インドの公権力とマフィアと暴力

インドの公権力とマフィアと暴力

インドの政治・行政との繋がりを、ニュースで見たことがある人も多いのではないでしょうか。暴動のニュースをみていると、政治家の扇動で、マフィアが動いたと報道されていることが、よくあります。

日本でいうと、与党政治家がデモを煽り、ヤクザが与党敵対勢力を殺す事件が、しばしば起きてるという感じです。怖いです。

今回は、インド政治とマフィアの繋がりについて、みていきます。

1.汚職による腐敗とマフィア

インドでは、・行政などにまつわる汚職問題が、しばしば注目を集め、斡旋収賄など、権力を用いた汚職は、インド人の怒りを引き付けます。ただ、汚職をする人は当然ですが、ばれないように行います。

近年、よく指摘されるのが、汚職による腐敗とマフィアです。どういった点でマフィアが関わるのか、報告されている例を参考に、みてみます。

1-1.マフィアの息のかかった人間の政治行政への参入

インドマフィアには莫大な資金があり、政治力をも持っているといわれています。そして、インドのマフィアは、非合法の仕事だけでなく、合法の仕事、不動産業などを、手広く広げている事例も、多く報告されています。

例えば、ボンベイに拠点を構えていたD.カンパニーというマフィアは、政治とのつながりがしばしば指摘されており、ムンバイでも不動産業に深く食い込んでいるとのことです。

こうしたマフィアは、莫大な資金力を盾に、表向きは慈善家、エリートとして、政治・行政などに人を送り込み、その利権を食い物にするといいます。

1-2.暴力による抑圧

マフィアの息のかかった事業に反発する住民団がいる場合、マフィアによる暴力を背景とした、力による抑えつけも報告されています。

事業に対しての抗議デモなどは、インドでは頻繁に起こりますが、そうした時に、マフィアに扇動された集団が、意図的にデモ隊と衝突し、暴力事件を起こしたり、反対派住民を襲うなどして、反対派の力をそぎます。

また、資金力を背景に、マフィアが一定の株を取得し、企業にマフィアの影響を与える、といった噂も報告されています。

こうした動きは以前、日本でよく耳にした地上げ屋総会屋と似ているのかもしれませんが、より暴力的です。

また本来、マフィアとの関わりがなかった政治家も、汚職に浸かった自身を守るために、マフィアを使って情報の隠匿を図ることがあり、その中で、暴力や殺人も起きているといいます。

1-3.選挙妨害

マフィアと繋がりのある政治家は、選挙の際、マフィアを使い、自身の敵対勢力の支持者が選挙に行けないように、妨害することがあるといいます。

投票所の入り口で、マフィアが選別し、敵対勢力への投票を防いだり、コミュニティ自体をマフィアが囲い、投票所へ行かせないなどの手段を、行使するのです。

このような、マフィアの暴力を使うやり方は、1970年台、西ベンガル州の共産党と、ナクサライト(毛沢東主義)の対立に起因する力比べが、全国に広まったといわれています。これは、暴力を用いて、敵対勢力より自身の影響力があることを、誇示しようとしています。

こうしたやり口は、その後、政権与党となるBJPなども取り入れ、敵対勢力との衝突を繰り返していきます。

2.マフィアのリクルート

ムンバイのように、マフィアの影響力の強い地域では、政治や行政において、マフィアの介入が一定程度あるといわれています。

マフィアの影響力を肯定する人はいませんが、こうした噂は広く、インド人の間に広まっています。マフィアで仕事をする者の中には、政治家の親族をもつ者もおり、折に触れて働きかけがあるということです。このようなマフィアの影響力の増加は、インド政治の劣化・腐敗の象徴だとの指摘もあります。

マフィアの収入は、みかじめ料をはじめとした、その力を基に接収するものと、合法・非合法の商売によるものです。

  • 商売も様々で、例えばムンバイのマフィアD.カンパニーは、前述したように、合法の不動産業を手広く行っていることで知られています(表向きは別会社)
  • 非合法の商売は、覚せい剤、アヘン密造酒資金洗浄などが知られています

非合法の商売(資金洗浄を除く)は、都市部のホームレスを動員し、働かせるといいます。こうしたホームレスの雇用は、1つの都市で数千人に上ることもあり、政治・行政としても、マフィアの価値を認めざるを得ないという、社会構造になっているようです。

インドは、慢性的な失業率の高い社会となっているため、たとえ非合法の仕事でも、多くのホームレスにとって貴重な収入源となります。こうしたマフィアの非合法の働きは、「貧困層のために富裕層から富を取り返すもの」と正当化する声もあります。

3.マフィアの政治的役割

マフィアは、特定のや地域に、とても強い影響力をもっていることが多く、その力が、政治的に利用されることがあります。マフィアは選挙の際に、スラム街のごろつきなどを動員し、マフィアの支援する候補者の対抗馬の不利になるように、妨害行為をさせることがあります。

インド独立後、従来は協力していた政治家とマフィアは、適度な距離を取っていましたが、徐々に、そのマフィアと政治家の力関係は、対等、等距離になっていきます。これは、マフィアの経済力の高まりが影響したものと考えられています。

敵対勢力の集会に突撃した暴漢を、選挙後に壇上に上げ、ともに勝利を祝うなど、マフィアとの関係を隠すことがない政治家も増えているようです。こうした動きは、全インドで見られますが、政治家・マフィア・警察は結びついているケースが多く、選挙妨害などをした暴漢が逮捕され、有罪となるケースは少ないといいます。

90年代以降、ヒンドゥー至上主義勢力をコアの支持層にもつBJPが政権与党になって以降、こうした動きが顕著になっています。BJPの指導者が扇動すると、暴動が起き、死者が伴う事件へと発展しても、逮捕者が出ないということもよくあります。

2020年に起きたデリーの暴動も、BJP指導者の扇動が確認されており、その後、多くのムスリムが襲われ、殺されています。この際、マフィアが暴動に参加していることが明らかになっており、警察の対応もずさんであったといわれています。

現状のBJPは、ムスリムを「外来」の宗教信者、他者とみなす傾向にあるといえ、それを煽ることで、ヒンドゥーの結束を図っているとの指摘は多数あります。

4.公権力とマフィアと暴力のまとめ

インド政治とマフィアの繋がりは、会議派が政権与党の時代から指摘されており、近年では、この繋がりは、さらに近くなっているといわれています。日本は、政治家とやくざの関係など、御法度なので表向きは考えられませんが、インドでは必要悪として捉えられているようです。

また機会があれば、マフィアについて紹介させていただきたいと思います。

BlogMuraFC2BlogRanking

VISITORS HERE:15,075, HOLI GREEN TOTAL VIEWS : 3,507,567

Previous(down)/ Next(up)
透明性のある法やプロセスの欠如によって、汚職が生まれやすい環境となってしまっていると指摘されます。
ヒンドゥー復古主義の中で注目を集め、この舞踊は寺院の外へと解放され、拡大して行きます。