インドの賤民差別の起源?:古代インドの賤民チャンダーラ

インドの賤民差別の起源?:古代インドの賤民チャンダーラ

不可触民差別の起源ともいわれている、古代インドの賤民であるチャンダーラ(Chandala)という存在をご存知でしょうか。不可触民差別の歴史を調べると、必ずといっていいほど出てくる存在です。

今回は、チャンダーラがどういった存在であったのか、紹介します。

1.チャンダーラ

チャンダーラは、古代インドにおいて、その存在が穢れているとされた、代表的な賤民グループです。漢訳された仏典では、「旃陀羅(せんだら)」と書かれています。

古代インド社会では、地域や慣習など、様々な要因から、賤民制が複雑に発達したといわれており、チャンダーラは、ヒエラルキーの最下層に置かれた社会グループです。

チャンダーラについての記述は、-BC4世紀頃の、ヒンドゥー聖典で確認できます。

カースト制度が、社会的ヒエラルキーとして確立した当初、チャンダーラはシュードラの中に置かれていましたが、その後、ヒンドゥー社会の発展とともに、シュードラ以下の存在とみなされ、チャンダーラはカーストの枠の外に、名実ともに置かれることになります。それが、不可触民です。

古代ヒンドゥーの聖典などにおいて、シュードラの男性と、バラモンの女性の間の子が、チャンダーラの起源であると書かれています。この、下位カーストの男性と、上位カーストの女性の結婚の形は、逆毛婚(プラティローマ)と呼ばれる、ヒンドゥー文化で最も忌避される結婚です。

つまり、禁を破り、生まれた子供だから、賤民としてみなされるということです。

ちなみに、男性が上位カースト、女性が下位カーストの結婚は順毛婚(アヌローマ)と呼ばれ、本来は好ましいとは思われませんが、大目にみられているようです。

なお上記で、聖典において、シュードラ男性とバラモン女性が、チャンダーラの起源といわれている、と書きましたが、これは、バラモン(ヒンドゥー文化の担い手)が作ったストーリーであり、事実ではないようです。チャンダーラは、ドラヴィダ系先住民であることがほとんどで、侵入してきたアーリヤ人(ヒンドゥー文化を形成)に侵略され、抑圧された存在であったのです。アーリヤ人とドラヴィダ系は、顔だち、言語、文化も違うため、差別の対象になりやすかったのでしょう。

被支配者として、アーリヤ人とともに生きていくことになったチャンダーラは、どのようにして、賤民として、身分が固定していくことになったのか、次の項でみてみましょう。

2.不浄な存在としてのチャンダーラ

ヒンドゥー教・文化は、極めて浄・の観念が発達した思想をもつといわれています。そのため、その上下のヒエラルキーの極地に、バラモンと被差別民(チャンダーラをはじめとした、賤民グループ)が置かれるのです。

侵入したアーリヤ人のコミュニティ(ヒンドゥー・)は、当然、土着のチャンダーラたちのコミュニティより、裕福となります。そのため、伝統的に、定住農耕や狩猟で生計を立ててきたチャンダーラたちは、狩猟で得た、肉や毛皮、山で摘んだ果樹や野菜、花などを売るために、アーリヤ人へと近づきます。

また、アーリヤ人たちはコミュニティ内部の仕事を、チャンダーラたちに与えます。しかし、アーリヤ人が与える仕事は、自身がやりたくない、不人気なものに限ってしまいます。それが「不浄」な仕事です。

こうした生活が根付いた頃には、チャンダーラたちは、アーリヤ人のコミュニティの外で暮らすようになっていました。

アーリヤ人たちは、血をはじめとした体液を、不浄とみなすため、それにまつわる仕事が、チャンダーラたちの仕事となっていきました。チャンダーラの主な仕事としては、狩猟や屠殺、清掃(トイレなど)などで、こうした仕事が定着していくとともに、かれらの存在自体が「不浄」なものと認識されていくことになります。

こうして、カースト・コミュニティの中で暮らせない、カーストの枠の外の存在として、不可触民文化は形成されていったのです。

4つのカースト(バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラ)からなる、カースト・コミュニティの「浄性」を維持するための口実として、「不浄」なチャンダーラたちが、差別を受けたという見方もあります。

輪廻思想を、アーリヤ人たちは信仰していたため、信仰を怠ると、チャンダーラのように、不浄な存在として生まれ変わるから、真面目に生きないといけないとなり、裏返って、前世の行いが悪いから、チャンダーラとして生まれたんだということになります。

こうして、差別の構造は定着していくこととなります。

不浄な存在であり、視界に入ることすらも嫌われる賤民思想・文化は、こうして発展していきます。

現代まで続いている、不可触民差別の起源は、こうしたチャンダーラにあると、多くの研究者が語っています。

3.インドの賤民差別の起源?:チャンダーラのまとめ

インドの不可触民差別は、現代においても、痛ましい事件を引き起こしています。こうした差別の起源として、侵入したアーリヤ人による、先住民差別があるのでしょう。

今回の記事では、チャンダーラの簡単な紹介となりましたが、ヒンドゥー聖典『マヌ法典』においても、チャンダーラについての酷い表現が見受けられます。

また機会があれば、『マヌ法典』における不可触民差別など、不可触民関連のテーマを紹介してみたいと思います。

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