チャッティースガル州:部族民の経済問題

チャッティースガル州:部族民の経済問題

チャッティースガル州をご存知でしょうか。比較的最近できた州で、日本企業の進出もあまり聞かないので、日本人にはあまり馴染みのない州かもしれません。ただ、この州、2000年に州として独立して以来、平均所得が約9倍になっており、その経済成長に注目が集まる州でもあるんです。

しかし、この州の開発が進められるエリアは、部族民が多く住む地域となっており、開発によって、伝統的な仕事を奪われる人々が生まれてしまっています。そして、そうした部族民の多くが貧困層となっており、その貧困問題は、この州の特徴ともなっています。

今回は、チャッティースガル州の紹介と、経済状況を簡単に紹介していきます。

1.チャッティースガル州ってどんなところ?

(Chhattisgarh)州は、2000年11月1日に発効されたマディヤ・プラデーシュ州再編法(The Madhya Pradesh Reorganisation Act, 2000)によって、マディヤ・プラデーシュ州南東部の16県が分離して成立しました。

この州設立の目的は、この地域に多く居住している、固有の部族の文化の保護などです。

チャッティースガルは「36の城塞」を意味します。歴史的にこの地方は、南コーサラと呼ばれてきており、現チャッティースガルの名は、18世紀末頃から定着したといわれています。

州都はライプルで、マハナディ川とシヴナート川の渓谷が中心部を占め、東部はチョタ・ナーグプル丘陵、南部をデカン高原、西部をサートプラ丘陵、北部をマイカル山脈に接します。

州の約41%を森林が占め、石炭、、ボーキサイト、錫、ウラニウム、ダイヤモンドなど、豊富な地下資源を有しています。

最新の2011年の国勢調査では、チャッティースガル州の人口は約2550万人で、そのうち指定カースト(一般的に不可触民を指す国のカテゴリー)が約12%、指定部族(一般的にインド先住民の貧困層を指す国のカテゴリー)が約32%を占めています。

識字率は男性が約80%、女性が約60%と、男女格差があることが伺えます。

サトナーミー、カビールパンティー、ラーエダーシーといった、ヒンドゥー教諸派の中心地としても知られています。

言語は、部族民(指定部族にカテゴライズされている部族も、されていない部族も)が諸言語を用いており、チャッティースガル州東部は、ヒンディー語の方言に分類されるチャッティースガル語が広く使われています。ただ、この地で暮らす人々にとっては、ヒンディー語に分類されることに抵抗を感じる人も多く、政治的な働きかけも起こっています。

2.チャッティースガル州の貧困

一般的に、貧困を表す指標として、絶対的貧困貧困線(Poverty Line)と呼ばれるものがあります。

絶対的貧困

絶対的貧困が表す数字は、最低限の食費、非食費(住居費を除く)、住居費、貧困線に満たない人々、を絶対的貧困としてカウントし、その人口比が「絶対的貧困率」として出されます。インドでは1年間の食費が462ドル以下、非食費が220ドル以下、住居費が60ドル以下、1日2.03ドル以下で暮らす人々を、絶対的貧困としてカテゴライズしています。

インド全体では、その割合が25.56%と、最新の2011年の国勢調査ではなっています。

貧困線

貧困線は、統計において、生活必需品を自身で購入できる、最低ラインの収入を指す指標です。その収入ラインを割ると、家族の生活を賄うことはできないとされ、貧困線ギリギリの生活を強いられる世帯、個人は、嗜好品などに手を出す収入がないことになります。

ただ、この貧困線という指標は、物価などの生活条件も異なるため、国や機関によって異なります。

  • 世界貧困線」は、現在1人当たり1日1.9ドル以下の購買力平価の階層とされています。
  • インドの貧困線は、1人当たり1日2.03ドル以下となっています。

チャッティースガル州は、この絶対的貧困率はどれくらいなのでしょうか?

政府公式の調査によると、約22%となっています。

しかし、部族民に注目してみると、かれらの貧困状態は、かなり深刻な状況になっていることがわかります。同州の部族民の貧困率をみると、都市部においては部族民の約40%が貧困層となり、農村部においては約49%が貧困層となっています。

部族民の経済活動をみてみましょう

同州の部族民の経済は、伝統的に森林における狩りや農業、伐採などを糧にしてきました。しかし、政府により森林地区の開発が進められることで、かれらの伝統的な仕事が破壊されることに繋がったのです。

森林の伐採や施設の建設など、政府の開発によって、その土地を離れざるを得なくなり、都市部へ流入する部族民が増え、そうした人々は、社会的・金銭的インセンティブの低い職を強いられることになります。そうした都市労働者になった部族民は、部族民全体の20%にあたるといいます。

部族民たちは本来、都市部周縁で独自の生活様式を営んでおり、自己完結的な生活をしていることが多かったのですが、政府の都市開発により、そうした伝統的な生活が壊された形になります。

こうした意見に対する、政府の反論もあります

チャッティースガル州ができた2000年当時の州の年間の平均所得は、1万ルピーに満たなかったのが、現在では9万ルピーを超えているため、部族民も含めて裕福になっているということです。

チャッティースガル州には、約20,000の村があり、そのうち約11,000の村が、森林に依存した経済活動を行っているといいます。

しかし、同州の森林産業における、部族民の占める生産力は、わずか25%程度となっています。それは、インフラ投資による、森林産業の効率化が進み、部族民が本来収益をあげていた多くの経済資産を、開発によって参入した業者が奪っているためだ、と指摘されています。

州の開発により、都市部の経済状況は向上していますが、教育の遅れている部族民の都市労働への参入は、その経済状況が、政府の主張するような改善に繋がっているとはいえない状況です。

3.チャッティースガル州:部族民の経済問題のまとめ

チャッティースガル州についてみてきましたが、部族民がここまで多い州も、インドでは珍しくなっています。

本来、伝統的な仕事を生業とし、外部との接触も最低限とする部族も多いはずが、開発によって伝統的な生活を奪われ、貧困な生活を強いられている人々の多さに驚かされました。

機会があれば、こうした部族に注目した記事も書いてみたいと思います。

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