知られざるマッチョ大国インド

知られざるマッチョ大国インド

腕っぷしの強そうな連中

ロシア・グルジア・ブルガリア・ブラジル・オランダ・・・ これらの国に共通しているのは、格闘技が強いことです。中東から中近東にかけても腕っぷしの強い男が称賛されますが、実はインドも隠れた格闘技大国なのです。

今から300年ほど前、シーク教団はイスラム教のムガール帝国から、圧迫を受けていました。帝国の第六代アウラングゼーブ帝によって、教祖の世継ぎの全員が殺された時、シーク教団のグル(教祖)ゴービンド・シングは、教団を守るための武装組織としてカールサー(純粋党)を設立しました。

その構成員には、

  • ケーシュ(髪を切らないこと)

を命じ

  • カンガー(櫛)
  • カッチュ(短いズボン)
  • カラー(鉄の腕輪)
  • クリパーン(懐剣)

を身に付けるよう義務付けます。

これらの5Kを守った男には、皆勇猛な獅子の姓(シング)を与えました。彼らは今一度、鉄の規律と団結を確認し、それまで以上に武術の鍛錬に励みました。

それから300年、代々鍛錬に励んだ甲斐あって、現代でもシーク教徒には見上げるような大男が多いそうです。たまに小柄な人が居ても、いかにも腕っぷしの強そうながっしりした体躯だとか。

インドの伝統道場

何もシーク教徒に限らず、インドには古くから体を鍛錬する伝統がありました

ヨーガ)の行と共に重んじられていましたが、今でも「アカーラー」と呼ぶ古くからの道場が各地にあります。「アカーラー」とはヒンディー語で、「レスリング場」「道場」「修行者(サードウ)の庵」の意味です。

2000年ごろと少し古いのですが、そんな道場の一つ、ラジャスタン州サットドワラの「シュリ・アーンバーワーラー道場」の様子です。

赤い門柱に青い鉄格子の扉を開けると、緑に包まれた小径が続き、小さな建物と20坪ほどの空き地・井戸がありました。女人禁制で、下帯1本の10人ばかりの男がたむろしています。敷地全体が聖なる場所で、土足厳禁です。責任者の師範はなにやら緑色のペースト状のものを摺り潰していましたが、トレーニング時に服用する薬だそうで、ちと怪しげな感じです。

屋内・屋外にトレーニング場があり、屋外には砂場のようなレスリング場と、平行棒(ペレレルワール)や懸垂棒(チーニン)・サンドバッグなどが備えられています。日本の剣術道場などにも神棚が祀られていますが、ここにもヒンドゥーの神様が祀られた祠がありました。

屋内トレーニング場は小さく、主に雨季に使用しますが、特別仕様の腕立て伏せ台や、プルワーカー・バーベル・ダンベルなどが転がっており、必ずしも伝統器具にはこだわりません。

道場の周りには緑が多く、小鳥やリス・猿・孔雀などが顔を覗かせ、いかにもインドな場所です。

訓練は早朝4時から始まり6時までの朝練と、夕方6時から8時までの1日2回です。それにプラスして瞑想の時間と、精神トレーニングの時間が設けられています。

1つの道場に50人から100人ぐらいが通い、仕事前と仕事が終わった後に集まって鍛錬しています。

伝統的トレーニング器具

新しいトレーニング器具に交じって、伝統的道具もまだまだ活躍していますが、なかでも代表格が「ムールダル」と呼ばれる一対の棍棒です。これが何と、紫檀製。

紫檀といえば、黒檀・白檀と並んで三大唐木の一つに数えられる高級木材です。古くから工芸品の素材として珍重され、正倉院の御物である唐木細工にも多く用いられています。重厚な材質で、種類によっては水に沈むほど重く、この棍棒は長さ90cmほど重さは25kgあります。

それを両手に持ち軽々と振り回したり、肩の上にのせてぐるぐる回して鍛錬しますが、片手で25kgは簡単には振り回せません。

ハンスリー」というのは直径50cmぐらいの、ドーナツ型をした石の浮き輪のような見かけです。といっても重さは70kgもあり、これを首にかけてスクワットに及ぶのですが、成人男性一人を担いでいるのと同じです。首に障害が起こる怖れがあるので、素人がいきなり挑戦するのは禁じられています。

次は「バウラー」という鉄製の鍬で重さは15kgこれで畑を耕しますが、農耕と鍛錬と一石二鳥を狙ったのでしょうか。ただでさえ力の要る土起こし作業、3月の末にもなれば40度を超す戸外では、かなり体力を消耗します。

最後は鉄弓の「レジャム」、長さは120cmほどで、弓とはいっても弦の部分が鉄の鎖で作ってあるので、本当に矢を射ることはできません。片手で弓を持ち、もう一方の手で鉄鎖をジャラジャラ引いて鍛えますが、弓を支えるだけでも一苦労です。

これらの器具を使いながら、懸垂・腕立て伏せ・腹筋を鍛えるサーキット・トレーニングが基本で、あとはクシュティー(インド式レスリング)で仕上げます。

こうしてインドの筋肉男子が出来上がります。

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