不可触民カースト:マハール

不可触民カースト:マハール

不可触民カーストに分類されるというカーストをご存じでしょうか。このカーストは、不可触民カーストの中でももっとも有名なカーストの1つです。

今回は、そのマハールの仕事や、かれらの受ける差別的制約、かれらの信仰、そしてマハール出身の偉人、アンベードカルについて紹介していきます。

1.マハールってどんなカースト?

マハール(Mahar)は、インド西部マハーラーシュトラ州を中心に分布する不可触民カーストで、州内のカーストコミュニティ(村)において、かれらが居住していない場所はないといわれています。

村内には一般的に、カースト・ヒンドゥーと呼ばれているバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラが暮らし、マハールをはじめとした不可触民は、村外の周縁部での生活を強いられてきました。

不可触民は仕事の際に、コミュニティの中に入る形となっています。

マハールの伝統的な仕事をみてみます。

  1. 村の見張り
  2. 村の清掃
  3. 村の建物の修繕
  4. 他の村への小間使い
  5. 旅商の道案内や護衛
  6. への薪の運搬
  7. 村内の死畜の処理・片付け
  8. 牛の皮剥ぎ
  9. ホーリーの祭火の点灯
  10. 神を祀る(ほこら)の管理
  11. 冠婚葬祭の雑用
  12. 農業労働

一般的に不可触民は、文化的に不浄とされる仕事を仕事を強いられるイメージがありますが、実際にはカーストコミュニティの雑用全般を仕事として行っていました。

こうした労働の報酬として、かれらは土地の使用権や牛皮の処分権(皮革業)など、さまざまな報酬を得て、生計を立てています。

しかし、かれらの仕事である、死んだ牛の運搬、処理、そしてその死肉を食べることは、ヒンドゥー文化の中で極めて不浄な行為とされるため、穢れた存在と定義されています。

2.マハールが強制される社会的制約

コミュニティ内部で、マハールを含めた不可触民に、伝統的に課されている制約があります。

  1. カースト・ヒンドゥーの使用する、井戸や貯水池の利用の禁止
  2. ヒンドゥー教の寺院への立ち入りの禁止

こうした差別的慣習は現在も続いており、この禁を犯したことによって、不可触民が殺される事件は定期的に起きています

また現在は続いていませんが、歴史的に一時期行われていた、不可触民への差別的制約を紹介します。

  1. 不可触民である目印として、首か腕に黒い糸を巻き付けること
  2. 腰に長い(みの)を吊るし、足跡を消すこと
  3. 不可触民を踏むと穢れが伝染するため、午後3時から午前9時まで、コミュニティに入ることの禁止

現在も残る不可触民への差別意識は、こうした慣習を基に、根付いたものといえます。

3.マハールの信仰

村内の寺院へのマハールの参拝は許されていませんが、かれらは敬虔なヒンドゥー教徒としての側面ももちます。カースト・ヒンドゥーにとっての聖地は、マハールにとっても聖地であり、ヒンドゥーの祭祀は、かれらにとっても聖なる行いと捉えられています。ヒンドゥー教徒の間で行われる誕生式・命名式にはじまり、葬式に終わる人生の儀式も、マハールの間では同様に行われてきました。

かれらとカースト・ヒンドゥーの儀式の間の違いは、バラモンによるサービスが受けられないということでした。そのためマハールの中で、司祭の役割を担うメンバーがおり、祭祀が行われています。

マハールが祀る神は地方ごとに異なり、シヴァヴィシュヌをはじめ、地方のマイナーな神など、多種多様の信仰がなされてきました。

4.マハール出身の偉人:アンベードカル

インドの社会改革運動家、インド独立後の初代法相、憲法起草委員会のとしても知られるアンベードカル(Bhimrao Ramji Ambedkar, 1891-1956)は、マハール出身として知られています。

彼は1920年頃から、不可触民正撤廃運動に身を投じ、社会改革団体や政党の結成、機関誌の発行、大衆示威(じい)活動の指導など行いました。独立期には、独立の達成よりも社会改革が優先されるべきと主張し、ガンディーをはじめとする国民会議派と対立しました。

独立後はネルー内閣の一員として活躍し、この間、不可触民の教育向上のために、多数の教育施設の設立に尽力しています。

彼は、不可触民差別はヒンドゥー教に根本原因があると考え、数十万の不可触人(主にマハール)とともに、に改宗しています。この改宗運動は、従来の仏教徒とは一線を画すと考えられ、仏教()運動と呼ばれています。

今日のインドで暮らす仏教徒約840万人の大部分は、不可触民出身とみられており、差別の対象となっています。

5.不可触民カースト:マハールのまとめ

私がマハールの日常をみて興味をもったのは、意外と普通の仕事もやっているんだな、ということです。以前の私の認識では、不可触民の仕事は、死畜処理や下水関連の仕事、村の清掃など、不浄なものだけなのかと、偏見から思っていたためです。

視界に入るのも汚らわしいと嫌われるイメージだったため、旅商の護衛などは意外な仕事に感じました。

まだまだ知られていない情報が多いので、また改めて、不可触民問題を取り上げたいと思います。

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