ヒンドゥー美術:建築物

ヒンドゥー美術:建築物

ヒンドゥーの美術、特に建築物に、興味はあるでしょうか。インドには多様な美術があり、絵画、建築物、像など、そのほとんどが、信仰にまつわるものです。その信仰はヒンドゥー、イスラム、仏教など、様々なものがあります。

ヒンドゥー美術は、ヒンドゥー教の神々への信仰のために、作られた美術品で、時代や地域ごとに、多様な形をみせています。今回は、ヒンドゥー美術の解説をした後、ヒンドゥーの建築物の、特徴的な遺跡について紹介します。

1.ヒンドゥー美術

ヒンドゥー美術は、一般的に、ヒンドゥー教の思想のもと、神々を礼賛するため、または儀礼に用いるためや、宗教知識の教化のために、制作されたものをいいます。

古くは、バラモン教以前のインダス文明の遺物の中に、地母神や、シヴァの原型といわれている獣神像などの造形美術を、みることができます。

ヒンドゥー教の原型といわれるバラモン教においては、宗教儀式には、文化的に神像や神殿は必要とされなかったため、造形美術はあまり発展しませんでした。

ただ、その後、バラモン教の神である(ヒンドゥー教においても引き継がれた)ブラフマー(梵天)やインドラ(帝釈天)、スーリヤ(日天)などの神々は、仏教においても守護神と考えられ、仏教の流行後、紀元前から仏教徒によって、神像は作られています。

時代には開きがありますが、こうした造形文化の影響もあり、ヒンドゥー教徒によるヒンドゥー美術は、これ以降、活発化したと考えられています。

インド初の統一帝国であるマウリヤ朝期(BC4-BC2世紀)において、先住民の民間信仰の神であるヤクシャヤクシー(ヤクシャの女性名詞)の神像が作られており、この時代は、ヒンドゥー美術が盛んになる前史といわれます。

ガンジス川中流域の覇権を握ったグプタ朝期(AD4-6世紀)には、ヒンドゥー教はインド全域、すべての社会階層に、広まっていました。

この時代では、既にプージャーと呼ばれる、ヒンドゥー特有の礼拝供儀(くぎ)が重視されており、ヒンドゥー教の造形活動は本格化し、こうした神像をはじめとした造形美術は、プージャーで用いられていくことになります。

ヒンドゥー美術は、古代末期に起こり、中世前期に最盛期を迎えることとなります。

こうしたヒンドゥー美術は、建築・神像・絵画など、多様ですが、次の項からは、建築物をみていきます。

2.ヒンドゥー美術の建築物

ヒンドゥー教の寺院は、神の住居と考えられており、ヴィマーナ(vimana)と呼ばれる本殿、マンダパ(mandapa)と呼ばれる前殿(拝殿)を、最小の構成単位として、原則、東面に建設されます。

遺物としては石を切り、それを積み上げて作られた寺院(祠)が最も多く、石窟寺院や、寺全体を巨大な岩塊から彫り出した岩石寺院の他に、レンガ造り、木造の寺院など様々なものから寺院は作られています。

2-1.ウダヤギリ石窟寺院

最古の寺院の遺跡は、中部インドのウダヤギリ(Udayagiri)石窟寺院です。

総数20窟からなるこの寺院は、ヴィシュヌシヴァのリンガをはじめ、多くのヒンドゥーの神々の彫刻がみられるなど、ヒンドゥー寺院の貴重な遺跡となっています。

なお、ウダヤギリ石窟寺院は、BC2世紀末期頃から随時作られ、最後の20窟ができたのは、AD5世紀に入ってからということです(最後の20窟のみ、ジャイナ教のもの)。

2-2.デーオガル石積寺院

デーオーガル(Deogarh)石積寺院は、インド北部のウッタル・プラデーシュ州の南部ラリトプル(Lalitpur)から、南へ30kmの場所にあります。

デーオーガル石積寺院は、「10化身堂」とも呼ばれるように、ヴィシュヌに由来する寺院です。

デーオーガル石積寺院は、6世紀初期に建設され、グプタ朝期の代表的な、ヒンドゥーの寺院遺跡となっています。

2-3.マハーバリプラム岩石寺院

マハーバリプラム(Mahabalipuram)岩石寺院は、・ナードゥ州マドラスの南56㎞にあります。かつて、港湾都市として栄えた海岸沿いの花崗岩台地に、9つの岩石寺院、10余りの石窟寺院、さらに、石積寺院磨崖彫刻(崖に神々の彫刻を施してある)が残っています。

AD6-9世紀頃に、順次、寺院は建設されました。

マハーバリプラム岩石寺院は、南インドの寺院建設に、大きな影響を与えたと考えられています。

2-4.カジュラーホー寺院群

カジュラーホー(Khajuraho)は、インド中部のマディヤ・プラデーシュ州、ジャーンシーの東南東約175㎞にあります。AD9-12世紀にかけて建設され、20余りの石積寺院からなります。

インド北型建築の典型といわれ、男女の交合を表す、エロティックな彫刻が有名です。

これは、豊穣を祈願するためのものです。

2-5.ブバネーシュワル

ブバネーシュワル(Bhubaneswar)は、インド東部オリッサ州にある、数百にも上る寺院群です。AD8-13世紀にかけて建設され、カジュラーホー同様に、インド北型建築を代表するものといわれています。

AD11世紀頃に建設された、リンガラージャ(Lingaraja)は、オリッサ建築を代表すると讃えられ、本殿の高さは45mもあり、その雄大な姿は、人々に畏敬の念を抱かせます。

3.ヒンドゥー美術:建築物のまとめ

ヒンドゥー美術といっても、地域や時代ごとに性格は異なり、比較をしてみるのも面白そうです。今回は、ヒンドゥーの代表的な建築物・寺院を紹介しましたが、他にも、イスラム関連の建築物も、タージ・マハルをはじめ、多くのものが世界遺産になっています。

それぞれの寺院が建設された背景にも、特徴があり、そうしたストーリーをみるのも、面白いかもしれません。ちなみに、私が一番感動したヒンドゥー建築物は、デリーのアークシャルダーム寺院です。

また機会があれば、インドの美術、寺院なども、紹介してみたいと思います。

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