ケーララ州と教育:驚異の識字率を誇るその秘密

ケーララ州と教育:驚異の識字率を誇るその秘密

ケーララ州は、まだまだ日本にはなじみが薄い地域ではないでしょうか。

私もインドに滞在しはじめ、最初の数年は名前しか知りませんでした。しかし、一度情報をかじると、なかなか興味深い州だったんです。

今回はケーララ州の特殊性についてお伝えしていきたいと思います。

1.場所

場所は、インド最南端に位置する州です。

デリーから飛行機で約3時間20分、ムンバイから1時間で付きます。

同州一帯をマラバール地方といいます。

2.ケーララってどんなところ?

ケーララの人口は、2011年に行われた国勢調査によると約3,340万人、予測によると2020年は3,460万人となっています。

州都はトリヴァンドラム、言語はマラヤーラム語です。現ケーララ州はマラヤーラム語圏をもとに、1956年にできました。

5月末から5か月間にわたってモンスーンが吹きつけ、3,000㎜以上の年間降水量となっています。主作物は海岸沿いでココヤシ、平野部で米、丘陵地域ではタピオカ、カシューナッツ、山間部斜面ではゴム、胡椒、コーヒーと多様です。

ケーララは、インド洋をめぐる海上交通の要衝を占め、多様な特産品をもつため、この地に出来た王朝は経済的に繁栄してきました。紀元前3世紀ころに生きたアショーカ王の碑文には、当時からこのエリアが港湾都市として使われていたとされる記録があります。

ケーララの識字率は93%でインド1位、平均寿命は男性71.6歳、女性75歳でこちらもインド1位となっています。 独立後1951年の調査では47%の識字率であったため、いかに教育に力を入れてきたかがわかります。

ちなみにインド最低の識字率の州は65%のビハール州で、平均寿命は最下位ではありませんが男性65.6歳、女性64.8歳と、国内の教育や社会福祉の格差の大きさを考えさせられます。

ケーララ は教育や社会福祉が他州に比べ充実しているため、豊かな州と思われるかもしれませんが、貧しく未開発のエリアがおおくあります。次の項では、識字率をはじめとした教育に特化した、ケーララの形を作った政治を見てみましょう。

3.ケーララ政治と教育

ケーララは1957年に世界初の選挙による共産党政権が誕生したことで知られています。以来、ケーララ政治は共産党による影響を多大に受けています。

2016年に行われた州の選挙では、インド共産党マルクス主義派をはじめとした連合政権、左翼民主戦線が、国民会議派などの統一民主戦線に対し、ダブルスコアの議席数を獲得し政権を握っています。

ケーララ政治の最大の特徴は教育にあり、年間予算の37%も教育に当てています。ビハールの教育予算の割合は約5.6%なので、いかにケーララの教育が充足しているか見て取れます。

12,000を超える学校があり、どの集落からも2マイル以内で行ける場所に学校を設置しています。文字の読み書きは社会開発の前提条件と掲げ、その普及に力を入れています。開発よりも教育の充実、平等性を優先しているのは、インド共産党が強い地域ならではなのかもしれません。

ケーララが教育へ力を入れるのは、歴史的なものといえます。19世紀初頭のトラヴァンコール藩王国の王女が、国民の教育にかかる全費用の負担を宣言し、国民国家の啓発のために教育の浸透に力を入れました。こうした方針は周辺地域にも伝播し、隣接するコーチン藩王国やキリスト宣教師らも、教育に力を入れ後押ししました。

こうした動きが今日の教育普及の要因となっているといいます。

他の地域では忌避されがちな不可触民への教育にも力を入れています。

貧困層はその日暮しの金を稼ぐことが優先され、学校を辞めがちの傾向にありますが、全集落近くに学校を作り、食事を無償で与えるなどの政策を進めることで、識字率をここまで上げたようです。

現在のケーララは識字率が93%と極めて高い数値となっており、そのため次の段階の教育プログラムを推進しようとしています。生涯教育です。

大人になっても学び続けることで、チャンスを得る機会を増やすため、ケーララ州が全額の資金を出資する教育プログラム「District Literacy Mission」が1998年にスタートしました。ただ、ケーララは産業の発展がまだまだ進んでおらず、教育を受けた人々の90%が、州外や海外へと仕事を求め出ていくといわれています。

人は育っても、その有能な人材を活かす場所がまだまだ少ないようです。

しかし、2018年に日産がケーララでITハブを設立すると宣言したように、この高識字率のエリアに出資する海外企業も増え、徐々に豊かになる兆しを見せています。

4・世界最高の放射線量を計測する地域

余談ですが、このケーララには人が住むエリアでかなりの放射線量を計測するエリアがあります。カルナガパリ地区です。放射性物質を含んだ黒い砂浜が広がっているといいます。

ここは年間10ミリシーベルトを超える放射線量が計測されています。東京では0.1ミリシーベルト未満のところがほとんどです。

日本では騒がれそうな数値を出すこのエリアですが、健康被害等の報告はなく、平均寿命に影響はありません。

5.ケーララ州と教育:驚異の識字率を誇るその秘密のまとめ

ケーララの教育には目を見張るものがあり、大変興味深いですが、最後に私がインドで一番好きなケーララの旅行先を紹介します。

それはケーララのバックウォーターです。ジャングルの中の川をチャーターした船で周り、船中泊するツアーです。YouTubeでも動画を見られるので、興味を持った人には是非お勧めします。値段もピンキリですが、独特な他のインドの地域にはない旅を楽しめます。

次に行く機会があれば高放射線量のエリアも見てみたいと思っています。ケーララに日系企業がたくさん進出し、日本からの直行便がはじまることを祈ってしめたいと思います。

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