ガンジス川②:ヴァラナシのガンジス川の汚染

ガンジス川②:ヴァラナシのガンジス川の汚染

ガンジス川の聖地、ヴァラナシに行ったことがある人も多いと思います。そこでまさか沐浴までしたという人は少ないと思いたいですが、ボートで川を渡っただけで体調を崩したという人は多いのではないでしょうか。

私は沐浴場の階段を降りちょっと川に近づいただけで、1週間ほど下痢と熱にやられてしまいました。それもそのはず、2012年の調査では、川の水が体内に入ることでの病気の罹患率がなんと66%とされました。

聖なる川としてインド人の信仰を集めるガンジス川ですが、聖地からはずれた工業地帯近くに行くと、水が赤やオレンジ、エメラルドグリーンだったりと、経験したことのない川の色を見られる場所がいたるところにあります。また、水中から謎のガスが出ている場所もあります。

今回は、現在問題となっているガンジス川の汚染を中心にみてみます。

1.ガンジス川の汚染

ガンジス川の汚染は、人の健康や環境に大きな脅威を与えているといわれています。人間の排せつ物や産業廃棄物投棄などにより著しく汚染されているこのガンジス川は、11の州をわたり、インドの人口の約40%、約5億人に水を供給しています。

2019年World Atlasによると、ガンジス川は世界で最も汚染された川の1つに挙げられており、約600kmにわたり深刻な汚染地帯があるとされています。

川の浄化のためにさまざまな取り組みが行われてきましたが、期待された成果はなく、BJP政権のモディ首相は、川の浄化へ本格的な取り組みのため、約500億円の予算を組むことを宣言し、現在もその取り組みは進められています。

2.ガンジス川汚染の原因

  1. 排泄物:100都市を超えるエリアの排せつ物が、処理もせずに川に流されているため、大腸菌の高濃度汚染などが確認されています。
  2. 産業廃棄物:多くの工業都市から流される産業廃棄物が、法令で定められている対策もせずに川に流され、水銀をはじめとした重金属の重度汚染が確認されています。
  3. ヒンドゥーの伝統:祭りの際は7,000万を超える人が川に入り、罪を洗い流すという伝統があり、儀式で使われた食べ物や供物、祭壇などが川に流されます。また、死んだ人の罪を浄化し、解放するという伝統から多くの死体が川沿いで焼かれ、年間約4万人相当の遺灰(完全に焼き切ることは難しいため半分焼いた程度のことが多い)が川に流されています。

2006年に行われたガンジス川の汚染調査では、その水が身体に入ることによる急性胃腸疾患などの病気の発生率は66%と推定されました。この川の水は過剰汚染のカテゴリーに分類され、飲用や入浴はもちろん、農業用水としても有害であると判定されています。

また、2012年に行われた調査では、この川沿いに住むウッタル・プラデーシュ州、ビハール州、ベンガル州の人々の発がん率の高さが注目されています。

3.水生物、野生動物、人間への影響

ガンジス川には絶滅危惧種のガンジスカワイルカが生息していますが、ダムなどの建設により、従来の様に移動ができなくなり、その個体数が減ってきています。その他にもガンジス川には固有種がおり、水銀などの重金属汚染に弱いため、さまざまな種の絶滅に繋がるのではないかと危惧する声も専門家から上がっています。

川沿いに生きている野生の動物も汚染された水を飲むことから、重金属が身体に蓄積していき、その影響も心配されています。

ガンジス川の水は、インドの子供の主要な死因となる赤痢やコレラ、肝炎などの罹患に関係しています。ガンジス川沿いに暮らす人々、特に貧困層は入浴や洗濯、食事、掃除、歯磨きなどに川の水を使っている人が多いため、バラナシの病院には上記の病気で診察を受ける子供が多いといいます。

また、ガンジス川の魚を食べることによる水銀の蓄積などによる健康被害も心配されています。

4.ガンジス川流域のダムの問題

ガンジス川沿いに建設されたダムは多くの問題を引き起こし、インド内外で問題になっています。水の供給量を著しく低下させる事例や、それに伴う下流域での塩害を伴う土壌汚染などが指摘されています。

ガンジス川下流域にあるバングラデシュにとって、インドに作られたダムが深刻な問題となり、インドとの間で大きな外交問題となっています。インドの独断で、バングラデシュとの国境から約18kmの地点にあるダムが建設され、水量の調整がインドの都合で行われるため、乾季には川が干上がり、雨期には放流による洪水が起こるなど、バングラデシュのガンジス川流域の発展の障害となり、抗議を受けてきました。

現在はガンジス川の利害を共有するための協定を結んでいますが、いまだにこの問題は続いています。

また、各地に建設されている堰(せき)は都市部の飲用水としての用途を主としています。そのため、従来は都市部下流域に供給されていたはずの水量が供給されない地域が生まれ、干ばつを誘因するケースがあるようです。さらに堆積した汚染を流す水量もないため、ガンジス川の水の希釈、浄化が滞り、汚染が進む要因となっています。

例えばカンプールにある堰により、下流域で必要とされているさまざまな用途の水が供給されなくなり、干ばつに悩まされています。カンプール下流域の干ばつ被害に遭うエリアは、水道からの水の供給も滞り、飲用水確保のために子供や女性が長時間並ばされるといったことや、農業が壊滅的打撃を受けるなど苦難を強いられています。

ウッタルカンド州のテリダムも大きな問題を抱えています。乱開発による地滑りの危険や、雨期にはダム周辺のエリアが放流をしないために、浸水の被害に遭っているといいます。雨期になるとそのエリアにかかる10本の橋が水の下に沈んでしまい、迂回路もないため、住民たちは危険だとしても、仕事のために川を渡らざるをえません。また、乾季にはとてつもない量のを巻き起こし、健康被害が心配されています。

これ以外にもさまざまな被害報告が上がる中、2019年現在も58のダムが計画、建設中ということです。

ダム建設の際は、地元住民に被害が出た際の補償などの約束があるといいますが、それが払われるケースは少ないといいます。

5.ガンジス川②:汚染と環境破壊のまとめ

以前「ガンジス川でバタフライ」というテレビドラマがあったと聞きます。私は日本にいなかったので見ていませんが、それを見た周りのインド関係者は「絶対入ってないよね、もし本当ならおかしいよ」と皆怪訝に思っていました。日本で打って効く予防接種など一部だけなので、いまだに信じていません。

今回ガンジス川汚染を調べて驚いたのは、ガンジス川の水が体内に入った際の病気の罹患率が66%ということでした。この数値は、日頃からガンジス川に入っている地元のインド人から外国人旅行客までが対象です。慣れているはずのインド人ですら危険なので、日本人は絶対に入ってはいけないと思いますし、入ろうとする人を見たら私は必ず注意をします。

それでも入りたい人にはリシケシュをすすめています。

この末恐ろしいガンジス川の環境問題に光はあるのでしょうか?有効な打開策が展開されることを祈っています。

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バラナシの京都化を目指すという宣言もされています。
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