インドの化粧文化:結婚を中心に

インドの化粧文化:結婚を中心に

インドには様々な化粧の文化があり、その多くが、宗教的な意味と結びついています。インド人の結婚式に行った人なら、見たことがあると思いますが、花嫁は独特な化粧をしています。この派手な化粧は、伝統的なもので、化粧の各部に、細かい意味をもっていたりするんです。

今回は、インドの化粧文化を、結婚式の化粧を中心にみていきます。

1.インドの結婚式と化粧

インドの結婚式では、花嫁の儀礼として、伝統的な化粧をみることができます。

結婚式の儀礼の前に、まず、花嫁はをするのですが、その沐浴の前に、全身に油膏を塗ります。この時に塗る一般的な油膏は、大麦の粉とターメリック(黄色は吉祥を表す)と油を混ぜたもので、肌を滑らかにします。

沐浴で清潔になった身体に、化粧を行っていきます。

はじめに、じゃ香、ジャスミン、バラ、樟脳、スミレの根、白檀などから作る、弱い芳香性のある軟膏を、女性の全身に塗っていきます。

ヒンドゥーの女性は、一般的に、肌が白い方が美しいと考えられ、褐色の肌にはサフラン色の軟膏を塗ると、美しさが映えるといわれています。

1-1.ビンディーとシンドゥール

額の中心に、鉛丹(えんたん)で、ビンディーと呼ばれる赤い印を付けます(このビンディーは、一般的に、新しく夫となる男性によって付けられます)。

ビンディーは、ヒンドゥーの夫が存命中の、既婚女性が付ける、伝統的な印です。

近年では、既婚女性でなくても、ファッションとしてもビンディーをつけることもあり、様々な色が日常的に使われています。

髪の分け目に塗られるのが、シンドゥール(辰砂:しんしゃ)です。

このシンドゥールも、ビンディー同様に、既婚女性の印と考えられていますが、ビンディーのように、日常的につける人はほとんどいません。

1-2.目と口の化粧

目の化粧は、スルマ(Surma)と呼ばれる、アンティモニーの粉を、アイシャドウ的にまぶたに塗りに塗り、油を燃やした煤から作るカージャル(Kajal)と呼ばれる黒色で、目の外側を隈取りします。

この目の化粧は、不完全さを表し、結婚をする新婦の美しさに嫉妬をすることがないようにという風習だといいます。

口の化粧は、アカシアやニームの小枝を、噛んで柔らかくしたブラシで、歯を磨き、歯茎や歯の隙間を黒く染めます。このお歯黒は、イスラムから伝わった文化で、ムハンマドの娘ファティマに由来するものだといいます。

  • 樹皮をこすりつけ、歯を染める地域もあります。
  • 嗜好品のパーンを噛み、唇を赤く染めます。
  • 樟脳(しょうのう)や白檀(びゃくだん)のペーストを用いて、顎や頬の適切な場所に、付けぼくろを作ります。

1-3.メヘンディ―

手や足には、ヘンナ(ヘナ)の葉をすり潰して、黄色い染料にしたメヘンディーを、着色します。

この時に描かれるのは、蓮華孔雀、スワスティカ(卍)などの、吉祥を表す模様です。

  • メヘンディーは、乾くと、くすんだ赤色になります。
  • 幸運の女神として知られるラクシュミーが愛する植物として、このヘンナはあり、女神の幸運にあやかるために、メヘンディを施すのが伝統だといいます。
  • 化学染料を水で溶いたアルタ(Alta)と呼ばれる赤い液体も、手足を彩るのに用いられます。

右手は、普段は食事に使うため、着色されることはあまりありませんが、結婚式などの時は、様々な図柄が描かれます。

1-4.髪の毛

髪の毛は、櫛でとかした後、油を付け、花飾りをつけます。

この油は、髪の毛の乾燥を防ぎ、艶を増すと考えられています。

インドでは、黒く長い髪の毛は、女性の美の象徴として考えられており、長く伸ばす女性が多いです。

最後に、花の香りのする香水を身体にかけ、一連の結婚式の化粧が完成します。

2.女性の立場を示す化粧

化粧は、女性の人生の段階を示す役割もあります。

前述したビンディーやシンドゥールのように、既婚女性を表す化粧がありますが、寡婦を表す化粧もあります。それは、化粧をしないということです。これは、ヒンドゥーの文化では、寡婦は不吉なものとされ、寡婦が化粧をすることは、他の男性に色目を使うことになる、などの偏見からきている慣習です。

部族によっては、女児の通過儀礼として、入れ墨を彫る地域もあります。

3.宗教儀礼の中の化粧

化粧は、ヒンドゥーの儀礼における「変身」としての要素をもつ地域もあり、重要な儀礼の一部となっています。

例えば、ケーララ州の伝統的儀礼の芸能(化粧舞踊)カタカリ(Kathakali)は、この変身の化粧に、数時間という時間をかけます。

この伝統芸能の担い手たちは、この変身への長い過程、時間をかけて化粧をする行為自体が、儀礼の一部と考えられ、重要視されています。

この化粧によって、神が人に憑依する環境を作ります

神が憑依した人によって、舞踊が繰り広げられ、人々を祝福するという流れです。

4.インドの化粧文化:結婚を中心に

インドの結婚式は、準備のところから見学させてもらったことがありますが、私がみたものだと、夜通し化粧をしたり、儀礼をしたりで、大変忙しいものでした。花嫁も、一世一代の見せ場ということで、真剣に化粧をしてもらい、色々と確認をしているようでした。

また機会があれば、こうした化粧にまつわる、ヒンドゥー文化を紹介したいと思います。

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