ヒンドゥー教の数珠

ヒンドゥー教の数珠

数珠は日本でもお馴染みですが、インドで聖地などに行くと、サドゥー(修行者・苦行者)が、大きな数珠を首からぶら下げているのを、見た人も多いでしょう。実は、数珠の文化は、ヒンドゥー教が生みの親なんです。

今回は、ヒンドゥー教において、数珠はどういった意味・役割を担ってきたのかをみていきます。

1.ヒンドゥー教の数珠

数珠の起源は、ヒンドゥー教に由来します。インドではジャパマーラー(japamala)、マーラー(mala)の名で知られ、宗教文化の中で根付いています。「ジャパ」は神の名や聖なる言葉を唱えること、「マーラー」は輪を意味します。

数珠は、神の名を唱える際、その回数を数えたり、唱詠者の精神集中を補助する役割を果たします。

珠の数は、基本的には108個となっていますが、その約数である54個36個のものも、略式として流通しています。

その素材には、金属や水晶、サンゴ、琥珀、木、木の実など、様々なものが用いられます。

1-1.珠の数が108に関連した数になる理由

日本では「108」という数字は、煩悩の数などといわれますが、ヒンドゥーにおいては、どういった意味があるのでしょうか。

108にまつわる、有名なものをいくつか紹介してみます。

①ウパニシャッドの数

は、インド古代の最重要聖典、ヒンドゥー文化の根幹ともいわれている『』の最重要理念で、「奥義書」ともいわれるものです。

このウパニシャッドの数が、108といわれています(実際にはもっとあり、時代ごとに編纂が行われています)。

そのため、108という数は、インドの最重要聖典の数を表すという意味もあり、神への祈りや瞑想時に、数珠が補助的な役割を果たすと考えられているのです。

②占星術

古代からインドでは占星術が発展しており、様々な祭祀の際にも行われてきました。

この占星術は、12の星座と、9つの惑星から占われます。

12×9=108という数字が、ヒンドゥー文化の中で、重要な意味をもつということです。

③サンスクリット語文字

サンスクリット語には54の文字があり、男性名詞、女性名詞があることから、54×2=108ということになります。これは、すべてのものを含意するという考えもあるようです。

他にも、108という数字にまつわる様々な考えがあります。

1-2.神聖性の高い数珠の素材

ヒンドゥー2大宗派であるシヴァ派ヴィシュヌ派では、以下のものが、特別視される数珠の素材です。

①ルドラークシャの実

ルドラークシャ(rudraksa:ルドラ神、またはシヴァ神の目の意。和名はインドジュズノキ)の実(種子)は、特に、ヒンドゥー2大宗派の1つ、シヴァ派信者の間で、重要視されています。シヴァ派信者は、この実を、数珠として用いることを好んでいます。

ルドラークシャの実は、様々な薬効が、古代から確認され、インドの伝統医療アーユル・ヴェーダにおいても、用いられてきました。

数珠としたルドラークシャの実を、108の『ヴェーダ』そのものとなぞらえるヒンドゥー聖典もあり、古代から、特別な神性を与えられたことがわかります。

シヴァ神は、ルドラークシャの数珠を何本も付けた姿が、宗教画などにおいて描かれています。

②トゥルシーの茎

トゥルシー(tulsi:和名はカミメボウキ)は、シソ科の「万能植物」とも呼ばれる植物で、その優れた薬効から、古来より、神話の中で神性を付与されています。

トゥルシーにまつわる神話は、ヴィシュヌにまつわるものが多くなっています。

例えば、ヴィシュヌがすべての魂を救うために、荒れ狂う海の中からトゥルシーを作り出したというものや、人々を救うために、ヴィシュヌの妻ラクシュミー(美と富と豊穣、幸運を司る)が化身として、トゥルシーになったというものなどがあります。

こうした、ヴィシュヌに由来する神話が多くあるため、トゥルシーの茎から作られる数珠は、ヒンドゥー2大宗派の1つ、ヴィシュヌ派において、重要視されています。

ヴィシュヌは、トゥルシーの数珠を身に着けた姿が、宗教画などにおいて描かれています。

2.ヒンドゥー教の数珠のまとめ

インドの数珠は、宗派ごとに重要視する素材が異なるなど、多様な神話と相まって、興味深い文化を形成していました。今回は紹介しませんでしたが、女神カーリーは、人の頭の数珠をぶら下げているなど、数珠の種類も彩り豊かとなっています。

また機会があれば、ヒンドゥーの数珠文化にまつわるも紹介してみたいと思います。

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