BJPによる歴史修正主義

BJPによる歴史修正主義

現インド政権与党BJPが、ヒンドゥー至上主義団体を支持母体に持つということをご存知でしょうか。こうした〇〇至上主義、●●原理主義といった思想は、しばしば自身に都合の良いように、物事の解釈をしてしまいます。

そこで今回は、BJP政権誕生以降、国の内外で批判の声があがった「歴史修正主義」を紹介してみたいと思います。

ヒンドゥー至上主義者が、自身に都合のよい歴史を広めようとしているのか、インドの教科書の記述が、どのように変わったのかみてみましょう。

1.歴史修正主義って何?

「歴史修正主義」とは、確立された、受け入れられた歴史的事象に対し、新たな見解を「証拠」をもって挑戦・反論することをさします。一般的な歴史研究において、新たな一次資料の発見などによって、歴史解釈が再定義されることは、よくあります。

しかし、この「歴史修正主義」が世界で問題になる理由は、「新たな見解」に政治・宗教的イデオロギーの色が付与され、特定の人々に都合の良い解釈がなされているためです。歴史的事象の一側面を切り取り、それを全体に付与することで、従来の歴史観を否定し、政治利用するということは、現在の世界ではよく行われています。

「歴史修正主義」=悪、となったイメージには、ナチスによるユダヤ人のホロコーストを否定する人々が、自らを自らの考えを「修正主義(Revisionism)」と名付けたことに由来するとされます。

2.BJP政権以降に書き換えられた歴史

現インド政権与党であるBJPは、ヒンドゥー至上主義政党といわれ、その支持母体は、RSS(民族義勇団)という、ヒンドゥー至上主義団体であることが知られています。

同団体は、排他性と攻撃性が顕著な宗教・文化的共同体主義(コミュナリズム)に基づいた民族主義を掲げ、BJP最大の支持母体であると同時に、最大の圧力団体となっています。

そのため、BJP指導者は、ヒンドゥー・ナショナリズムを中核と捉え、党員教育や組織化を重要視するイデオロギー政党としての特質をもっています。

このBJP政権は、ヒンドゥー・ナショナリスト関連の問題が多く指摘されますが、以下では、政権誕生以降に起こった「歴史修正主義」問題を取り上げます。

インドの教科書において、記述内容が変更されたものを5つ紹介します。

①アーリヤ人をインド由来とする

アーリヤ人は、インド・ヨーロッパ語族に分類され、インドやイランに定住した人々を指します。

一般的に、インドへのアーリヤ人の侵入は、BC1500年頃、イランからアフガニスタンを経て、インドへ定住したといわれています。インドへ侵入したアーリヤ人は、インド土着の慣習を融合していき、ヒンドゥー文化やカースト制度を確立し、全インドへとその影響は広がった、というのが世界共通の通説となっています。そのため、アーリヤ人がインド由来の民族であったという考えは、学術的によほどの新しい一次資料、証拠が出ない限りは、覆ることはないでしょう。

ヒンドゥー・ナショナリストたちが、アーリヤ人がインド由来としたことは、外来勢力の侵入によってインド文化が形成されたという、通説への挑戦と指摘されます。

②シク教、仏教をヒンドゥー教の一派とする

シク教仏教ともに、ヒンドゥー文化の中で生まれた宗教なのは確かですが、両宗教とも、カースト制度に否定的な立場をとっており、宗教観もヒンドゥー教とは異なります。

ただ、シク教仏教ともに、ヒンドゥー教の影響がみられるため、ヒンドゥー至上主義者たちは、インド文化圏の中で成立した宗教として、ヒンドゥー教の一派として組み込もうと考えたようです。

しかし、両宗教とも、自宗教へのアイデンティティは強く持っているため、こうした教科書への記述には反発しています。

③カーストという言葉の削除

カースト制度は、世界的に知られるインド固有の身分制度です。この身分制度は悪名高いものであり、不可触民などへの差別を、強固に残す枠組みともなっています。

ヒンドゥー至上主義者たちは、インド文化を大事にし、カースト制度の解体には強固に反対していますが、「カースト」という言葉を削除したことは、様々な憶測を呼びました。

憲法上では、カーストによる身分制度が否定されていることから、教科書でカーストを再定義することは、カースト制度の悪い印象を、子供に残してしまうと考えたのかもしれません。

④ガンディー暗殺事件の犯人がヒンドゥー・ナショナリストという記述の削除

ガンディー暗殺を行ったのが、ヒンドゥー・ナショナリストであったことは有名です。

BJPの支持母体であるRSSも、ヒンドゥー・ナショナリストであり、自分たちと同じカテゴリーに入る人物が、聖人ガンディーを暗殺したとされることを嫌がったのでしょう。

しかし、ヒンドゥー・ナショナリストによる暴挙は、独立後全インドで発生しているので、その暴力性を隠すことはできません。

⑤イスラム勢力のインド侵入以前のインドとの交流史の削除

イスラム世界とインドの交流は、7世頃の海洋交易が始まりだと一般的にいわれています。この交易により、インドにムスリムが定住するようになりました。

従来のインドの教科書には、この交流史も書かれていましたが、それは削除され、教科書に出てくる最初のイスラムとの接触は、そのインド侵略となっています。

ヒンドゥー至上主義者たちの多くは、イスラム教を非インド文化圏と考え、敵視、嫌悪する人も多くいます

そうした考えが、イスラムとインド最初の接触を、イスラムによる侵略とさせたように思えます。

3.BJPによる歴史修正主義のまとめ

今回紹介しなかった、アヨーディヤー事件(ヒンドゥー至上主義者によるムスリム2000人虐殺とイスラム寺院の破壊)後の、BJP政権による同地におけるヒンドゥー寺院建設運動も、「歴史修正主義」といえます。

BJPが政権を取って以降、ヒンドゥー至上主義者の暴力的主張を正当化する過程で、歴史を歪曲することが起きているようにみえます。

ただ、インドではヒンドゥー教が圧倒的マジョリティなので、こうしたヒンドゥー至上主義者の主張が、受け入れられやすいのも事実のようです。

今後、経済力が世界屈指の国となることが、目前に控えているインド。こうした動きにも、注目していきたいと思います。

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