マディヤ・プラデーシュ州と州都ボーパールの環境汚染

マディヤ・プラデーシュ州と州都ボーパールの環境汚染

マディヤ・プラデーシュ州に馴染みのある方はいますでしょうか?私はこの州は、貧しい州というイメージのみでした。

ただ、なんとなく調べてみると、環境汚染の酷いこと。自分の中では、デリーが最悪だと思っていたのですが、近年のマディヤ・プラデーシュ州は、デリーの2倍の汚染指標を叩き出しているというのです。

そこで今回は、マディヤ・プラデーシュ州と、州都ボーパールの簡単な紹介の後に、特に環境汚染が指摘されているボーパールの状況をみてみたいと思います。

1.マディヤ・プラデーシュ州ってどんなところ?

マディヤ・プラデーシュ州は、インド中部、デカン高原北部に広がる州です。東をビハール州、オリッサ州、西をグジャラート州、ラージャスタン州、南をマハーラーシュトラ州、アーンドラ・プラデーシュ州、北をウッタル・プラデーシュ州の、各州と接しています。

  • 総面積は約44.3万㎢で、インド第1位の広さをもつ州です(カシミール州は国境が画定していないため)。
  • 人口は、2011年の最新の国勢調査で7334万人で、6位です。
  • 州のほとんどがデカン高原上にあり、州都ボーパールは、標高625mに位置します。
  • 州は45の県からなり、公用語はヒンディー語です。

貧困率は、インドの中でも高い州となっており、31%強が貧困層といわれています。

年間の平均降水量は、西部の1000mlから東部の1400mlまで差があり、この9割近くが、6~9月の間に降ります。気温は、ボーパール周辺が最も高く、5月には、最高平均気温が40度を超えます。

住民の約80%が農村部で暮らしているため、同州の経済基盤の多くも、農業となっています。500万超の世帯が、農業に従事をしていますが、灌漑耕地面積はわずか15%にすぎず、農業生産効率はきわめて低くなっています。

  • おもな作物は、ジョワール(もろこし)、小麦、米、豆類、ナタネ、綿花、サトウキビなどが、広く栽培されています。
  • 近年は、大豆の生産力が急増し、東部の高原地帯では、オレンジの生産が盛んになっています。
  • 南東部および東部一帯は、石炭、、石灰石、ボーキサイト、銅、マンガン、ダイヤモンドなどの鉱物が採れ、約600の鉱山があります。

工業も盛んで、1955年に、ソ連による技術・資本援助のもとはじまった製鉄所は、工業都市ビライナガルを生みました。

ボーパールの国営重電機器工場も、インドを代表する近代的工場といわれています。

他にも、コールバのアルミニウム工場や、ホーシャンガーバードの製紙工場、デーワスの紙幣印刷工場、などが代表的な工業として知られています。

しかし、多くの県が「工業低開発地域」とされ、企業誘致が期待されています。

2.州都ボーパール

ボーパールは、マディヤ・プラデーシュ州の州都です。

  • 人口は、2011年の最新の国勢調査によると約180万人で、マールワール台地の東部に位置します。
  • 人口構成は、ヒンドゥー教徒が約69%、ムスリムが約26%で、以下、諸宗教が続きます。
  • マディヤ・プラデーシュ州の流通拠点となってり、周辺から米、綿花、木材の集散を担い、紡績、電機などの近代工業の他、宝石加工手織り綿布のような、伝統工業も知られています。

インド・パキスタン分離独立の際には、ボーパールはムスリム人口が多かったために帰属問題が起こりましたが、1956年のマディヤ・プラデーシュ州設立に伴い、州都となっています。

州設立以降は、大きな死傷者を伴うような独立運動は起きていません。

3.ボーパールの環境問題

近年、ボーパールの大気汚染は、世界最悪といわれているデリーよりも酷い数値を出すことも多く、深刻さを増しています。2019年11月下旬の指標では、デリーの2倍を出しています。デリーの大気汚染を表現する言葉として、「50本相当」や「殺人大気」などが使われることもあることから、ボーパールの深刻さも窺えるのではないでしょうか。

大気汚染が急激に進んでいる理由は、都市部への人の過剰流入や、それに伴う木々の伐採、悪路による粉塵巻き上げ、基準に満たない工業廃水、下水処理施設の不徹底、などが挙げられています。

大気汚染とともに、ボーパールで深刻な問題となっているのが土壌汚染です。

1984年、ユニオンカーバイド社の殺虫剤製造工場で、有毒ガスの流出事故が起こり、1.5万人以上が死に(事故後の合併症併発による関連死も含む)、10万人以上の負傷者を出しています。この事故の影響により、地中に有毒物質が滞留し、地下水を汚染してしまいました。

多数の犠牲者を出した事故後、工場は閉鎖されましたが、工場の敷地内には有毒な廃棄物が多数残されており、極めて重度な汚染が指摘され、時間が経つにつれ、汚染は増しているとの調査結果も出ています。そのため、この地域の地下水は、重度の汚染が明らかになっています。

この地域では、先天性の欠損症や癌、神経の損傷、精神疾患などが多数報告され、インドの他の地域よりも、割合が高くなっています。

現在、事故のあった工場の土地は、政府所有となっていますが、政府は浄化の責任の所在を、事故を起こしたユニオンカーバイドを買収したダウ・ケミカルにあるという姿勢を取っています。

政府は、地域を汚染した会社が、責任をもって浄化するべきだという考えです。

しかし、政府がこうした姿勢を取る限り、汚染の浄化はより、深刻化するだけだ、との指摘も近年されており、汚染物質の除去等、迅速な動きが期待されます。

4.マディヤ・プラデーシュ州と州都ボーパールの環境汚染のまとめ

マディヤ・プラデーシュ州は、近年、大気汚染に関するニュースで度々見かけますが、ここまで酷い状況だとは驚きました。デリーですら、多くの健康被害が出ているというのに、それ以上の汚染指標を出しているということです。

そして、ボーパールの工場事故は、悲惨な影響を、現在も与え続けています。

次回の記事では、ボーパールの工場事故について書いていきたいと思います。

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決定的な証拠は出せていませんが、現在も様々な推測がされています。
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