世界最悪の空気:デリーの大気汚染

世界最悪の空気:デリーの大気汚染

デリーは大気が澱んでおり、特に冬場(1-2月)はもやが出て、視界が極端に悪くなります。このもやも、大気汚染の影響だといわれています。この時期は視界不良のため電車や飛行機の遅延もたびたび起き、旅行の際など大変な目に遭ったことのある人も多いのではないでしょうか。

私も電車が15時間ほど遅れ、どうにもならないので段ボールを貰い、見知らぬインド人と駅構内で一緒に横になって寝たことがありました。それからは、遅延しても電車に比べてまだ軽微な飛行機を使うようにしています。

様々な弊害をもたらしている世界最悪の大気汚染都市、デリーの状況を今回は見ていこうと思います。

1.WHOの大気汚染調査とデリー

2019年にWHOが世界各国の都市で行った大気汚染の調査では、デリーが世界最悪の大気汚染都市になりました。このデリーの汚染は周辺地域にも悪影響を及ぼし、健康被害など様々な害をもたらしています。

インド全体では、大気汚染、環境破壊による公害で毎年約250万人の死者を出しており、慢性呼吸疾患や喘息による死亡率は世界で最も高くなっています。

デリーでは。大気汚染によって子供の50%が肺にダメージを抱えているといわれています。

2.大気汚染の原因

2019年11月25日、インド最高裁判所はデリーの汚染について「デリーは地獄よりも酷い」と声明を出しました。インドの地球科学省が2018年10月に出したレポートによると、大気汚染の原因の41%が車の排ガス、21.5%が粉塵、産業が18%だとしています。

ただ、自動車業界にとってこのレポートは都合が悪いため、ロビー活動を政治家に働きかけ、情報の拡散の妨害をしているといいます。

専門家も大気汚染の原因を以下の様に指摘しています。

  • 政府による積極的な監視と対応の欠如
  • 人口過剰
  • 政治的優先度の低さ
  • 自動車の排ガス、開拓の際の焼き払い、焼き畑やその延焼による火災、ディーゼル発電機の排気、建設現場の粉塵、ゴミの焼却、政府の基準を無視した産業活動
  • 石炭火力発電所であるバダルプール(Badarpur)火力発電所→2018年10月から停止
  • 粒子状物質の発生源となっている、工場などで広く使われている冷却システム
  • ディワリーなどで広く使われる爆竹

挙げればきりがないようです。

政治的には規制強化をすると経済成長の足かせとなるため、大胆な規制はかけられないということなのでしょう。

3.大気汚染の影響

デリーの大気汚染指標は、1月-9月期は中汚染、10月ー12月は日によって異なりますが、重度の汚染から危険な汚染まで急激に悪化します。冬季には気象条件により大気汚染の指数が高まるといい、デリーの場合大気汚染は人間の許容レベルを超えていると警告とされるほどです。

日本で良く報道される北京の大気汚染ですが、デリーはその2倍の汚染とされており、1日当たり煙草を45-50本吸うのと同様の健康被害があるとされています。デリーのことを「ガス室」と揶揄する言葉すら出ています。

実際、デリーに長く住んでいた私も肺疾患にかかり、咳が止まらない状況になりました。また、肌に大きな激痛を伴う異物ができたため、病院で診察してもらうと「大気汚染」のせいだね、と医者に言われました。

5年強住んだだけの私でも、大気汚染のための疾患をもったので、インドで生まれ育った人の健康被害はいかに酷いものか、想像にかたくありません。

専門家は、デリーに住む子供の半分が肺機能がダメージを受けているといい、さらに癌やてんかん、、成人病の発生リスクを高める可能性を指摘しています。また、大人も肺活量の低下や頭痛、喉の痛み、咳、肺癌、早期死亡の原因になるといいます。

4.デリー冬季の風物詩?スモッグ

デリーでは冬季、特に12月から2月くらいまで非常に濃いスモッグが発生します。これは気象条件と大気汚染が重なることで発生するようです。

30m先も見えないほど視界が悪くなることもあるため、デリー市内では多くの事故が発生し、道路の封鎖になることもあります。電車や飛行機の遅延やキャンセルにも繋がり、多くの問題をもたらしています。

5.政府の対応

大気汚染指数が危険水準に達しそうになると、政府は健康緊急事態(Health Emergency)を発令します。

これにより、産業を強制的に稼働停止にし、学校などへの登校もできなくなり、大気汚染の状況を抑えようとします。

また、爆竹は法令によりディワリーの時期には販売禁止されることになりましたが、依然として爆竹の音が聞こえてきます。様々な環境対策は出されていますが、改善の見込みはまだまだ薄いといえるでしょう。

こうした状況に、インド工科大学はアメリカのワシントン大学と協力し、インドの大気汚染を研究するための施設を立ち上げるなど、全インドをあげた課題への取り組みが進められています。

インド内外での協力により、環境汚染の改善を期待したいです。

6.世界最悪の空気:デリーの大気汚染

デリー周辺を車で走っていると、しばしば川や沼のような場所が、日本では見たことがない色になり、ぶくぶくとガスが出ている場面に遭遇します。エメラルドグリーンやオレンジ、赤色などカラフルな色を何度となく見ました。川辺に行くと匂いもおかしく、死んだ魚が浮かんでいたりします。その近くで象が水浴びをしていたりで、なんともインドらしい光景だったのを覚えています。

デリーの人たちは同じ川で獲れた魚を食べており、私も食べたことがあります。こうしたことも健康被害に影響するのだろうと、後から考えるようになり、以来魚をデリーで食べることはなくなりました。

日本で騒がれる中国の倍の大気汚染の数値を出すこともあるデリー。私も大気汚染により疾病を患いましたが、長く滞在している人はくれぐれも注意をして欲しいと思います。

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