鉄鋼王ミッタル

鉄鋼王ミッタル

近年、世界を股にかけ活動し、インド経済へも多大な貢献をする在外インド人(日本では華僑にかけて印僑ともよばれています)の活躍が増えています。

日本では、一時期話題になったニケシュ・アローラ氏(元ソフトバンク代表取締役副社長)が知られています。その他にも、ペプシコ初の女性CEOインドラ・ヌーイ氏など、挙げればきりがありません。

こうした在外インド人のトップにいるといわれているのが「鋼鉄王」ラクシュミー・ミッタル(Lakshmi Mittal、以下ミッタル)です。ミッタルは、ロンドンを拠点とする巨大企業「アルセロール・ミッタル(Arcelor Mittal)」を率い、大規模な企業買収を繰り返しています(その規模は日本の新日鉄の3倍!)。

今回は、このミッタルと彼の事業について紹介します。

1.ラクシュミ・ミッタル

ミッタルは1950年、バニア(Bania、商人)カーストとして、ラジャスタン州の砂漠地帯で生まれました。ミッタルはコルカタ大学を卒業後、父が始めた鉄鋼会社で働き始めます。当時のインド産業界は、社会主義的政策を志向する政府による、厳しい規制が多くあったため、自由な事業展開が望める状況にはありませんでした。

そこで、ミッタルの父は、自由な活動ができる、海外での事業展開を考え、27歳になったミッタルに、インドネシアでの鉄鋼運営を任せます。この鉄鋼の運営で、ミッタルはすぐに成果を出すことになります。従来とは異なる生産ライン(細かく砕いた鉄鉱石を、炉に直接供給する直接還元法)を導入することで、生産能力が大幅に向上したのです。

これにより大成功を収めたミッタルは、世界各地の破産寸前の向上を、安値で買収、再建を繰り返す手法で、一気に拡大していくことになります。

そして1989年、インドネシアの鉄鋼会社を前身としたミッタル・スチールが設立され、一気に拡大していきます。なお、ミッタルの鉄鋼は、建材などに用いられる低価格路線のもので、決して、ハイスペックな鉄鋼といえるものではありませんでした。

2.父モハンの始めた製鉄

ミッタル家の製鉄業を始めたのは、ミッタルの父モハン(Mohan Lal Mittal)でした。

ミッタル家は代々、金属のスクラップ業を営んでおり、父は製鉄の分野への進出を望んでいました。が、インド独立当初、インド政府は、製鉄企業の公有化を国の政策としたため、民間人の参入はできませんでした。

しかし、慢性的な鉄不足により、1960年代に入り、政府は規制を緩和することになります。モハンは小規模ですが、電炉製鉄事業の参入権を得、1963年から事業をスタートします。

ただ、当時インド政府が許可した製鉄は、あくまで小規模のものであったため、モハンは狙い通りの事業を行うことはできなかったといいます。そこでモハンは、活路をインドネシアに見出すことになります。

インドネシアは経済発展のため、グローバル企業参入の環境を整備したことで、モハンは1976年に、老朽化した製鉄工場を買収、イタリアの技術を導入し、生産を開始します。そこで、若いミッタルは手腕を振るい、大きな成果を上げていくこととなったのです。

3.世界一の企業へ

3-1.工場再建手法

ミッタルの買収した、工場再建の手法を紹介します。

  1. 世界的な専門家集団に、問題点を精査させる
  2. 近代化・最適化する
  3. 人員の大幅削減はせず、経営陣の刷新と、従業員の意識改革を最優先とする
  4. 買収先の経営陣を、ミッタルのもと、経営再建に成功した人材に刷新する
  5. 従業員のモチベーションを高める

3-2.世界展開

ミッタルの工場再建の手腕は「病める工場のドクター」と呼ばれ、世界的に注目を集めていくことになります。ミッタルの工場再建は、1989年トリニダード・トバゴの国営企業に始まり、その後、欧米やアジアなどで、買収・再建を繰り返し、事業を拡大、業績を伸ばしていきました。

そして1998年に、アメリカ第6位のインランド・スチールを買収、さらに買収を進め、2004年には、アメリカ鉄鋼大手のインターナショナル・スチールを買収することで、鉄鋼の生産量が世界一となります。

そして2006年、世界第2位のアルセロールの買収を成功させます。それまでのミッタルは、世界1位の生産量といっても、生産する鉄鋼の質は決して高いものといえませんでした。しかし、アルセロールは、もともとフランス・スペイン・ルクセンブルクの鉄鋼3社が合併して成立した巨大企業であり、ハイスペックな鉄鋼の製造も可能としていました。つまり、この合併によって、ミッタルは弱点を補い、自動車など、成長の見込める分野の鉄鋼製造を可能としたことになります。

こうして、名実ともに世界一の鉄鋼企業「アルセロール・ミッタル」が誕生しましす。

4.鉄鋼王ミッタルのまとめ

近年、ミッタルは中国メーカー宝武鋼鉄の猛追を受け、ついに2019年、生産量世界一の座を明け渡すことになってしまいました。

ただ、従来、ミッタルが維持してきた生産量一位の座も、過剰生産によるものといわれており、それを上回る過剰生産が、中国メーカーにより起きていることが、懸念されています。現在のコロナ禍が、アルセロール・ミッタルにどういった影響を与えるのか、注目していきたいと思います。

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