インドの猿と神猿ハヌマーン

インドの猿と神猿ハヌマーン

首都デリーでも街中で見ることができる猿は、インドでも大変馴染みのある動物です。街中や国会議事堂の近くでも野良猿はおり、しばしば人を襲うなどの騒ぎを起こし、ニュースにもなっています。

そこで今回は、インドに広く生息する猿と、ヒンドゥーの神様、猿神ハヌマーンについて紹介します。

1.インドの猿

猿は、世界の熱帯地域から温帯地域にかけて生息する、哺乳類・霊長目の181種のことを指し、メガネザル、キツネザルといった原猿類39種、人やチンパンジー、日本猿といった真猿類142類に大きく分けられ、類人類、ヒヒ類などさらに細分化されています。一般的には、人を除く真猿類を猿と呼ぶそうです。

南アジアには約14種の猿がおり、類人猿やヒヒ類はいませんが、一部のオナガザル類がいます。

ハヌマンラングール(ハヌマーン神のモチーフの猿)は南アジアに広く生息し、カオムラサキラングールはスリランカを中心に、ダスキールトンはインド北東部やバングラデシュを中心にいます。これらは尾が長く、身体が細く、木の葉を主食としています。

実験猿としても有名なアカゲザルや、椰子の実を採る手伝いをする猿でも知られるブタオザルは、インドやアフガニスタンなどに生息しています。

その他、希少種としては、インド南部にのみ生息するシシオザルがいます。

インド唯一の原猿としてはホソロリスがいます。

2.神猿ハヌマーン

半人半猿の神、ハヌマーン(Hanuman)は、ハヌマット(Hanumat)の名前でも知られている神猿です。風神ヴァーユと天女アンジャナーの息子といわれています。自由に変身することができ、空を飛ぶことができます。大きな身体と赤い顔、変形した顎、長い尾をもち、叫ぶと雷のように響き渡る声を出すといわれます。ハヌマーンを表す像では、4面の猿顔と1つの人の顔をもつものや、半人半猿の姿で表されています。

ハヌマーンの名前の意味や起源は不明ですが、ハヌマーンを表す名前は、マルチ(Maruti)、パワンシューター(Pawansuta)、バジランバリ(Bajranbali)、マンガルムルティ(Mangalmurti)など数多くあります。

ハヌマーンの名前の意味の1つに「変形した顎」という説があります。「変形した顎」にまつわる神話を簡単に紹介します。

  1. ハヌマーンが赤ちゃんの時に太陽を果物と間違え、太陽まで飛んで行くと、インドラ神に顎を砕かれ死亡
  2. 激怒した風神の父ヴァーユが風を止めたため、多くの人や動物が死んだため、神々がヴァーユに許しを乞う
  3. 神々はヴァーユの許しを得るために、ハヌマーンに不死や決して負けない強さ、そして知恵を与える
  4. ハヌマーンは超絶の力を得て生き返ることで、ヴァーユが神々を許し、世界に再び風が吹いた

こうしてハヌマーンは、不死と負けることのない力を得たということです。

次の項では、ハヌマーンの活躍が描かれていることでも知られている『ラーマーヤナ』を簡単に紹介してみます。

3.ラーマーヤナ

ヒンドゥーの聖典『ラーマーヤナ』は、ラーマ王子(Rama)と歩み(ayana)を合成した言葉で、ラーマ王子がさらわれた妻を取り戻す冒険と、ヒンドゥーの神々の伝説を描いた叙事詩を編纂したものです。

ヒンドゥー教の聖典の1つとして知られ、全7巻構成、サンスクリット語で書かれています。2~6巻はBC5~BC4世紀ころに成立し、AD2世紀ころに1巻と7巻が成立したといわれています。

ハヌマーンは、この『ラーマーヤナ』の主要な登場人物として登場し、前項で紹介した力をもって、妻シーターを助ける場面で大活躍をします。ラーマの妻シーターは、ヒンドゥー女性の純粋さと美徳を凝縮して描かれているといわれます。

第1巻

ラークシャサ(仏教用語で羅刹の意)の羅刹王ラーヴァナに苦しめられる世界の話。

世界の窮地に、ヴィシュヌ神がラーマ王子(10化身の1つ)として転生する。

ラーマは、コーサラ国の首都アヨーディヤーで、父ダシャラタ王、母カイケーイー妃のもとに生まれる。

成長したラーマは、ミティラー王国ジャナカ王の娘シーターと結婚する。

第2巻

母カイケーイーの侍女マンタラーは、ラーマを嫌い、母とラーマを仲たがいさせる。

父は、ラーマの母の願いを2つまで叶える約束をしていたため、ラーマを国から追放する。

ラーマは、妻シーターと弟ラクシュマナを伴い国を出たのち、父グシャラタ王は悲嘆にくれ死亡する。

第3巻

ダンダカの森で暮らし始めたラーマたちは、鳥王ジャターユ(ガルダの息子)と懇意となり、平穏に過ごす。

ある日、森にやってきた羅刹王の妹、シュールパナカーをからかって遊んでいたラーマたちであったが、シーターが襲われたため、シュールパナカーの耳と鼻を切り落とす。

怒ったシュールパナカーは、国に帰ったのち、ラーマたちを軍で攻め殺そうとしたが、逆に撃退されたため、羅刹王にシーターをさらうようそそのかし、成功する。

その際に、シーターを助けようとしたジャターユは羅刹王に殺される。

第4巻

その後、ラーマはリシュヤムーカ山に行き、猿の姿をしたヴァナラ族猿王ヴァーリンの弟スグリーヴァと懇意となる。

スグリーヴァのために猿王をともに倒し、妻シーター捜索の協力を得る。

ここで登場するハヌマーンが、シーターはランカー島(セイロン島)に捕らわれていることを突き止める。

第5章

ハヌマーンは空を飛び、海を越えてランカーに渡り、シーターの居場所を発見し、救出の準備があることをシーターに伝える。

潜伏していたハヌマーンは発見され捕らえられるが、脱走し、ランカーに火を放ち炎上させ、ラーマのもとへ帰還する。

第6章

ラーマ軍と羅刹王との間の戦争がはじまり、ハヌマーンら猿軍の活躍や、ラーマが羅刹王を討つことで戦争は終結した。

その後、シーターとともにアヨーディヤーに帰還する。

第7章

帰国後王位に就いたラーマは、妻シーターの貞操を疑い、シーターを王宮から追放する。

追放後にクシャとラヴァを生んだシーターは、ラーマに貞操の証明をするよう求められる。

シーターは命を懸けて無実であることを証明したのち、死んでしまう。

その後、ラーマは妻を再びめとることなく死んでいった。

4.インドの猿とハヌマーンのまとめ

ハヌマーンはインドでも大変人気のある神様で、オートのドライバーがハヌマーンをミラーにかけているのをよく見かけます。インドのアニメなどでもハヌマーンが活躍するものがあり、子供からも人気です。

今回紹介した『ラーマーヤナ』も、子供のころから読み聞かせられる昔話で、インド人の間で大変馴染みのある昔話となっています。

私もヒンディー語を勉強をはじめたころは、子供向けの薄い神話が書かれている本をテキストに使っていました。インド文化もわかりやすく書かれているのでおすすめします。インド人の子供に読み聞かせてあげると、発音の勉強にもなります。

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