ラダック地方と同地の抱える諸問題

ラダック地方と同地の抱える諸問題

カシミールにある、ラダック地方を聞いたことはあるでしょうか?それなりに有名な地域なので、ご存知の方も多いと思います。私のイメージでは、穏やかな遊牧民族がのんびりと、平和に暮らしているイメージです。

今回は、ラダック地方と、同地が近年抱えている問題をみていきます。ラダック地方とは、どのような場所なのでしょうか。

1.ラダックってどんなところ?

ラダックは、旧ジャンムー・カシミール州の、東部地域の呼称です。面積は約11.85万㎢で、人口は約27万人です。

北からカラコルム、ラダック、ザースカル、大ヒマラヤの4山脈が、北西から南東へと連なる山岳地帯で、インダス川源流のあるシアカンリ山は、カラコルム山脈にあります。

気候は冷涼乾燥で、中心都市レー(標高約3500m)の平均気温は約5.5度、年間降水量はわずか116mmとなっています。

レーを含む、ラダック中部・東部地方は、気候・言語(チベット文字・ラダック語)・宗教(チベット仏教)がチベットと類似していることから、「小チベット」とも呼ばれます。

産業は、主だったものとして、小麦・大麦・ソバの栽培や、羊やヤギなどの畜産くらいしかありませんが、中印国境紛争以前は、インドとチベット、中央アジアを結ぶ中継交易で栄えていました。

近年は、ラダックを観光で訪れる人が120万人と急増し、観光業も注目されています。

1531年以来、カシュミール渓谷からイスラム勢力が侵入し、現在ではラダック西部を中心に、人口の4分の3がムスリムだといわれています。

19世紀半ば、ラダックはジャンムー・カシュミール藩王国領となり、インド・パキスタン分離独立にいたっています。

そして2019年10月31日、ジャンムー・カシュミール州再編成法により、ラダックは連邦直轄領となっています。

2.ラダック文化

チベット文化圏に属するラダック文化は、文化大革命によって壊された「チベット文化」が残っているとよくいわれます。

ここでは、ラダック文化の特徴としてよく挙げられる、チベット仏教遊牧民について紹介します。

2-1.チベット仏教

チベット仏教は、チベットを中心に発展した仏教の一派です。ラダックの人口の約40%が、仏教徒です。

チベット仏教は、厳格な「」に基づいた出家制度をもち、四諦(苦諦・集諦・滅諦・道諦)や諸仏教哲学を含む、包括的な総合仏教といわれています。

サンスクリット語の仏典を、チベット語に翻訳した『チベット大蔵経』が経典です。日本などに伝わった漢訳経典を持つ、東アジア仏教徒とともに、チベット仏教は、大乗仏教の2大系統といわれています。

チベット仏教の有名な特徴として、化身ラマの崇拝が知られ、ラマ教とも呼ばれます。

ラダックは、チベット仏教諸派の1つゲルク派が広まっており、同派の師僧ダライ・ラマの存在は、世界的にも知られています。

2-2.遊牧民(チャンパ)

ラダックで暮らす(半)遊牧民のことを、チャンパ(Changpa)と呼びます。主に、羊や山羊を率い、移動しながら暮らしています。

チャンパの多くは、チベット語の方言を話し、チベット仏教を信仰しています。

以前は、ラダックからチベットにかけて生活を営んでいましたが、チベットを中国が接収して以降、行動範囲は狭まっています。

多くのチャンパは、動物を飼育し、それらを乳製品、肉、皮革などとして、消費、販売することで、生計を立てています。

また、チャンパの山羊は、高級繊維パシュミナが採取できることでも知られています。

3.観光地化と諸問題

近年、ラダックは大ヒット映画『3 Idiots』のロケーションとして使われたことにより、急速に観光客が増え、様々な問題を引き起こしています。

従来もラダックは、人口よりも多くの年間観光客が訪れていましたが、映画の公開以降、約3倍の120万人を超える観光客が、ラダックに訪れるようになったといいます。

その問題点を、いくつか挙げてみます。

3-1.ホテル、ゲストハウスの乱開発

近年、宿泊地の需要の急増に伴い、外部事業者による、宿泊地の乱開発が起こっています。

これにより、景観の破壊や、古くからラダックの人々が営む宿泊施設が、圧迫を受ける事態などを招いています。

また、近代的なホテル建設も行われることで、水道使用量が飛躍的に増えたため、水不足問題も大きくなっています。

3-2.インフラの整備不足

多くの観光客が訪れることにより、従来は処理で来ていた下水などが処理しきれず、ラダックの川に流れてしまう事態が生じています。

また、ゴミの不法投棄などもあり、土壌・水質汚染が問題となっています。

環境問題に起因する健康被害も、年々増加しているといいます。

3-3.物価上昇

消費意欲旺盛な人々が多く訪れるため、食糧や家賃など、物価の上昇が起きています。

元来、ラダックの人々は、牧畜などを中心に生計を立て、質素な暮らしを営んできました。

しかし、近年の物価上昇のために、生活に苦しむ人々が増えてしまい、伝統的な暮らしを棄てざるを得ない人々も現れています。

4.ラダック地方と同地の抱える諸問題のまとめ

ラダックで近年起きている問題は、一般にオーバー・ツーリズムと呼ばれているもののようです。映画の大ヒットで起こる「」は、日本でもありますが、何事もほどほどが肝要のようです。

次回の記事では、近年注目を集める「新中間層」という、消費意欲旺盛な社会階層を、ラダックと大ヒット映画『3 Idiots』に絡めて紹介したいと思います。

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三大財閥も、後継者問題で分裂を起こし、そうそう安泰ではないようです。
決定的な証拠は出せていませんが、現在も様々な推測がされています。