インドの乞食

インドの乞食

インドに長くいて、物乞いにたかられた経験がない人はいないと思います。その多くが小さな子供であったり、老人であったりします。

今回は、インドの乞食の背景を中心に見ていきたいと思います。

1.乞食の内訳ときっかけ

2015年のインド政府の調査によるとインドには約41万人の乞食がおり、男性は約22万人、女性は約19万人といわれています。

宗教別にみると、ヒンドゥー教徒が72.2%、ムスリムが25%、キリスト教徒が2.3%、仏教徒0.52%、シク教徒0.45%、ジャイナ教徒0.06%、その他0.3%になっています。インドの乞食の20%が都市部に、残りは農村部に住んでいるといわれています。年齢構成は一般的に青年・壮年層は少なく、老人の比率が非常に高いです。

ホームレスと乞食は違う区分に分けられており、2011年の国勢調査では、ホームレスは177万人といわれています。ホームレスでも乞食はしない層は多いということです。

乞食になった理由は貧困が多く、家庭の崩壊や身体障碍も理由にあげられます。女性の乞食は、夫や息子に家を追い出された例がかなりあるといいます。

2.インド文化と乞食

インド社会が乞食に比較的寛容なのは、ヒンドゥー教やイスラム教の文化の影響が大きいといわれています。貧しい人への施しは善行と考えられており、来世天国のことを考えて、乞食に施しをするということです。

都市部の乞食は、多様な構成になっているといわれています。周辺の農村部をはじめ、遠方からも乞食をしに都市部に来るためです。

少数かもしれませんが、ヒンドゥー教徒では世俗の繋がりなどを捨てることで、業を積みにくくなるという考えもあり、宗教儀礼的に乞食になる人もいます。バラナシなど聖地に行くと、しばしばこうした人は見ることができます。

3.乞食の家族とコミュニティ

乞食は核家族をつくる、または母子家庭、単身で暮らすケースが多いといわれています。

  • 母子の絆は強く、夫婦や父子の関係は不安定だといいます。
  • 単身で暮らす人の多くは老人、家を追い出された女性、乞食の親から生まれた子供たちです。
  • 家を追い出される女性には、寡婦の割合が高いようです。

乞食間の人間関係は薄く、縄張り争いなどもありますが、路上での出産の助けなど、相互に助け合うこともあります。

また、同郷同士でグループを作り、リーダーをおくこともあります。

4.乞食の仕事

乞食は、自分の物乞いをするテリトリーをもっています。

物乞いをする際には子供を連れて行く、老齢や身体障害、ハンセン病などをアピールして金銭を貰おうと工夫する乞食が多いです。物乞いには個人スキルが重要であるといわれており、それが大きければ収入も増えます。

インド在住の方は見たことがある人も多いと思いますが、腕があるのに隠してないふりをするといった乞食もいます。

私が見て凄いなと思ったのは、指を曲げただけの子供が「指がないの」と言って物乞いをしてきたことです。思わず笑ってお金をあげてしまいました。これもスキルなのかもしれません。

乞食の物乞いは、に仕切られていることが多いといわれています。マフィアの影響により、乞食が密造酒や売春などブラックマーケットに入って、抜けられなくなるというケースも多数あるそうです。

乞食になったばかりのころは、物乞いにためらいを感じ、子供の将来を心配し、仕事に就くことを考えるといいます。しかし、ほとんどがそこから抜け出すことはできずに、社会規範の崩壊している乞食の世界に同化していくことになります。

そうした乞食の子供は、社会性を身につけることすらできずに、社会に見捨てられる存在となってしまいます。

5.政府の乞食対策

ボンベイ物乞い禁止法(Bombay Prevention of Beggary Act 1959)」は約20州で適用され、デリーやムンバイなどの都市で物乞いは違法となりました。この法のもと、社会福祉局は乞食を強制収容し、「乞食裁判」にかけ、乞食と認定されると拘留され、職業訓練を受けさせます。その期間は1-10年で、「乞食の家」と呼ばれる施設で行われます。「乞食の家」の生活環境の劣悪さはしばしば指摘され、人権問題にもなり、実効性もたびたび疑問視されています。

デリー政府は物乞いを違法とし、交通の円滑化を促進するために、信号待ちに現れる乞食への施しも犯罪としています。ただ、2018年にデリーの高裁は、「ボンベイ物乞い禁止法」の25のセクションを違憲と宣言しています。乞食は好きで物乞いをしているのではなく、生きるために止むを得ず物乞いをしていると指摘し、そうせざるを得ないのは社会の責任である、としました。

こうした流れを踏まえて、貧困層への教育や職業訓練の必要性の認識は、近年広まってきているといえます。

6.インドの乞食のまとめ

インドにはいたる所に物乞いはおり、日常の風景となっています。私も乞食には慣れていて、近づいてきても小銭がポケットに入ってればあげるといった感じで過ごしていました。

そんなある日、インド人の友人と都市部に行った際に、四肢のない子供がいたんです。驚いた私は、インド人の友人に「可哀そうだね」と話しました。するとインド人は頭を抱え、あれは「親が手足を切ったんだよ」と言うのです。唖然とした私は「いくらなんでも、そんな親はいないでしょ」と聞きました。それに対して「あの親子は有名なんだ。見ちゃダメだよ」と。驚いて子供の表情を見ていると、目もうつろでひょっとしてと思ってインド人に聞くと、たぶんマリファナ中毒になっているとのこと。気分よく出かけていたのに一気にテンションが下がってしまいました。

この四肢を切断したとされる親子以外にも、物乞いのネタのために子の腕を切り落とす親がいるという話もしばしば聞きます。こうしたインドの最底辺の人々の環境が少しでも改善されることを祈って、今回の記事を〆たいと思います。

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