インドの女性問題:ダウリー、幼児婚、寡婦の再婚禁止について

インドの女性問題:ダウリー、幼児婚、寡婦の再婚禁止について

インドには、世界的に有名な女性問題が数多くあります。

毎年のように国連の人権委員会で議題に上げられるインドの女性問題。女性に貞節、従順、純潔を求めるヒンドゥー教の伝統的な女性観のもとで、ヒンドゥー女性は、これまで低い地位に押しとどめられ、さまざまな社会的制約や差別的処遇を背負わされてきました。

古来から続いているこうした女性観をもとに、女性への抑圧的慣習は今も続いています。今回はその代表的な慣習として、女性の結婚に関わるダウリー、幼児婚、寡婦の再婚禁止について紹介していきたいと思います。

1.ダウリー

ダウリーは、さまざまな問題を引き起こす装置として世界で知られています。

ダウリーとは、結婚する妻の家から夫の家に対する贈り物のことで、多額の持参金や宝飾品、洋服、テレビや冷蔵庫などの高級家電、さらには自動車を要求されることもあるといいます。

ダウリー目当てで妻を殺し、また新たに結婚を繰り返す殺人事件も発生しています。私が友人に誘われて行った結婚式では、ダウリーで贈られた高級車が飾られており、これが5回目の結婚だよと、苦笑いしながら言われたのに違和感しか感じなかったのを覚えています。

なぜダウリーが始まったのか、文化的背景をみてみます。

ヒンドゥー社会では妻をめとることは、その妻の家に対して社会的に優位に立つと考えられ、そこからダウリーの要求が行われることになったといいます。このダウリーは、結婚後も要求され続けることもあり、その要求する権利を夫側の家は持っていると考えられます。

このダウリーを送り続けることで妻側の家は疲弊し、自殺に追い込まれるケースもあるといいます。

また、このダウリーは女児殺しにも影響を与えています。女性を結婚させることは経済的に大きな負担を伴いますが、女性の未婚は文化的に批判されるので、女児、嬰児殺しが起きてしまうといいます。現在も出産前の検査で性別を調べ、女児の場合は堕胎手術をするケースが後を断たず、女児出産を嫌う傾向が強く残っています。

法的には1961年に「ダウリー禁止法」が制定されましたが、その実効性はなく、近年ではむしろ地域、宗派、カーストを超えて広まり、普遍化、高額化が進んでいるといわれています。

高額なダウリーを支払うことは、嫁いだ先の妻の立場を向上させる重要な意味ももつため、支払わないという選択肢は選びにくい環境になっています。

2.幼児婚

幼児婚は、異カースト間の結婚が忌避され、処女性が重要視されるヒンドゥー文化の影響のもと広まりました。そして、初潮前に娘を嫁がせることは、父親の宗教的義務とみなされたといいます。

女児のため自己決定権はなく、すべて家の都合でこうした幼児婚は行われてしまいます。

幼児婚の問題で挙げるべきは、ヒンドゥー文化において再婚が忌避されていることです。

イギリス植民地時代、ベンガルのバラモンカースト、クリン(Klin)の老齢男性がダウリーなどをもらうために100人余りの妻をめとったため、多くの幼い寡婦を生じさせた話が有名です。この慣習は当時支配していたイギリスも嫌悪感を示しており、インドの後進性の端的な例として批判しています。

その後1929年に法的に幼児婚は禁止され、現在、女性は18歳、男性は21歳から結婚が認められています。しかし、インドの貧しいエリアではこの幼児婚がいまだに行われており、この悪習の根絶にはまだ時間がかかりそうです。

3.寡婦の再婚禁止

寡婦(夫を失った独身の女性)は、女性に貞節、純潔、従順さを求めるヒンドゥー社会において、その存在を否定され続けてきました。

寡婦への抑圧の最たるものが再婚の禁止です。これは、結婚において女性の処女性を極めて強く重んじるヒンドゥ―社会において、非処女の女性の価値は著しく貶められることに起因します。処女は「浄性」の象徴で、そうでない女性との結婚は「不浄」として文化的に忌避される背景があります。

寡婦は夫の死後、質素で地味な服装を強制され、髪を短く刈り上げられ、部屋の片隅、またはひどいときには牛小屋などでの生活を強いられてきました。

前項で紹介したクリンカーストの老齢男性がした100人余りの女性との結婚は、多くの幼児婚も含んでおり、その結果、処女のまま寡婦となるケースも多々ありました。

誰にも歓迎されない寡婦の存在への対処として生まれた慣習に、サティーというものがあります。「貞淑な妻の殉死」を意味するサティーは、クリンのいるベンガル地方を中心に広まり、夫を亡くした寡婦が、夫の火葬の際に一緒に生きたまま焼き殺されるというものです。クリンに嫁いだ女児も、このサティーを行ったこともあるようです。

自ら死を決意することもありますが、嫁ぎ先の親族に殺されるケースも多く記録に残されており、社会的に抑圧された寡婦への最悪の慣習として知られています。

1829年にこの慣習は禁止とされましたが、現在もインドの貧しい地方ではまれにこの慣習が行われることがあり、この慣習で死んだ女性は尊敬され、敬意を払われることがあるということに闇に深さを感じてしまいます。

4.インドの女性問題:ダウリー、幼児婚、寡婦の再婚禁止についてのまとめ

ヒンドゥ―女性への代表的悪習として挙げられているこの3つの慣習は、今日も続いています。広範囲で行われているダウリーや、寡婦の再婚の禁止は、さまざまな付随する問題を起こし続けています。そして数は減っていますが、ヒンドゥー文化が色濃く残る地方でみられる幼児婚も依然としてあります。

現政権のBJPに期待をしたいですが、ヒンドゥー至上主義に強く影響を受けているその性格上、政治的な変革による解決は難しいのかなと暗い気持ちになってしまいます。こうした問題もNGO頼りとなってしまうのでしょうか。

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