インド最大の先住民族:ゴンド族

インド最大の先住民族:ゴンド族

インド最大の先住民族(部族民)の、ゴンド族(Gondi people)をご存知でしょうか。こうした先住民族は、インドで暮らしていても、知る機会がないと思います。

ゴンド族とは、どういった特色をもつ民族なのでしょうか。今回は、ゴンド族について紹介します。

1.ゴンド族

ゴンド族は、インド最大の原住民部族で、デカン高原中部から北部にかけて、広範囲に暮らすゴンド系諸民族をさします。

  • 2011年の最新の国勢調査では、約1200万人の人口がいます。
  • 言語は、特有のゴンド語(Gondi)は、南インドのドラヴィダ語系に属します。
  • 農耕を軸に、生活を営む家が多数です。

ゴンド族は、父系血縁関係を重視した、政治・社会的コミュニティをもち、地母神やコミュニティの守護神を信仰し、年代ごとに分けられた若者の集団生活が行われるなど、広範な地域で暮らしているため、地域差はありますが、多様な文化的特徴をもっています。

例えば、ゴンド族系諸民族の1つ、チャッティースガル州バスタル地区(Bastar District)に暮らすマリア・ゴンド族は、単純な焼き畑耕作を伝統とし、農期ごとに移動を重ねます

一方、テランガーナ州アディラバード地区(Adilabad District)に暮らすラージ・ゴンド族は、定着農耕を伝統とし、一般的なヒンドゥーの農民と同様の生活を送っています。

ゴンド系諸部族は、それぞれが大きな人口をもっていることから、「ゴンド族」と一括りにするのは、しばしば疑問を呈されます。

また、ゴンド族の共通の言語となっているゴンド語も、南インドのドラヴィダ文化の強い影響のもとに、広まった可能性もあるため、独自の言語かどうか、同様に疑問を呈されることがあります。

ゴンド族の歴史は、一般的に、13世紀初頭に建国した王国、チャンダ(Chanda)王国を起源とします。

その後も、デカン高原中部から北部にかけて、ゴンド族による王国は続き、イスラムの侵入以降、諸部族が協力して、戦ったといいます。

そして、現在に至るまで、ゴンド族はこの地を中心に、影響力をもち続けています。

2.ゴンド族の社会制度

ゴンド系諸民族には、上記の2部族以外にも、数多くの部族がおり、これらグループの間には、ヒンドゥー社会のカースト制度に類似した、社会制度・相互関係が形成されています。

カースト制度と類似した、部族間の社会制度の特徴を、以下に挙げます。

  1. カースト制度の内婚のように、同部族(同ヒエラルキー部族間)の結婚が推奨され、そうでない結婚は、文化的に許されない
  2. ヒエラルキーの下位の部族から、上位の部族への、食物・水の受け渡しは許されない(カースト制度同様、上位から下位への受け渡しは可能)

こうした、結婚や水や食物の授受によって、ヒエラルキーは現れています

このヒエラルキーのトップにいるのが、ラージ・ゴンド族です。

このラージ・ゴンド族は、かつて、王国の為政者であったといわれ、現在においても、この地域の政治に関して、リーダー的役割を担っています。

ラージ・ゴンド族は、自身の出自を、カースト制度のクシャトリヤ(王侯・武士階級)カーストだと主張し、他のゴンド系諸部族や、原住民部族だけでなく、ヒンドゥー文化圏の人々も、このヒエラルキーを受け入れています。そのため、ラージ・ゴンド族は、バラモン以外のインド人に、水や食物の受け渡しが認められています。

一般的な部族民は、カースト制度の外にいると考えられており、不可触民と同等と考えられ、ヒンドゥー社会におけるヒエラルキーも、低く扱われるため、例外的な部族といえるのです。

なお、ゴンド族の社会制度のヒエラルキーは、ヒンドゥー文化を取り入れ、社会体制維持に用いたと考えられています。

また、ゴンド族は、ヒンドゥー社会同様に、家父長制度が残っているといわれますが、女性は、特定の民族の儀式への参加を、禁じられることはありますが、夫と妻は、互いに尊重しあう家庭を築く傾向にあるといいます(ヒンドゥーは極度に強い家父長制のため、すべてが家長の夫を中心にまわります)。

夫婦の解消(離婚)や、寡婦の再婚が認められていることも、ヒンドゥー社会との相違点です。

ただ、ヒンドゥー社会でいうダウリー()的な慣習もあり、結婚の際に、男性側の家族と女性側の家族は、互いに、新婦となる女性の値段を交渉するといいます。

他にも、ヴェーダなどで示されている慣習を、受け入れている点も多数みられ、ヒンドゥー社会との類似点は多数あります。

3.ゴンド族の宗教

ゴンド族の信仰は、やコミュニティの守護神、先祖崇拝を特徴としています。

地母神信仰は、アニミズム的性格をもち、有機物・無機物問わず、すべてのものに魂が宿っているとする考えに基づく、自然崇拝からなります。

そのため、動植物に神を投影、神格化し、信仰の対象とします。

ゴンド族の宗教観は、ヒンドゥー教と類似している点が多く、信仰を疎かにし、不道徳な人々がコミュニティ内で増えると、神が怒り、罰として、疫病や飢饉を引き起こす、とされています。

ゴンド族の、に関する考えも特徴的です。

死は、悪魔が魔術によって引き起こすものと考えているため、誰かが死ぬと、悲しみと同時に、怒りのリアクションをとるといいます。

ゴンド族の死者の埋葬法は、火葬が一般的です。

埋葬の際に、生前の財産を共に埋めるのは、死者が、死後も現世で生きる人々に関心をもっているとされるためで、ゴンド族の生活の邪魔をしないように、なだめるのが目的だといいます。

4.インド最大の先住民族:ゴンド族のまとめ

インドには様々な部族がおり、部族ごとに、多様な文化があります。今回、紹介したゴンド族は、インド最大というだけあって、その人口も、一国に匹敵するほどのもので、生活範囲も広範囲です。ゴンド族の文化も、地域ごとに、多様なものとなっています。

ただ、ゴンド族という枠の中には、独自のヒエラルキーがあり、それは、ヒンドゥー社会と類似したものでした。

宗教は、ヒンドゥー教の影響を受けている点、与えている点もあるようで、もう少し、突っ込んで知りたくなりました。また機会があれば、ゴンド族について、深くみてみたいと思います。

BlogMuraFC2BlogRanking

VISITORS HERE:21,947, HOLI GREEN TOTAL VIEWS : 3,507,735

Previous(down)/ Next(up)
寡婦が虐げられる伝統は続いたため、ある寡婦は捨てられ、ある寡婦は自身を虐げる家から逃げるために、この…
幸運の女神として知られるラクシュミーが愛する植物として、ヘンナはあり、女神の幸運にあやかるために、メ…