インド人の映画好き

まだまだ映画は娯楽の王様

「インドの娯楽の王様は映画である」こう言われ始めてからもう、何年も経ちました。映画製作の中心地であるムンバイの旧名ボンベイにかけた『ボリウッド』なる言葉も、もう日本でもお馴染みです。

最近はインド各地にテーマパークもオープンし、ビデオゲームも流行を極め、不動の王様の地位も揺らいでいるかと思いきや、まだまだ健在なようです。

都市部の大型ショッピングセンターにはシネコンが併設され、衛星放送やケーブルテレビも普及して、テレビの多チャンネル化現象もみられますが、肝心のコンテンツが不足しているのです。

古い映画や、映画の中の歌と踊りのシーンを寄せ集めた番組も、幅を利かせています。映画人気は、まだまだ健在です。

検閲には金が必要

インド映画協会の統計によると、2013年度に検閲を通過した劇映画の総数は、1966本です。同年のアメリカの製作本数は707本、日本は615本、中国は618本です。アメリカと比べると日本も結構多く、日本と中国がほど同数ですね。

インドでは検閲を通った作品のみが公開を許され、それだけで1年に2000本近くあるのです。検閲を受けるには、フィルム1フィート当たりに料金が課されます。ドキュメンタリー作品など、予算は少ない収益も見込めない、おまけに国内での上映は困難そうだと思われる作品は、そもそも検閲に出さないことが多いのです。

自主制作の作品など、その辺りも考慮すれば、実際に作られた本数は、検閲作品を大きく上回るでしょう。同じ作品でも、他言語に吹き替えられれば別作品と見なされ、その本数もプラスされます。このように実数を掴むのは困難ですが、それでもインドが映画大国であるのは疑いもありません。

言語の多様さが製作本数に跳ね返る

製作本数の多さにはさまざまな原因が考えられますが、インドの言語の多様さも、その一因であるのは間違いないでしょう。インドにはおびただしい数の言語が溢れています。映画で使用される言語もそれを反映して、全部で40種類近くあります。

トゥル語(カルナータカ州南部の言語)・コンカニ語(ゴア州の言語)・マニプリー語(マニプル州の言語)などの少数言語や、辺境の部族民が話す言語、もちろん英語サンスクリット語の作品まで作られています。

中でも多数派は、ヒンディー語・タミル語・テルグ語・マラヤーラム語の映画です。ヒンディー語はインド・ヨーロッパ語族に属し、タミル語以下の3言語は南インドンのドラヴィダ語族に分類されます。

インド映画と言えば、ヒンディー語のものやベンガリー語のものが国外では有名ですが、実は南インドドラヴィダ語系の言語で作られたものが、北インドのヒンディー語系を、製作本数で圧倒しています。北インドだと大体どこでもヒンディー語が通用しますが、南インドではそうはいきません。いわゆる『共通語』が存在しないのです。

インド映画の始まりとは

インドの国産映画は、実は100年以上の歴史を持っています。

最初の国産映画は1912年製作、翌年3月3日に封切りの『ハリシュチャンドラ王』です。インドの古典に題材をとった作品ですが、神様への祈祷儀式のシーンでは、ちゃんと皆で踊ったり歌ったりが入っていて、現在の映画も、そのころからのインド人好みの伝統なんだなとうなずかされます。

王妃を演じるのに、撮影当時は女優さんの成り手がいなかったため、レストランでコック兼ウェイターの仕事をしていた男性を、監督が引っ張ってきました。何でも女性的な体つきをしていたからだとか。

ところがこの映画がヒットし、この男性俳優は、王妃を当たり役とするインド初の人気俳優になってしまったそうです。

ちなみに日本でも1912年に日活が設立されており、両国は同時に映画製作を開始したことになりました。

初期の映画とは

最初のころの日本映画は、芝居や歌舞伎の舞台をそのまま撮影しただけのものが多く、映画としての作品ではありませんでした。

しばらくして、最初から映画として芝居をしてもらい、撮影するようになりましたが、それでも内容は、劇場での芝居を、場所だけ変えて演じる程度のものでした。世界的に見ても、走っている汽車や馬車を撮影してそのまま上映、それだけでも観客はオオーーーッと言って驚き喜んだそうですから。

インドでも事情は同じようなもので、庶民の娯楽として昔から愛されていた大道芝居や、大衆演劇の手法をたっぷり取り入れながら、フィルムに収められました。

この伝統は現代のインド映画にも残っており、何人もの登場人物が、全員正面を向いて画面に収まっているシーンが多いのです。これは本来舞台演劇に特徴的な人物配置で、「フロンタリティー」と呼ばれています。全員が一斉にこちらを向いて踊る画面は、結構な迫力ですよね。

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