世界最大の屋外洗濯場:ドービーガート

世界最大の屋外洗濯場:ドービーガート

インドのムンバイにある、ギネスブックにものっている世界最大の洗濯場、ドービーガート(Dhobi Ghat)をご存知でしょうか。近年、観光名所にもなり、多くの外国人観光客を集めています。

今回は、このドービーガートと、そこで働く洗濯カーストの人々について紹介します。

1.ドービーガートってどんなところ?

ドービーガートは、マハーラーシュトラ州の州都ムンバイ、マハーラクシュミ駅に隣接した、世界最大といわれている巨大屋外洗濯場で、周囲を高い塀で囲われています。ドービーガートは「ドービー(洗濯人カースト)の場所」という意味です。

このエリアの面積は約28000㎡で、7000人以上のドービーカーストの人々がここで、手洗いで洗濯をして生計を立て、その家族、約200世帯が暮らしています。

かれらの作業時間は、毎日18~20時間といわれています。毎日10万を超える衣類が、ホテル、病院、衣料店、結婚式場、一般家庭など、様々な場所から運ばれて洗濯をしています。同洗濯場の年間売り上げは、約100億ルピーと推定されます。

この大量の服の認識法は、それぞれが特定の業者に委託して行うようです。服に簡単なタグを縫い付けて、個別の認証をすることが多いようです。

かれらの中で成功した人々は、このドービーガート内の自身の敷地に、より効率化を可能にする、高性能の大型洗濯機などを導入し、より大きな収入を得る人も増えてきているといいます。

ヒンドゥー社会独特の文化を、都市部においてもみることができるドービーガートは、世界中から観光客を集める人気の観光地にもなっています。

このドービーガートは、この独特な洗濯のエリアとして、ギネスに認定されています。

2.ドービー(洗濯人)カースト

このドービー(洗濯人)カーストは、「洗う」を意味するドーナー(dhona)というヒンディー語の動詞に由来します。元来、ドービーという名は、北インド固有のカースト名でしたが、インド全域の洗濯カーストグループを指す単語となっています。

多くのドービーはヒンドゥー教徒ですが、北インドの一部地域では、ムスリムを含むことがあります。

インドでは、衣類の汚れは「穢れ」と考えられており、特に上位カーストにとって、汚れた衣類に触ることは禁忌と考えられていました。そのため、ドービーは日常生活に必須な存在として、各カーストコミュニティに必ず存在しており、各カーストの分業関係の歯車の1つとなっていました。

汚れ=穢れ、と考えるヒンドゥー社会の文化では、穢れに触れる仕事を行うドービーは、多くの地域で不可触民と位置付けられています。

不可触民の人口は、最新の国勢調査によると約2億人となっており、インド人全体の約16.6%です。

ドービーの人口は、不可触民全体の約6%で、地域によっては誤差はありますが、カーストヒエラルキーの中では、不可触民としては最上位に位置することが多くなっています。ドービーの仕事は、ヒンドゥー社会で最も不浄とされる、人や動物の生死や、汚水処理に関わる仕事ではないためです。水は、一般的に浄化の儀式に使われるものであり、汚れた衣服を浄化するということは、ドービーの穢れは、他の不可触民よりも軽度なものと見なされているのでしょう。

ムンバイのドービーガートに代表されるように、ドービーは現在の都市部などにおいても、伝統的職業を受け継いでいるカーストとして認識されています。

  • 一般的な都市部のドービーの仕事は、ドービーの1家族あたり、数件から十数件の家庭の衣類の洗濯を行い、月単位で賃金を稼いでいることが多いです。
  • 農村部におけるドービーは、洗濯だけでなく、小規模の農業や種々の労働で、生活費を稼ぐことが多くなっています。

近年は洗濯機の普及により、ドービーによる洗濯の仕事の需要は減ってきています。そのため、ドービー=洗濯人、というイメージは、いずれ薄くなっていくのかもしれません。

行政上は、ドービーを指定カーストと認定する地域が多く、政府からの支援を受けています。

3.近年起きているドービーガート内の問題

近年、ムンバイのドービーガートは、より観光地として集客率を高めるために、行政主導の再開発が計画されています。

その計画には、伝統的に衣類を乾かす場所として使われていた場所や、ドービーの生活する一部居住区域の取り壊しなども予定されており、多くの反対の声があがっています。

この計画により、約1500人のドービーが、このエリアから出ることになっています。

なお、ドービーによる計画見直しの嘆願は、却下されています。

4.世界最大の屋外洗濯場:ドービーガート

近年、このドービーガートを舞台にした映画『ドービーガート(Dhobi Ghat)』も公開され、ますます注目を集める場所となっています。私も、ムンバイに行く機会があれば、ぜひ覗いてみたいと思います。

なお、このドービーは不可触民ですが、不可触民の中では最上位のランクになるということで、不可触民内のそれぞれのカーストランクも気になりました。機会があれば「不可触民ランキング」についてもみてみたいと思います。

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北部のナガ丘陵には、「首狩り族」として有名なナガ族ナガ系諸民族)が暮らし、階段耕作を営んでいます。
13世紀以前には、すでにインド北東部にいたようです。