バングラデシュの貧困の要因に?ファラッカ・ダムとその問題

バングラデシュの貧困の要因に?ファラッカ・ダムとその問題

ファラッカ・ダム(Farakka Dam, Farakka Barrage)をご存知でしょうか。日本人には、あまり馴染みがない施設だと思いますが、色々と問題を抱えているダムなんです。その問題は、洪水から環境問題、さらに外交問題まで、様々です。

今回は、ファラッカ・ダムと、それに伴う諸問題をみていきます。

1.ファラッカ・ダムってどんなダム?

ファラッカ・ダムは、インド東部、西ベンガル州(ダムを境に下流部)とビハール州(ダム上流部)の州境にあり、ガンジス川をせき止めるダムです。

鉄道・道路橋としても、使われています。

1963年、ダム建設は始まり、1975年に完成しました。

ファラッカ・ダムは、ファラッカ火力発電所への水の供給や、60ある運河への、飲用・農業目的などの水の供給、そして、コルカタ港に堆積し続け、機能不全を起こしていた沈泥への対策を目的として、建設されました。

沈泥の対策のため、ガンジス川の分流であるフーグリー川の水量を増やすことで、沈泥を洗い流そうとしたのです。

しかし、当初の計画された水量では、この沈泥の浄化には足りていないことがわかり、現在も、この沈泥対策で流される水に伴い、様々な問題が起きています。

また、このダムをめぐり、下流域に位置するバングラデシュとは、長年にわたり、問題が起きています。

2.インドとバングラデシュのダムをめぐる争点

当時、現バングラデシュを統治していたパキスタンは、このダムの建設を、一方的な水資源の変更として、反発したため、両国間の争点となっていきました。

1971年のバングラデシュ独立後も、この問題は残りましたが、1977年に、インドとの間で、ガンジス川の水資源に関する協定が結ばれました。

しかし、その後も、問題の解決には至らず、両国間には政治的な衝突もあったため、この問題の改善へは進まず、ようやく(再)協定が結ばれたのは、1996年に入ってからでした。

この問題における、バングラデシュからインドへの要求は、水供給の確保と、放流の管理です。

バングラデシュにとり、ガンジス川上流域に位置するインドの管理次第で、同国に流れる水の量が決まるため、この問題は極めて深刻でした。乾季においては、インド側の水の独占、雨期・モンスーン期においては、インド側の一方的水の放流に伴う洪水など、バングラデシュは甚大な被害を受けてきたためです。

インド側の一方的な放流は、バングラデシュで度々、死者を伴う大規模な洪水を引き起こし、国際問題となっていました。この洪水の被害は凄まじく、バングラデシュの貧困の大きな要因と指摘されています。

  • ガンジス川は、極度に汚染が進んだ川で、多くの健康被害が誘引されています。
  • 乾季において、ダムが水資源確保のために、ガンジス川の水を止めてしまうため、下流の川の水の希釈が、十分にできないシーズンでは、バングラデシュを流れるガンジス川や、海の汚染が深刻となります。

そのため、海は汚染されるため、漁業もままならず、泥の処理が不十分なため、海底に泥が蓄積することで船の航行も妨げられ、また、公衆衛生の脅威ともなっています。

さらに、川の汚染により土地の塩分濃度が上がるため、土地は死に、農業を行うどころか、砂漠化を引き起こしています。

これらファラッカ・ダムに伴う問題は、両国の間の最重要課題の1つとして、現在も協議されています。

3.ファラッカ・ダムとインド国内の洪水問題

ファラッカ・ダムに起因する洪水は、ビハール州でしばしば起きており、その貧弱な、水の管理力が指摘されています。

このダムは、どういった問題をもち、洪水はどのように起こるのでしょうか。

3-1.ダムの役割

ファラッカ・ダムは、通常時は、運河への水の供給など、地域に必須の、生活インフラとして動いています。

しかし、インドでは、の時期など、豪雨が降る際は、その許容量を上回る水に対処するため、ダムの水を放流し、河川がその水量に耐え切れず、氾濫し、洪水の被害にあう地域が多くあります。

ダムの重要な役目としてあるのが、大都市における洪水を防ぐことであるため、そこへの水の流れをそらすため、経済的損害が、比較的小さい地域を犠牲にするということが起きるのです。

そうした地域は、概して、貧困層が多く暮らしているため、一度、大規模な洪水が起こると、地域のインフラ復旧には時間がかかり、劣悪な衛生環境から、マラリアをはじめとした伝染病などが、流行することがあります。

ビハール以外でも、毎年のように、洪水に伴う衛生問題がクローズアップされるニュースをみます。

日本のダムのように、最新の管理システムが導入されていないこともあり、今回取り上げているファラッカ・ダムは、「貧弱」と形容されています。

3-2.沈泥の無計画な放出

どのダムでもそうですが、ダムの重要な機能の1つとして、ダムに溜まった泥の処理があります。

しかし、ファラッカダムは、当初の設計で予定していた沈泥の処理能力が、期待通りに働かないことが分かり、問題となっています。

ダムの中に溜め続けることもできないため、定期的に放出しますが、それが高度な計画がないままに行われるため、ある運河では、計画外の堰(せき)ができるなどして、想定外の氾濫・洪水を引き起こしてしまうそうです。

国も、こうした問題に対応するため、世界銀行などと協力し、改善に向けた協議を継続しています。

4.バングラデシュの貧困の要因に?ファラッカ・ダムとその問題のまとめ

ファラッカ・ダムの問題で、個人的に一番興味があるのは、バングラデシュとの関係です。バングラデシュの、の動画を観たことがある人は多いと思いますが、その映像の中によくあるのが、洪水に伴う、不衛生な湿地帯です。あの地域の要因の1つが、ファラッカ・ダムだといわれています。

これは話し始めると、きりがありません。また機会があれば、このダムをめぐる、インドとバングラデシュの関係を、もう少し突っ込んで紹介してみたいと思います。

BlogMuraFC2BlogRanking

VISITORS HERE:22,408, HOLI GREEN TOTAL VIEWS : 3,507,719

Previous(down)/ Next(up)
少しずつ少しずつ、その瞬間は僅かであっても、時間をかけて侵犯していく地域を広め、その施政権を拡大して…
ヴィノーバ・バーヴェ(Vinoba Bhave, 1895-1982)という人物をご存知でしょうか。…