インドの仮面舞踊

インドの仮面舞踊

インドには様々な伝統芸能、舞踊がありますが、その中の一つ、仮面舞踊をご存知でしょうか。仮面舞踊は、ベンガル地方のものが特に有名で、ユネスコの世界遺産にも認定されており、世界各国で公演が行われています。宗教的背景をもった、独特な仮面が特徴です。

今回は、インドの仮面舞踊について紹介します。

1.仮面とヒンドゥー文化

インドでは、様々な宗教儀式において、伝統的に仮面が用いられます。

変身のための重要な道具である仮面は、それを身につけることにことによって、一瞬にして、日常から非日常の存在へと変身することができる、大変便利なものであると同時に、非常に危険なものでもあります。

仮面と似た性質のものとしては、化粧があり、これも変身のための、重要な手段です。

例えばケーララ州の伝統的儀礼の芸能カタカリ(Kathakali)は、この変身の化粧に、数時間という時間をかけます。

この伝統芸能の担い手たちは、この変身への長い過程、時間をかけて化粧をする行為自体が、儀礼の一部と考えられ、重要視されています。

化粧を用いる変身に比べると、仮面をかぶるのは一瞬であるため、仮面のもつ特性は、大きく2つに分けられます。

1つは、仮面そのものが、すでに神のような存在として、信仰されているものです。つまり、仮面を身に着けることは、神の力を身にまとう、もしくは神の憑依を現すことになります。

こうした信仰をされている仮面は、いつ、仮面を介して、神が人間に憑依するかもしれないという、神聖さと危険さをもつ存在と認識されています。そのため、普段から司祭によって、厳重に管理されています。疎かに扱うと、神の怒りをかうためです。

こうした仮面のほとんどが、長い歴史をもち、時代とともに、神聖性を増していくこととなります。

もう1つは、仮面を、神が憑くための依り代と考えるものです。

この考えでは、仮面をかぶるという行為自体に意味をもつのでなく、仮面を身に着けながら、宗教儀礼や芸能を行うことによって、神を呼び降ろす、ということが目的です。

そのため、神を呼び降ろす儀礼が終わると、神は再び、仮面という依り代から、離れることになります。

そして、仮面が、神の依り代としての役目を終えると、神が再び、その仮面にとり憑かないように、あえて、儀礼の一部として、仮面を廃棄するといいます。

こうした仮面の儀礼は、ベンガル地方の仮面劇チョウ(Chhau、動画は次の項で紹介)や、ネパールのカトマンズ盆地のマハカリ・ピャカン(Mahakali Pyakhan)が知られ、年に一度、行われています。

2.西ベンガルの仮面文化

2-1.西ベンガルの仮面文化

西ベンガルの仮面文化は、ほとんどの場合、民族舞踊の中で発展してきました。

そして、このベンガルの仮面文化は、インド各地の、仮面を用いた宗教儀礼・伝統芸能のルーツになったことでも、知られています。地理的に、ベンガルの地は、文化のハブとなっており、ベンガル発・経由の文化が、各地に広まったといわれています。

ベンガルの仮面文化は、様々な形・素材の仮面があり、多くは、粘土・石・紙でできています。

木の仮面もありますが、少数派ということです。

2-2.チョウ

前述したチョウは、インドを代表する伝統的仮面舞踊として、ユネスコの世界遺産として登録されています。

チョウは、一年の農業のサイクルが終了し、新しいサイクルの始まる3月に、伝統的に行われています。

チョウで使われる仮面は、コミュニティにいる仮面専門の職人によって、作られます。この仮面は、型に、10層ほどの、接着剤に浸した紙を重ねて、貼り付けた後、細かい灰の粉をまぶします。

顔の特徴は、粘土によって作られます。

型の中で形成が終わると、天日で乾かし、型を研磨し、再び天日で乾かし、型から仮面を取り出します。

取り出した仮面の、顔の表情を仕上げ、着色と装飾が施され、完成します。

チョウの仮面は、儀礼・伝統芸能のあとに、川に捧げられます

翌年の儀礼で、再び仮面を作りますが、その際に、この仮面を捧げた川から、粘土を取り、それを仮面に塗ります

この風習も、輪廻に影響を受けたものといわれ、興味深いものです。

3.インドの仮面舞踊のまとめ

インドでは、様々なイベントで、伝統舞踊が公演されているので、今回紹介した仮面舞踊をみたことのある人も多いかもしれません。

私はデリーに住んでいたので、ディリハート (Dilli Haat)に行った際に、観たことがあります。独特の、迫力のある仮面が印象的で、思わずその仮面を、お土産で買ってしまいました。

こうした舞踊は、よく意味がわからなくても、雰囲気だけでも楽しめます。機会があれば、是非、生で観てほしいと思います。クトゥブ・ミナールの近くに、こうした伝統芸能を公演する会場があります。

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