる植物もあります。

アーユル・ヴェーダ医学で高い薬効をもつ植物として知られるアンマロクの木も、ヒンドゥーの神が宿るとされ、祭りが行われるエリアがあります。アンマロクの木は、シヴァとのかかわりでも知られており、シヴァラートリーの祭りでもこの木が祭られています。

ベンガル地方では、皮膚病に効くゲントゥという植物も、皮膚病の守護神として祭られています。また、このゲントゥの妻は、天然痘に効果的な薬効をもつ植物、シータラーとされています。

この他にも、多くの植物が生薬として用いられる文化のため、多くの植物が神々と結び付けられ、信仰の対象となっています。

5.ヒンドゥー文化と植物崇拝のまとめ

みてきたように、多くの植物がさまざまな理由づけから信仰の対象になっています。森羅万象に神が宿るというヒンドゥー文化は、植物以外にもすべての事象に神様がかかわり、神話が無数につくられています。

自分の好きな花や動物と神々にまつわる神話を調べてみると面白いかもしれません。ちなみにインドでも最近はを飼う人が増えていますが、元来「不浄」な動物とされていましたので、あまりよい神話はありません。

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そして1889年10月19日、裁判所で死刑判決を言い渡されます。
インド神話の中で、たびたびクジャクは登場しており、ヒンドゥー文化の中で存在感をはなっています。