バイオコンとキラン・マズムダル・ショウ

バイオコンとキラン・マズムダル・ショウ

バイオコンという、インドの総合バイオ医薬グループをご存知でしょうか。インドでトップのバイオ医薬グループであり、この分野で、世界でもトップ20に入る大企業です。

そしてこのグループは、キラン・マズムダル・ショウ(Kiran Mazumdar-Shaw, 1953-)という女性が、一代で築いたグループなんです。インドという、女性の社会進出が厳しい社会で、一代で、これだけの規模の会社を築き上げた手腕は、多くの女性の憧れとなっています。

今回は、「バイオの女王」とも称される、バイオコンの創業者、キラン・マズムダル・ショウに注目します。

1.バイオコンと創業者キラン・マズムダル・ショウ

バイオコンは、「バイオの女王」と呼ばれるキラン・マズムダル・ショウが、一代で築いた総合バイオ医薬グループです。

キランの存在は、若い女性が大きな夢に挑戦・大成功をし、インドの新しい産業を開拓、産業の発展に多大な貢献を果たしたと、多くの女性の希望となっています。

キランの父は、キングフィッシャー(ビールで有名)で知られるUBグループの、ビール部門の支配人をしており、父の影響から、彼女は父と同じ職を目指し、オーストラリアの大学院で、醸造・発酵について学びました。

しかし、トップの成績を残し、スペシャリストとして帰国したキランを、雇い入れる酒造会社はなかったといいます。今もそうですが、インド社会は、極めて保守的であるため、海外の大学院で学んだ女性を、受け入れる素地がなかったのです。

キランは、会社に勤めるということを諦め、自ら会社を興すことを決意します。

1979年、酵素を製造する、バイオコンというベンチャー企業を起ち上げました。しかし、当時25歳の若さで、なおかつ女性ということもあり、キランに融資をする銀行もなく、厳しい状況での船出となったといいます。

そこでキランは、に支援の手を求めます。

そして、キランの能力を認めた、アイルランドの酵素製造会社によって、インドでの起業の支援を受けたのです。

起業当初の仕事は、パンやジュースなどに用いられる食用酵素や、繊維製品などに用いられる産業用酵素の製造をし、欧米を中心に輸出していました。

それと同時に、大学院で学んだ酵素の研究を続け、それが事業拡大に繋がります。

2.バイオコンの発展と結実

会社が軌道に乗った1994年、子会社を設立し、欧米企業からの受託研究や、臨床開発に力を入れ始めます。これにより、起業当初から継続してきた、新しい酵素の発見などの研究が、いよいよ実を結ぶことになります。

余談ですが、バイオコンの業績が上昇していくとともに、会社の立地するバンガロール(現ベンガルール)は、インドのシリコンバレーとも呼ばれ、インドIT拠点の一つとなっていき、世界的に注目を集める地域となっていきました。

その後、バイオコンは2001年に、酵素を用いた、コレステロールを下げる治療薬の製造認可をアメリカで取得、世界市場へと進出を果たします。

そして、酵素の研究を応用した、バイオ医薬品の開発・製造に、本格的に進出し、2004年に「インシュゲン(Insugen:組み換えヒトインスリン)」を発売します。この医薬品の発売により、バイオコンは一躍、世界的インスリン・メーカーに、名乗り出ることになりました(30か国以上で承認されている)。これは、初のインド国産バイオ・ジェネリック医薬品として知られています。

こうした技術は、酵素と発酵技術を基盤としており、キランのスペシャリティが活かされたといえます。

こうしてバイオコンは、酵素関連の受託生産から、ジェネリック医薬品を中心とした製薬の開発・製造へと、方針転換をし、短期のうちにインドトップ、世界トップ20に入る製薬グループへと、成長しました。

一般的に、バイオ医薬品とは、副作用が少なく、免疫力を高めることで、病気を治すといいます。インド政府は、このバイオ・テクノロジー産業を、ITに次いで、力を入れて育てようとしており、その中心にバイオコンがいます。

3.バイオコンの現在

現在、バイオコンは、コレステロールや糖尿病、癌などの、安価で革新的な医薬品の開発・研究に、力を入れています。

また、この会社の特徴としては、従業員の3分の1が女性で、給与等の処遇が、完全に能力主義で決まっていることがあげられます。インドでは、男女の能力が同等でも、一般的に、男性の給与水準が高くなってしまうため、インドの労働環境に風穴を開けたとの評価もあります。

2004年の株式上場を機に、キランは、インドで最も裕福な女性の1人となり、女性のエンパワーメントなど、慈善活動にも力を入れています。そして、フォーブスによる「世界で最も影響力のある女性100人」にも選ばれ、名実ともに、インドを代表する女性となりました。

4.バイオコンとキラン・マズムダル・ショウのまとめ

キランは、裕福な家の出身だったとはいえ、バイオコンの事業を開拓していったその経営手腕は、インドが極度な男性優位社会であるため、周囲との大きな軋轢を生んだのではないかと推測できます。

インドでは、女性の能力が、正当に評価されにくい傾向があり、例えば、同じ能力の男女が、一つの職に応募すると、必ずといっていいほど、男性が優先されるといわれています。女性の社会進出には、インドの男性優位社会という、高い壁が立ちはだかっているのです。

この高い壁を乗り越え、突き抜けた存在となったキランは、多くの女性の憧れ、目標となりました。

インドの女性に関するニュースは、ネガティブなものばかりのイメージですが、キランに関するニュースは、ポジティブなものが多く、個人的にも注目しています。

インド人女性の社会進出が進むことを願って、今回の記事を〆たいと思います。

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