インドの女性差別考:固定化される女性像

インドの女性差別考:固定化される女性像

世界的に、インドにおける女性差別は、課題とされています。現在も続く女性問題として、よく取り上げられているのが、ダウリー(持参財)や(法的には禁止)、DV、寡婦にまつわる問題などでしょうか。

こうした問題に影響を与えているのが、インドの伝統的な、女性への偏見です。今回は、ヒンドゥー社会・文化における、女性の固定化されたイメージについて、みていきます。

1.「吉祥」を担う女性とそうでない女性

1-1.「吉」とされる女性

女性は伝統的に、家の繁栄に繋がることを求められ、第1の仕事は跡継ぎを産むことです。

妊娠中の女性や、月経中の女性が「」とされるのも、生殖能力がある女性と確認できるからだといいます。最も「吉」な女性は、結婚して子供がいる女性です。※

ちなみに、結婚式で、花嫁が伝統的に赤い衣装をまとうのは、赤がセクシャリティを増幅させると考えられているためです。

1-2.「凶」とされる女性

寡婦や、子供を産むことができない女性は、ヒンドゥーの文化において「」とされます。

これは、彼女たちがその後の人生で、家の繁栄に寄与しないため、という考えからくるものです。

夫が妻よりも先に死ぬと、寡婦は社会に災いをもたらす存在であると、伝統的に考えられ、セクシャリティを抑えるために、白いサティーなどをまとわされ、化粧をすることも許されません。

もし、カラフルな服を着て、化粧をすると、男たちを惑わせる危険があるとされるためです。

2.ヒンドゥー社会において固定化される女性のイメージ

前項で述べたように、ヒンドゥーの女性の最も重要な仕事は、跡継ぎを産むことです。

そのため、幼少期から様々な固定化したイメージを、少女に与えていきます。

以下、代表的なものを紹介してみましょう。

2-1.初潮を迎える頃

初潮を迎える頃の少女が咎められる行動には、以下のものがあります。この年頃は、子供を産むための準備期間と捉えているようです。

  • 口紅を塗ることや、肌に白いクリームを塗ること、壁にもたれること、口笛を吹くことは、売春婦を連想させるとして、嫌われる行動です。
  • 大声で話すことや、足を組む・開くこと、自転車に乗ること、激しい運動をすることも、嫌われています。こうした行為は、女性が丈夫な子供を産むための妨げになるとされ、月経に悪影響を与えると考えられているのです。

また、遠くへ一人で出かけることなども、嫌われています。

ヒンドゥー文化では、初潮を迎える頃に、女性の身体が「性的な能力」をもつことになると考えます。そのため、女性の身体を男性が守らなければならず、女児の行動を抑制するということです。

2-2.結婚後

結婚後の女性に、一番求められるものは跡継ぎを産むことであるため、子供を産めない妻に、居場所はありません。酷い時には、虐待されることもあるといいます。

また一般的に、家の中は、女性の領域とされ、男性は逆で、家の外がその領域とされています。そのため、男性は家の外で働くことが求められますが、女性は家の中の仕事(家事や育児に準ずるもの)が求められます。現代においても、夫に断りを入れずに外出すると、怒られ、酷い時には折檻される家庭もあるようです。

また、古来より女性は、情欲を抑えられない性質をもつとされ、伝統的に、女性が男性を誘惑する可能性があると、考えられています。そのため、たとえ家の中でも、男性(親族や夫の友人でも)と気軽に口を利くことは嫌われます。

実際に、ヒンドゥー文化に最も影響を与えたと考えられている『マヌ法典』においても、同様のことが書かれており、女性への注意を呼び掛けています。

ちなみに、インドの文化では、男女が近距離でコミュニケーションをとることは、性行為を連想させるといいます。通常の生活において、男女が近距離で過ごすことがないためで、近距離になるのは性交をする時のみという、中学生の男子のようなことを考えてしまうようなんです。

2-3.固定化される女性のイメージ

みてきたように、女性は跡継ぎを産む能力をもつか否か、ということが極めて重要視されています。

たとえ、男性側に不妊の原因があっても、多くの場合は一方的に、女性が責任を負わされるようです。

ヒンドゥー社会において望まれる「女性像」は、固定化しており、女性へのイメージや偏見は、伝統の中で再生産され、現代においても生き続けています。

3.インドの女性差別考:固定化される女性像のまとめ

インドの女性観は、どれも男の偏見からくるものだというのが、よくわかります。

ただ、これも文化の一つの形なので、インド人に対し、女性問題などの話をするのは、控えた方がよいかもしれません。私は、とても悲しそうな顔をされました。

また機会があれば、耳を塞ぎたくなるような、女性差別の話を紹介したいと思います。


※月経(血)は不浄で、その時は料理を作ることができない、という慣習もあります。ただ、月経=出産可能ということの象徴でもあるので、「吉」となるということのようです。そのため、「不浄」だけれど「吉」という、インドでよくある「都合の良い」伝統といえるかもしれません。

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