不可触民問題の偉人:アンベードカルとジョディバ・プーレ

不可触民問題の偉人:アンベードカルとジョディバ・プーレ

インドのカースト制度の外に置かれている、不可触民という人たちがいることを知っている人も多いと思います。

かれらは被差別賤民として虐げられてきた歴史を持ち、今も差別を受け、教育や社会保障など、様々な面で困難な状況に置かれ続けています。

今回は、不可触民問題の解決に取り組み尊敬を集める2人の偉人、アンベードカルジョディバ・プーレを紹介したいと思います。

1.不可触民とはどういった存在か

不可触民は、ハリジャン(ガンディーが名付けた「神の子」の意)、アンタッチャブル、アウトカーストダリト、法的には指定カーストなど様々な呼び名があります。かれらはカースト制度の枠外に位置づけられ、穢れを与える存在としてみられ、「触れてはならない」人間として、社会生活のすべてにおいて差別されています。

浄・不浄の観念が強く支配するヒンドゥー教の社会で、不可触民に代表される賤民制度は発達してきました。

不可触民の人口は2003年当時、1.6億人以上とされています。

2.アンベードカルの功績

アンベードカル(Bhimrrao Ramji Ambedkar, 1891-1956)は、西ベンガル、不可触民カースト出身のインドの社会改革運動家です。彼の運動は、不可触民制とカースト制度の廃止、女性の地位向上、解放など多岐にわたり行われていました。

政治家としては1942年に指定カースト連合を結党し、政治の世界に入って行くこととなります。この政党は後にインド共和党と名を変え、今も一定数の勢力をもつ国政政党となっています。

また、インド憲法の起草委員会の委員長として、不可触民の地位向上のため、懸命に働きました。ただ、アンベードカルのこうした活動はガンディーと対立することが多く、不可触民の地位向上のための動きを強くすると、政権与党国民会議派のガンディーがハンガーストライキに入り、アンベードカルは折れざるを得ないという状況がたびたび作られていました。

インド憲法17条において、不可触民を意味する差別用語は禁止と規定され、不可触民としての議員の議席や公務員、大学等の優遇枠を一定数用意する留保枠を作るなど、一定の成果を得ることができました。が、アンベードカルの求める形からは遠いものでした。

不可触民問題の根本的解決に、ガンディーをはじめ会議派の踏み込んだ決断を得られず、アンベードカルは、自身の活動に限界を覚えはじめることになります。

アンベードカルはヒンドゥー教徒であることが不可触民差別に繋がっていると考え、不可触民仏教徒への改宗の運動を始めます。そして1956年に数十万の不可触民仏教徒に改宗することになりました。

仏教徒への改宗という挫折とともに終わったアンベードカルの不可触民解放運動。現在は、その仏教徒がネオ・ブッディストとして差別の対象になっていることに悲しさを感じます。

3.ジョディバ・プーレの功績

ジョディバ・プーレ(Jyotiba Phule, 1827- 1890、以下プーレ)は、マハーラーシュトラ州サトラ出身、カーストの社会改革者として知られています。不可触民制やカースト制度の撲滅、女性の解放など、現代にも通じる問題の解決を目標としました。

真理探究協会(Satyashodhak Samaj 、Society of Seekers of Truth)を設立し、下層カーストの人々に平等の権利を与えなければならないと主張し、彼の活動に多くカースト、宗派、宗教を問わず賛同者が集まり、抑圧された人々のために運動が展開されていきます。

彼の妻、サヴィトリバイ・プーレ(Savitribai Phule, 1831-1897)も、女性教育の先駆者として、インドのフェミニズムの母として知られ、女性と下層カーストの人々への教育に力を入れました。そして、1848年に女性のための学校を設立しています。

また、自身の家を解放し、ヒンドゥ―文化でタブーとされている、不可触民などへの井戸の解放をし、社会的汚名の払拭に繋げるべく活動を続けました。

しかし、こうした行動がきっかけで、カースト・コミュニティから追放されることになります。カースト・コミュニティからの追放は、ヒンドゥ―文化では最も恐れられていることの1つで、教義上は不可触民の地位まで落ちることとなります。

ただ、彼の信念に教化された人は多く残り、支援を続けてくれました。

4.不可触民の偉人:アンベードカルとジョディバ・プーレのまとめ

アンベードカルやプーレが挑んだヒンドゥ―文化の壁は高く、不可触民の状況は依然として厳しく、多くの問題が解決されないまま時を重ねています。インドの不可触民問題は、ヒンドゥー文化、カースト制度に深く組み込まれており、憲法や法律で禁止されてもなかなか実効性をもてません。

現在、都市部の多くのインド人はこの問題を自覚していますが、同時にかれらへの忌避感ももっています。

しかし、現在は不可触民の地位向上などのNGOもあり、現在進行形でなんとか状況を改善しようと動いています。この活動により、チャンスをつかむ不可触民出身の人も少しずつですが増えてきています。

こうした活動に期待をする以外に、現状は道がないように感じてしまいますが、明るい未来が来ることを祈ります。

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