インドの水牛と水牛の神マヒシャースラ

インドの水牛と水牛の神マヒシャースラ

私は、インドの下町で生活していた期間が長いので、を毎日のようにみていました。町中で、水牛がゆっくりと歩くのは、日常の光景です。

その後、下町を離れ、都市部のホテル暮らしをしていましたが、その近辺にも、当たり前のように、水牛の姿がありました。インドはどこに行っても、水牛がいるイメージがあります。

今回は、インドの日常風景に溶け込んでいる水牛と、水牛に由来する神様について、紹介します。

1.インドの水牛

インドは水牛の原産国としても知られており、世界の水牛の6割弱が集中する、世界一の水牛大国です。水牛の特徴としては、その身体は強健で、暑さに強く、耐疫性に優れている点が挙げられ、まさにインドのための動物といえそうです。

また、インドの水牛は、牛を神聖視するイメージが強すぎるせいで、文化的には日陰な立場に置かれているようにみえます。牛は宗教・文化・政治・と、どの分野でも、大事なものとして扱われていますが、水牛は、経済的側面のみが強く出ています。

1-1.不浄な動物としての水牛

ヒンドゥー教において水牛は、牛と違い、不浄な動物と位置付けられています。

これは、水牛がヒンドゥーの神話において、しばしば・悪鬼の乗り物として登場しており、不吉な動物であると、古来から考えられてきたためといわれています。

ちなみにヒンドゥー教は、浄・不浄の観念が極度に発達したといわれる宗教で、牛は浄性の最も高い位置におり、それを殺すことは、バラモン殺しと並ぶ、ヒンドゥー教の大罪といわれています。

1-2.食肉としての水牛

牛とは対照的に、水牛は、食肉として、ムスリムを中心に流通し、さらに諸外国へと輸出されています。

ムスリムの多い地域に行くと、水牛のタンドリーが食べられる店があるので、牛肉を食べたい人にはお勧めしています。

ちなみに、ヒンドゥー教の間で水牛の肉を食べることは、一般的に嫌われています。

ただ、人前で食べることに抵抗を感じるだけで、こっそりとムスリムの地域に食べに行く人も、結構います。

1-3.水牛とミルク

水牛の産出量は、牛をはるかに上回っています。

そのため、乳牛として、水牛を飼育している畜産家は多く、代表的な品種としては、ムラー(Murrah)、メサナ(Mehsana)、ジャフラバディ(Jafarabadi)などがいます。

農村部で水牛は、水田耕作用の役畜として、畑を耕す際に活躍していますが、そのほとんどが、用畜としてのミルク生産にあり、インドで生産されているミルクの5割強が、水牛によるものとなっています(4割ほどが乳牛、山羊ミルクは約3%)。

水牛のミルクの脂肪率は、牛のミルクよりも高く、ギーパニールなどの乳製品にも、好んで用いられています。

1-4.オペレーション・フラッド計画

1970年に始まった、世界最大規模の酪農開発計画が、オペレーション・フラッド(Operation Flood)計画です。

この計画は、慢性的なミルク不足を打開するために始まったもので、2010-11年において、世界のミルク生産の約17%が、インドのものとなりました。これにより、自立可能な酪農家が増え、「白い革命」ともいわれています。

この際に注目されたのが、水牛のミルク生産能力と、脂肪率の高さです。

これ以降、水牛の飼育が、広範な社会階層に広まり、水牛の経済的価値は、消費者のみならず、生産者にとっても、一段と高くなったといえます。

2.水牛の神様:マヒシャースラ

マヒシャースラ(Mahishasra)は、ヒンドゥーの鬼神・悪神である、アスラ族の神です。

初期のマヒシャースラは、水牛の神として描かれていましたが、後世は、人型で描かれるようになります。

マヒシャースラは、神話の中で、男には倒すことのできない、無敵の身体を授かり、その力をもって、インドラ神率いる、天界の神々を倒し、征服をします。

敗れた神々の力を結集させることで、女神ドゥルガーが誕生します。生まれたばかりのドゥルガーは、ライオンに乗り、マヒシャースラの討伐へと向かい、10日間、戦ったすえに、打ち倒すことに成功します。

男の神では倒すことができない特性をもつマヒシャースラを、女神であるドゥルガーが打ち滅ぼすという、有名な話です。

マヒシャースラとドゥルガーの絵は、インド各地の洞くつで発見されており、ムンバイの東にあるエローラのものが、特に知られています。

なお、インド南部カルナータカ州の都市マイソールの名前は、このマヒシャースラに由来するもので、マヒシャースラが支配していた国が、マイソールの近くであったためだといいます。

3.インドの水牛と水牛の神マヒシャースラのまとめ

インドでは、思った以上に、水牛の価値が低くて、かねがね気の毒に思っていました。牛は、存在そのものが神聖なものとなっていますが、一方の水牛は・・・。

とりあえず、私は水牛のタンドリーが好きなので、気にしません。オールドデリーの、汚いけど絶品のタンドリーを出す専門店を思い出しながら、今回の記事を〆たいと思います。


は、神の象徴として考えられていることが多いですが、「牛の神様」などはいません。例えば、シヴァの象徴(リンガと同様)とされたり、他の神々の神話で、牛の聖性が語られたりしています。

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