ヒンドゥーの神様:火の神アグニ

ヒンドゥーの神様:火の神アグニ

アグニ(Agni)というヒンドゥーの神様をご存じでしょうか。

この神様は日本にも仏教の中で伝わっており、火天として知られています。インドの古代聖典ではポピュラーな神で、ヴェーダには全神々の中で2番目の登場回数を誇っています。

今回は、火の神様であるアグニを紹介します。

1.アグニってどんな神様?

「火」を神格化した古代インドの神、アグニは、本来普通名詞として「火」を意味します。

、アグニの姿は主として炎になぞらえられ、黄金の顎や歯をもっており、炎が髪の毛となっているといわれてきましたが、後世の姿絵では、三面三脚七腕の姿の神として描かれています。

インド最古の聖典『リグ・ヴェーダ』では、インドラ神に次いで登場し、多くの賛歌がアグニに捧げられています。

アグニは太陽、電光、祭火として、天・空・地の3界に出現するといわれ、多種多様な形態で、あらゆる場所にあらわれることを特徴とします。暗黒を破る光明と、不浄を焼く浄化力を象徴する神として、信仰を集めていましたが、アグニが役割として注目されているのが次の2つです。

  • 祭式における聖火
  • 天界の神々へ供物を運ぶ(神と人間の仲介者として描かれている)

また、家庭の神として、信仰者に恩恵を与え、繁栄と富をもたらすとされ、守護神としての性質ももっています。

時代が進むと、アグニはローカパーラ8神(世界の守護神)の1つとして登場し、『マハーバーラタ』では東南を司るとされています。世界の全方位、東をインドラ神、西をヴァルナ神、南をヤマ神、北をクベーラ神が鎮座し、アグニと同様に守護神として厄災から世界を守るとの考えです。

また、ローカパーラは仏教における12天の原型といわれています。

2.アグニの起源

アグニの起源についてはさまざまな説があり、古いものではヴェーダ以前のインドヨーロッパ祖語と呼ばれる、インドヨーロッパ語族の祖先にまで遡るといわれています。インドヨーロッパ祖語は文字がなかったため、正確には解明されていませんが、今から6000~9000年ほど前の時代ではないかと考えられています。この時代に生まれた神話を、インドヨーロッパ語族のアーリヤ人が、インドに持ち込んだという考えです。インドヨーロッパ語族の文化圏で、アグニの神話に似た神話が各地で散見されているため、考えられた説です。

この他にも、インドの先住民などによる土着信仰に由来とする説などがあります。

インドヨーロッパ文化における、アグニの起源と目される神話としては、神から人類へと火を運ぶ鳥、または鳥のような存在として描かれたものがあります。その他にも、天から地上へ不老不死の薬、エリクサーをもたらす存在が描かれた神話があり、これらがアグニに近いのではないかといわれています。

どちらの神話においても、鳥は神への生贄として毎日、天に戻り、時には鳥が唐突に跡形もなく消滅することが描かれているといいます。

アグニの神話は、ヒンドゥー最古のテキストとして知られるヴェーダのカータカ・サンヒターにおいても「空を飛ぶ天国の鳥」という讃美歌があり、似た神話の形式になっているということです。

アグニは神や女神の口とみなされ、奉納の儀式で神々に供物を届ける役割をする神話があります。また、アグニの誕生が、宇宙の創造神であるプラジャーパティに由来する神であることが描かれています。アグニ以前の世界は昼も夜もない世界であったが、アグニの誕生によって光が生まれ、昼夜が誕生したといいます。

アグニは元来、「創造者・維持者・破壊者」の3つの究極的根源として概念化された神であるといわれ、地球の支配者と考えられていました。双子の兄弟であるインドラ神は、嵐や雨、戦争の神として大気、空気を支配したとされます。

3.ヴェーダにおけるアグニ

ヴェーダにおいてアグニは、インドラ神に次ぐ重要な位置を占めており、『リグ・ヴェーダ』において200を超える讃美歌で讃えられています。『リグ・ヴェーダ』において、神々の間の優劣・序列は付けられていませんが、時代が進むにつれ、最高神の探求といったような「インド哲学」最高峰のテキストとしての性格をのぞかせます。

数多くあるアグニの讃美歌には、次のようなものがあります。

『リグ・ヴェーダ』第3巻で、アグニの両親を2本の燃える火の棒とあらわし、その2本の火の棒の愛が、アグニを誕生させたとしています。生まれたアグニは、すぐに両親よりも火の勢いを増したといい、最終的にアグニの炎は、自身を創った両親を呑み込みました。

この神話は、アグニの能力の偉大さを表しています。

ヴェーダの中でアグニは、人間だけでなく神々とかくれんぼをする様子がたびたび描かれ、さまざまなものに命を吹き込み、多くの場所に隠れています。こうした神話は、あらゆる場所に、アグニの属性が含まれていることをあらわしているといいます。

この他にも、学徒を成功へとく教師としてアグニを描いたものなど、多種多様な性格・性質をもっています。

4.ヒンドゥーの神様:火の神アグニのまとめ

現代では、主神的な役割を任されることが減ったアグニですが、古代においては最もポピュラーな神の一つで、さまざまなものにアグニが宿っていると考えられていました。

現代のインド社会は、シヴァヴィシュヌといった神々がポピュラーとなっていますが、それぞれの儀式で必ず使われる祭火には、現在もアグニが投影されており、多くのインド人がそれを認識しています。

一見マイナーな神様ですが、日本にまで伝わるほど、かつてはポピュラーな神様だったと思うと、アグニの性質も興味深く感じます。

ヒンドゥーの神様は多種多様なので、また他の神様も紹介させていただきます。

BlogMuraFC2BlogRanking

VISITORS HERE:4,188, HOLI GREEN TOTAL VIEWS : 1,160,934

Previous(down)/ Next(up)
アジア全域を幹線道路で結び、文化交流や流通の円滑化を目指して、進められています。
現在インドの民間企業の利益を代表する全国規模の業界団体で、国の内外に大きな影響力をもつものは3つある…