クジャクとヒンドゥーの神々

インドの公園で、クジャクを見たことがある人は多いのではないでしょうか。私がよく行っていたデリーの公園にも、クジャクが何羽もいました。人の背丈くらいありそうな大きさで、迫力はあるけれど、優雅にも見える独特の鳥です。

今回は、インドの国鳥であるクジャクと、それにまつわるヒンドゥーの神々についてみてみます。

1.クジャク

クジャクはキジ目キジ科クジャク属の総称で、大型の陸鳥です。全長は雄180~230cm、雌90~100cm。クジャク属にはインドクジャクとマクジャクの2種がおり、南アジアにはインドクジャクが留鳥として分布しています。

雄は大きな飾り羽を持ち、その羽先には眼のような青い模様があります。繁殖期にはこの大きな羽を、扇のように開きアピールをします。

インドクジャクはインドの国鳥です。

2.ヒンドゥー教の中のクジャク

インドにおいて、クジャクはマハーマユーリー(Mahamayuri)という女神として神格化され、信仰の対象となっています。マハーマユーリーは「偉大なクジャク」を意味し、仏教においてマハーマユーリーは孔雀明王という名で、信仰の対象となっています。

クジャクは鳥類の王ガルダ(Garuda)の落とした羽から生まれたとされ、ガルダと同様にヘビを食べると考えられていました。ヒンドゥーの聖典『リグ・ヴェーダ』や『アーユル・ヴェーダ』でクジャクが毒に耐性をもっていると描かれているのも、ガルダに由来するものです。

マハーマユーリーは金色のクジャクに乗り、クジャクの尾を持っており、その尾は毒を払うといわれています。

パンジャーブの民間信仰では、ヘビに噛まれたら、クジャクの羽をパイプに詰めて吸えば回復する、との伝承があります。この民間信仰も、古来から伝わっているクジャクが毒を払うという伝承の影響といえます。

クジャクにまつわるヒンドゥーの神を2つほど簡単に紹介します。

1.スカンダ

スカンダ(Skanda)神は仏教において「韋駄天」(いだてん)という名で伝わっています。

6つの顔と12の腕をもつ神で、ガルダ神から贈られたクジャクを乗り物としています

ヒンドゥー教において、スカンダは軍神として信仰され、父はシヴァ、母はパールヴァティーです。

2.サラスヴァティー

サラスヴァティー(Sarasvati)はインド神話の神格の一つで、芸術や学問をはじめとする「」を司り、日本では弁財天として知られています。

インダス川東を流れていたとされた川が、女神として神格化されたもので、クジャクを乗り物としています。穢れを払い、富をもたらす神として、広く信仰の対象となっています。ヒンドゥー教の最高神であるブラーフマに生み出され、ブラーフマと結婚しています。

その他にもインド神話の中で、たびたびクジャクは登場しており、ヒンドゥー文化の中で存在感をはなっています。

次の項ではインド神話でクジャクを生んだといわれている神、ガルダについて触れてみたいと思います。

3.ガルダ神

ガルダ神は伝説の巨鳥で、鳥類の王として信仰されており、仏教では迦楼羅天(かるらてん)として伝わってます。英語ではガルーダ(Garuḍa)と呼ばれ、こちらの呼称だと知っている人も多いのではないでしょうか。ヴィシュヌの乗り物としても知られています。

聖典『マハーバーラタ』で描かれている、ガルダの神話を簡単に紹介します。

  1. 造物主プラジャーパティの2人の娘、ヴィナターとカドゥルーは最高神ブラーフマの子カシュパヤと結婚し、カドゥラーは1000匹のナーガ(蛇の精霊)、ヴィナターはカドゥルーのナーガより優れた子2人を望みます
  2. 2人は500年子供が入っている卵を温め続け、先にナーガ1000匹が生まれましたが、ヴィナターの卵は孵らなかったため、タマゴの1つを割ると、上半身のみでタマゴの外に出されたで、息子アルナ神は怒り、カドゥルーの奴隷になる呪いをヴィナターにかけます
  3. ヴィナターが奴隷となったのち、卵からガルダが生まれ、ガルダもカドゥルーの支配下に入り、その後ナーガ族に母と自身の解放を求めると、天界にある不死の飲料の甘露(アムリタ)と引き換えの条件を提示されます
  4. ガルダは天界を襲い、多くの神々を打ち倒し、甘露を奪いナーガのもとに向かう途中、ヴィシュヌ神と出会い、ガルダの行動力に感動したヴィシュヌは、甘露を用いずに不死を与え、ガルダは見返りにヴィシュヌの乗り物になることを誓い、ナーガを常食とすることを約束します
  5. ナーガ族のもとに戻ったガルダは、ナーガ族に甘露を渡すふりをして母を奪い返し、それ以降ナーガを常食し続けました

以後の神話もあり、そこではガルダに食べ尽くされそうになったナーガを救うジームータヴァーハナ王子の、自己犠牲の物語などがあります。

4.インドの国鳥クジャクとヒンドゥー文化のまとめ

私は主にデリーに住んでいましたが、クジャクを見る機会は多々ありました。政府施設の敷地の中や公園など、色々な場所で遭遇します。土産物屋にいけば、クジャク関係のものも必ずといっていいほどあります。

日本では動物園以外ではあまり見る機会のない鳥ですが、インド人にはなじみ深い、文化の中に溶け込んでいる鳥です。大きい公園や古い遺跡のある場所にいることが多いので、クジャクが好きな人は休日にのんびり、レジャーシートでも敷いて眺めてみるのもよいかもしれません。

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