密造酒による大惨事:2020年8月パンジャーブ州

密造酒による大惨事:2020年8月パンジャーブ州

インドでも現在、大きく取り上げられている、パンジャーブ州の密造酒にまつわる惨事をご存知でしょうか。わかっているだけでも100人余りが、密造酒を飲んだことによって、死んでしまった事件です。

今回は、パンジャーブ州での密造酒の惨事と、その事件が起きた背景、そして、インドのアルコール事情を紹介します。

1.2020年8月、パンジャーブ州の密造酒事件

2020年8月、インド北部のパンジャーブ州タルン・タラン(Tarn Taran)県を中心とした地域で、密造酒により、100人余りが死亡する事件が起きました。この事件により、密造酒を製造した業者25人が、逮捕されています。

この密造酒の価格は、1リットル当たり約10Rsという、市場価格では考えられないような値段で売られていました。

なお、宗教上の理由から、検死を拒む親族も多くいるため、実際には、より多くの人々が、今回の事件で亡くなっているとみられています。

現在も、販売された密造酒が、すべて回収されたわけではなく、同州のでも、密造酒による10人以上の死亡事件が、確認されています。

2.なぜ密造酒による惨事は毎年のように起きるのか?

インドでは、年間50億リットルの酒が消費されており、その約40%が密造酒だといいます。

インドでは、密造酒による、今回紹介したような事件が毎年起きていますが、何故、なくならないのでしょうか。

いくつか、原因をみてみたいと思います。

2-1.密造酒製造工程の問題

インドでは正しい知識をもっていない人々が、密造酒を作ることが、ままあります。

本来、酒は、醸造過程でアルコール度数を高める製法を取りますが、事故を起こす密造酒の場合は、そうした方法を取らず、手間をかけずにアルコール濃度を高めようとするため、メタノールを用いるということです。インドではアルコール度数の高い酒が好まれるため、製造費を少しでも安く、少しでも濃い(アルコール度数が高い)酒を売るために、メタノールを混ぜてしまうようです。

恐らく、密造酒業者も、人を殺すために作っているわけではないので、無知のためと思われます。

メタノールを用いた密造酒による死亡事故は、インドだけでなく、世界中で、現在も起きています。

2-2.市場の酒を変えない層の需要

密造酒の流通がなくならない、最大の要因となっているのが、貧困層です。

こうした層にとって、市場で流通している酒は高価であるため、酒を飲むためには、密造酒を買わざるをえないのです。

密造酒は安く、アルコール度数も高いため、安易なリラックスやストレス解消の道具と考えられています。

2-3.マフィアによる市場

密造酒は、マフィアによって製造されていることが、よく指摘されます。

密造酒を製造する労働者は、マフィアが、スラム街や路上生活者などから、リクルートすることが多いようです。こうしたスラム街の人々は、学識のない人がほとんどのため、マフィアが製造方法を教えても、次第に面倒になり、より楽な製造方法を、自身で勝手にアレンジしがちといいます。

そのため、今回の事件のようなことが、しばしば起きてしまうのです。

こうした密造酒の事件で捕まるのは、あくまで、末端の従業員であることがほとんどで、マフィア本体には届かない構造になっているといいます。

3.インドのアルコール事情

インドでは文化的に、飲酒は嫌われており、ヒンドゥー最高権威の聖典『マヌ法典』においても、悪酔いすることを罰すると書かれています。

また、女性への暴力や性犯罪を起こす男性の85%が、アルコール依存症との関連があるといわれており、酒がらみの犯罪率の高さも、社会問題となっています。

ちなみに、アルコール依存症の人は、人口当たり1%程度といわれています。

WHOによると、インド人1人当たりの年間アルコール摂取量は、6リットル強といわれ、飲酒をしない人口割合を考えると、飲酒者の摂取量は、相当の量になっていると考えられます。

アルコール依存症者は、スラム街など、貧困層に多いといわれています。これは、密造酒の影響もあるといわれ、市場に出回っている酒には、入れることのない原料を用いていることもあるそうです。そのため、前述した死亡事故や、重度の依存症を引き起こすことがあるということです。

インドでの酒類販売は、アルコール度数の高いラムなどの蒸留酒が中心で90%強、ビールは10%弱、ワインは1%程度ということです。

ちなみに、私はビールとラム、ウィスキーを飲んでいます。実際に、ミドルクラスのインド人と飲むと、甘いラムなどを、延々と飲んでいる人が多い気がします。

4.密造酒による大惨事:2020年8月パンジャーブ州のまとめ

デリーの下町に暮らしていた際、インド人の友人から、デリーのヤムナー沿いにあるチベタン・キャンプで、ヤシから作る、美味しいアラックの密造酒が飲めると聞き、週末に行こうと話していたことがあります。

アラックは好きなので、楽しみにしていたところ、そのキャンプで、今回紹介した事件と、まったく同じような惨事が起きたんです。40-50人ほどが、死んだ記憶があります。

それから、密造酒を飲んでみようという気持ちは、一切起こらなくなりました。また機会があれば、インドの酒に絡んだ情報を紹介できればと思います。

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