インドの家事使用人(メイド、ハウスサーバント)

インドの家事使用人(メイド、ハウスサーバント)

一般的なミドルクラス以上のインド人家庭では、家事使用人(メイド・ハウスサーバント)を雇っていることが多いです。インド人の家に遊びに行ったときに、見たことがある人も多いのではないでしょうか。

インドで暮らしていると、日常的に最も馴染み深い職の一つが、この家事使用人かもしれません。

今回は、インド社会における家事使用人とはどういった存在なのか、紹介します。

1.インドの家事使用人

インドの家事使用人は、家事労働に従事する使用人のことを指します。仕事内容は、炊事、洗濯、掃除、買い物など、様々な家事サービスを行います。

インドの2011年の国勢調査によると、約2500万人が、この家事使用人(家事サービス労働)として働いていることが確認されています。このうち約8割が、都市部で働いています。都市部で働くといっても、一般的にメイドの給与は極めて安いため、家事使用人は、都市部周辺のスラムで暮らしているケースが多いです。

また、家事使用人のうち約6割が女性であり、幼い子供(男児・女児)が働くことも多くあります。インドの女性にとり、家事使用人の仕事は伝統的・代表的な仕事であり、農業に次いで2番目の多さ(女性労働者全体の7%前後)となっています。

近年、貧困層が徐々に減りつつあり、女性の社会進出が進むと同時に、選択可能な仕事の幅も急速に広がっているため、就業者の比率は減りつつあるといわれています。ただ、インドの慢性的な失業率の高さもあり、依然として、家事使用人としての絶対数の減少は、みられないということです。

2.インドでなぜ家事使用人が伝統的職業として定着し続けたのか

現代において、一般的な家事サービス労働の需要に影響を与えているのが、家電製品などの値段が、まだまだ所得水準に比べ、高いことが挙げられています。「高級な」洗濯機、食洗器、掃除機をはじめとした家電を買うよりは、安い労働コストの家事使用人をこき使えばいいためです。つまり、家事使用人の賃金の安さゆえに、便利な高級家電の必要性を感じないインド人が、一定数いるということです。

ちなみに、私が以前、インド人の友人の家にホームステイをしていた時(10年くらい前)にいたメイドの給与は、1か月1000Rsでした。あまりの安さに驚いて、思わず「日給1000Rsでしょ?」と聞いて、インド人に笑われてしまいました。

インドでは毎年物価が上がっているため、現在の都市部の給与水準は、もう少し上がっているのかもしれません。しかし、農村部では、周囲の所得が少ないケースも多いため、家事使用人の給与もつられて安くなってしまいます。

ちなみに、カースト制度では、伝統的ににあたる人々が「使用人」の仕事をすることが多く、女性の家事使用人も、このカースト出身者が多くなっています。つまり、家事使用人も、古代から伝統的な仕事として、インド社会で必要とされてきたということです。

インド社会は、「浄・不浄」の観念が、極めて発達した社会といわれています。そのため、上位カーストの人ほど、不浄とされる行為を嫌います。こうした文化は、掃除、洗濯など、「汚れ(穢れ)」を伴うことを下位カーストに担わせるという文化を、形成・継続させてきました。

都市部では、以前ほど極端なカースト意識は薄れてきているといわれますが、依然として根強く残っているといえます。こうした文化的な背景も、「家事使用人」が「安い」給与しか貰えない理由となっているのでしょう。

3.現在のインドの「家」の変化

現在のインドでは、特に核家族の家庭が増えているといわれています。こうした家庭では、例え経済的な余裕があっても、家事使用人を雇わないケースが増えているといいます。家の中で「他人」である家事使用人を入れることに、嫌悪感を抱く人々が、現れ始めたためということです。

これは一般的に、家事使用人が裕福でないため、盗みを働く可能性があるなど、偏見による影響もあるようです。実際、家主が家事使用人を虐待するという話も、よくききます。

また、女性の積極的な社会進出も増えているため、一種の社会的ステータスとして、家事使用人を雇うこともあるということです。そのため、富裕層の間では「信用のある」高給与のメイドを雇う人も、増えているといいます。

現在は、家事使用人を紹介するサイトなども充実してきており、利便性も上がっているようです。以前は、居住地域近くのスラム街の近くに行き、その入り口にいる人に、信用できそうな人を探してもらう、または近隣住民に紹介してもらう、といったことをしている人が多かったようです。

家の中に入れるため、家事使用人なら誰でもいいという人は、ほぼいないはずです。

4.インドの家事使用人(メイド・ハウスサーバント)のまとめ

日本では、個人で家事使用人を雇い、毎日仕事をしてもらうとなると、かなりの給与を払う必要がありますが、インドの安さには驚かされます。給与が低いだけあり、をもたれにくい仕事でもあります。

しばしば、家主による家事使用人への虐待などもあり、ニュースで目にします。以前、私がホームステイをしていた家でも、家事使用人(30歳くらいの女性)が、家の菓子を盗んでしまった時に、棒で叩かれていました。これも、虐待といえるのかもしれません。

かれらの給与が少しでも上がることを祈って、今回の記事を〆たいと思います。

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