インドの感染症

現在のインド都市部では人口の密集が進んでおり、上下水道の未整備や、摂取栄養の不足も伴い、日本には現在存在していないような古典的ウィルス感染症や細菌感染症の多くが残っています。新聞などを見ていると、毎年特定の地域で〇〇の感染症が流行で、何人死んだという記事をみかけます。

インドの場合はオールシーズン感染症にかかる可能性があるため、ある程度の知識はあって損はないと思います。そこで今回は、インドでかかる危険性のある感染症を中心に紹介します。

1.感染症

インド独立後、乳児死亡の最大の要因となっていたのが天然痘です。1967年にWHOの支援のもと行われた、全世界天然痘根絶計画の成功で、1975年にインドから根絶されたといいます。こうした感染症は、病原体から感染するといわれており、病原体は病原微生物と寄生中の2つに大きく分類できます。

  • 病原微生物は、簡単にわけると細菌やウィルスなどにさらに細分化されます。その中にコレラ菌や、インフルエンザウィルスなどがあるということです。
  • 寄生中吸虫類、原虫類などに分類され、インドで流行しているフィラリアなども寄生中によるものです。

腸管系ウィルス疾患は、主に下痢、発熱、嘔吐などを繰り返し引き起こします。病名としては、ポリオ(急性灰白髄炎)、急性出血性結膜炎(AHC)、ウィルス性下痢症A型肝炎などがあります。

主に蚊、ダニなどによって引き起こされるアルボウィルス感染症は、マラリア、デング熱、キャサヌール・森林病(出血熱)、日本脳炎などがあります。

こうした病気は現在インドにおいても残っており、流行することがあります。また、狂犬病は年間数百件も患者を出しており、命の脅威となっています。

2.インドの感染症

インドにおける感染症死亡者が最も多い病気は百日咳で、次いで急性胃腸炎、細菌性赤痢、ウィルス性肝炎、ウィルス性脳炎の順の死亡者数となっています。患者発生数としては、細菌性赤痢が最も多く、次いでインフルエンザ、マラリア、急性胃腸炎となっています。その他、トップ10に入る感染症は、破傷風、狂犬病、ジフテリア、コレラ、デング熱など、太古から残っている感染症があることが特徴的です。

ユニセフによると、1995年の世界の5歳未満の乳幼児の死亡数は約1290万人といわれており、そのうち南アジアでは470万人が死亡しているといいます。こうした幼児の死因としてあげられるのが、肺炎などの呼吸器感染症、下痢症、百日咳、破傷風、マラリア、結核などです。インドとバングラデシュは、下痢症が最も流行している国です。

下痢を起こす病原微生物は多様です。下痢の原因菌の検査では、コレラ菌、毒素原性大腸菌、赤痢菌などの細菌性、ロタウィルス、アデノウィルスなどのウィルス性、ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバをはじめとした寄生虫など、多くの病原体によって下痢が発症しています。

以下、インドで多数の患者を出している、インドの感染症の4例を簡単に紹介します。

1.コレラ菌:

インド、特にベンガル地方で流行っている細菌性下痢症はコレラです。コレラはコレラ菌によって発症する伝染力の強い腸管感染症で、インドにおいて現在も終息する気配はありません。

新しいコレラ菌の型も見つかっています。1992年に発見されたO139ベンガル型の新型コレラ菌の感染は、インドで劇的に広まり、依然として落ち着くことなく患者を出しつづけています。この新型の重症率・死亡率は従来のコレラ菌よりもはるかに高いといわれており、インドにいる際は注意が必要です。

歴史的に世界でコレラ菌は何度も流行っていますが、ベンガル地方が流行の発信地となっていることが何度もあります。

2.マラリア:

インドの劣悪な下水環境などの影響で流行る感染症としてはマラリアがあります。このマラリアは古代から残っている病気で、蚊を媒介して感染し、インドで広く患者を出しています。

政府もWHOの支援の下、マラリア根絶に向けた政策を実施しています。DDTという殺虫剤を徹底的に散布するという対マラリアの事業は、1970年代まで国民運動として広く行われ、マラリア患者の数を減らすことに成功しました。しかし、その後マラリアを媒介する蚊が薬剤耐性をもってしまったため、以前のような蚊のせん滅ができなくなり、1978年以降は以前の水準に戻ってしまいました。

その後、政府の標語でマラリアの「根絶」という表現はなくなり、「抑圧・管理(control)」という表現でマラリア対策を打ち出していくことになりました。

3.フィラリア:

寄生中によるフィラリアもインドでは流行しており、世界で一番のフィラリア流行地となっています。患者数も他の地域に比べ圧倒的に多く、バンクロフト糸状虫とマレー糸状虫の2つが、インドでは広く分布しています。

症状としては、不規則にリンパ管が炎症を起こし、発熱を繰り返します。フィラリアの対処をせずに慢性期に入ると、バンクロフト糸状虫はリンパ管の閉塞から下肢の膨張などを起こす特徴があり、対処が遅れると足の皮膚が厚くなる「象皮病」となります。

マレー糸状虫は、下肢の膨張などのケースはなく、慢性期には足の「象皮病」を引き起こすことが多いようです。

4.ハンセン病:

ハンセン病もインドでは流行っており、世界で一番患者がいるとみられています。

ハンセン病は、らい菌が病原菌となっています。らい菌は感染力は弱く、成人がかかることは滅多にありませんが、隔離が必要とされています。

しかし、インドではハンセン病患者は捨て置かれることが多く、所属するカーストからも追放され、ハンセン病患者だけのコミュニティを作るケースがあります。

3.インドの感染症のまとめ

インド在住の方は感染症について、一度は気を払ったことがあるのではないでしょうか。私もデング熱という感染症にかかったことがあり、2度かかると致死率が極めて高くなるということなので、それ以来、蚊には気をつけるようになりました。

バラナシのガンジス川も感染症の宝庫で、絶対に入ってはダメということは、日本人の間では広まっていると思います。実際の調査でも60~70%の確率で、バラナシのガンジス川に入るとなんらかの病気を罹患するというデータもあります。

他にはタンドリー・フィッシュなども危ないという話をよく聞きます。海の近くの地域は別だと思いますが、川魚の場合は、汚染された川で獲られるため、寄生虫や重金属などが魚の中に含まれている危険性があるようです。私もそれを聞いてから、街中のタンドリーフィッシュを食べるのをやめました。

皆さんも感染症には気をつけて、インドライフを送っていただければと思います。

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