インドの食糧問題

インドの食糧問題

現在のインドは、世界有数の食糧生産国となっています。2017-2018は記録的な豊作となり、キビの生産量は世界1位、米と小麦は世界2位の生産量でした。

こうした生産量とは別に、インドの人口の約2億人は貧困層といわれ、毎日空腹に苦しんでいる人がます。2017年のGlobal Hunger Index scoreによると、インドの食糧事情は「警告」の一歩手前の「深刻」とされており、その問題の根深さがわかります。

今回は、インドの食糧問題と政策についてみていきます。

1.インドの食糧問題

人口規模、貧富の格差が大きく、エンゲル係数も高いインドにおいて、食糧問題は経済だけでなく、住民の生命や福祉にかかわる基本的な政治問題となっています。米・麦・雑穀といった主食を国民に十分に供給することは、インド政府の基本方針とされています。

インドでは独立当初から1960年代半ばまで、アメリカから食糧援助を受けるなど、世界最大の食糧輸入国でした。しかし、1960年代の「緑の革命」を経て、1970年代後半には、小麦、米、雑穀といった食糧穀物の自給が達成されました。

インドの1人当たり平均穀物摂取量は、2000年で1日当たり548gと計算されます。しかし、必要カロリー量で計算すると、1日当たり必要な穀物は570gであり、食糧穀物供給量が依然として不十分であることがわかります。

インド人の重要なたんぱく源であるの、2000年の1人当たり平均入手可能量は、1960年代初頭から半減しており、栄養バランスが著しく損なわれていることも指摘されます。

エンゲル係数の高い国においては、所得水準の低さはそのまま食糧入手量に反映されるといわれています。食糧格差が著しいインドでは、食糧問題は供給量だけでなく、価格や流通制度の面でも、低所得層に入手しやすい制度になっているかが重要です。

インド政府は食糧の調達・輸入、不足している地域への輸送、生産者買い上げ価格、消費者売り渡し価格の決定、備蓄政策、公共配給制度の導入などの、広範囲の介入を行っています。

しかし、貧困層の飢えは解決されておらず、課題として残っています。

2.食糧問題対策

インドには多くの貧困層と、飢えに苦しむ人々もかなりの数がいます。この項では、インド政府の貧困層への食糧問題の対策をみてみます。

2-1.インド食糧公社

1965年に設立されたインド食糧公社(FCI)は、緊急事態のために食糧を備蓄し、貧困層が物価高騰で買うことができないという事態を防ぐために、「適正価格」で食糧の流通管理を任されています。

ただ、FCIの管理のずさんさはよく指摘されています。

消費者省の発表したデータによると、2011-2017年の間に平均して約3000万tの穀物が備蓄されていますが、わかっているだけでも約6.2万tが破棄されています。この破棄された食料は、数百万人分の食糧にあたるといわれ、毎日空腹に苦しむ層への供給がなぜされないのか、と指摘されています。

では、なぜ備蓄食料の廃棄が起こるのでしょうか。

多くの場合、倉庫の適切な備蓄量をはるかに超えた量を備蓄しようとしたことから、本来の保存場所以外にも雑然と並べられているため、穀物が腐る事態が起きるといいます。

こうしたことから、管理体制の厳格化が求められています。

2-2配給カード

インドには、貧困層へ食糧穀物の配給という制度があります。貧困世帯には優先配給カード、Antyodaya配給カードの2種の配給カードが配られます。

  • 優先配給カードは、州政府が設定した基準を満たす世帯に発行され、1人当たり5キロの穀物が配給されます。
  • Antyodaya配給カードは、最も貧しい貧困層の世帯に発行され、各世帯に35キロの穀物が配給されます。

ただ、この配給カードの制度にも問題があります。空腹に苦しむ貧困層は極めてが低いため、書類等の確認ができずに、本来は申請すれば配給されるはずの食糧を、受け取ることができないケースが発生しているといいます。

カードの不正受給の問題もあり、2013-2017年の間に2800万件の受給者が虚偽申請をしたために、配給カードが没収されています。

また、これにかかわる業者の不正もしばしば取り締まられています。本来なら供給するはずの穀物を売り、そのお金で安く別の低品質(一部は痛んでいる)の穀物を買い、それを貧困層に供給し、差額を懐に入れているということです。腐った穀物は当然食べられないため、貧困層は飢えと貧困の悪循環にさらされています。

このように、飢えた貧困層への対策として配給制度はありますが、不正利用する悪質な業者や、ずさんな管理、そして貧困層への周知の徹底がなされていません。こうした問題点の改善が望まれます。

3.インドの食糧問題のまとめ

インドで暮らしたことがある人ならば、インドのどの地方に行っても、貧困層のエリアがあるのを見たことがあると思います。そうしたエリアで暮らす人々は、電気・水道・下水などのインフラも整っておらず、その付近の道を通ると物乞いの子供が近寄ってくることが多いです。

そうした子供のジェスチャーは必ずといってよいほど、食べ物をくださいというものです。普段のインド人との付き合いは、比較的裕福な人が多いですが、今回こうした記事を書くにあたり、改めてインド人の食糧問題というのに気付かされました。

効果的な食糧問題の政策が、インドで打たれるのを待ちたいと思います。

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